「ファジアーノさんとやると、なぜかいいゲームになる」と就任3年目の水戸・柱谷哲二監督。「毎回、水戸とはタフなゲームになる」と就任4年目の岡山・影山雅永監督。試合後に両監督がこう話したゲーム、サッカーの面白さを噛みしめる時間もあった。そして勝負は1−1の引き分けに終わった。
当日朝から断続的に降っていた雨はキックオフ前に上がり、その水を含んだピッチで激しく、また伸び伸びとプレーしたのは岡山ではなく、アウェイの水戸。3日前の鳥取戦から直接乗り込み、修正・強化点はほぼ、「イメージだけ」(柱谷監督)で仕上げたというが、前からの守備は洗練されていた。スタメンを4人入れ替え、今季初出場でスタメンのFW三島康平が、FW難波宏明との2トップ。ボランチから前線の選手全員が流動的に動き、サイドを変えながら繋いでフィニッシュまでの形を作り出す。
対する岡山は、水戸の勢いに押されるように、「受け身に回ってしまった」と影山監督。立ち上がりこそ悪くはなかったものの、難波に象徴される水戸の執拗なプレッシャーに遭ってミスが頻発し、DFラインも落ち着かない状態だった。「前回(東京V戦で)出来たことが、今回は相手に上回られたために、前半は相手にリズムがいった」(ボランチの千明聖典)が、GK中林洋次の好セーブがゲームを引き締め、無失点で前半をしのぐ。
先制点は後半12分だった。水戸の右SH小澤司のクロスを受け、三島がトラップしてシュート。「あまりきれいなゴールではなかったけど、」という三島のJ初ゴールだった。後半に入っても水戸の運動量は落ちることなく、サイドを起点とした仕掛けが有効だった。しかし両チームが1枚目の交代カードを切った後半20分あたりから、岡山の攻撃が連動性を持ち始める。
前半から単発ではあるが、決定機は作っていた岡山。それがようやく実ったのが、後半38分のセットプレーからのゴールだった。怪我から復帰し、前節から続いてスタメンで出場したシャドーの桑田慎一朗、今季初出場の右ワイド田中奏一、途中交代で入ったFW押谷祐樹が絡んで右サイドを突破してCKを得ると、一度はクリアされるが、再びCKを得て、ルーキーの島田譲のキックにDF後藤圭太が合わせてゴール。同点に追いついた。
後藤が島田のボールに合わせたのは、このゲームだけで3度目。右足での3度目の正直だった。2試合連続プレースキックからゴールをアシストした島田は、前節デビューで、この日初めてホームのカンスタでプレー。「最後の15分間を自分たちのペースでやれたのは、サポーターの声援があったから。そういうところがすごい力になるんだなと実感した」と話した。
湧き出るようにボールを追い越す選手が現れ、ショートパスを繋いでフィニッシュの形を作り出す攻撃の理想型。それを岡山の目の前で見せつけたのは水戸だった。そして岡山は開幕から4戦連続で引き分けた。雨模様にもかかわらず、この日カンスタに訪れた観客は6279人。後半30分に投入された田中の突破や、島田譲のプレースキック、局面を打開する力のあるパスが、殻を破って発芽する種子のエネルギーを感じさせる。それだけに今季初勝利を目の前で、という岡山ファンの思いは強くなる。
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2013.03.21 Reported by 尾原千明















