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【ヤマザキナビスコカップ 磐田 vs 湘南】レポート:指揮官の“苦言”。前田遼一の公式戦2試合連続ゴールの陰に――(13.04.11)

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「あえて金園にプレッシャーをかけたい。彼がゴールを決めていればもっと楽なゲームになった」。

磐田・森下仁志監督が、試合後の会見で自ら切り出した。結果を問わず常に選手を尊重したコメントを発進する指揮官である。インタビュールームでの“苦言”は珍しい光景だった。無論、それは期待の裏返しである。あえて厳しい言い方をした理由をこう語った。「僕は本気で来年のワールドカップに行ける選手だと思っている。だからこそ、ああいう状況で決めていかなければサッカーが難しくなる。より厳しい国際舞台であればもっとそうだと思うし、1回のチャンスしかないかもしれない。彼にはそれを決める能力があると思うし、プレッシャーを跳ね除けることができると思う」。
“ああいう状況”とは前半に訪れたビッグチャンスを意味する。22分、自陣で湘南にFKを与えるも、そのクリアボールをつなぎ、鋭いカウンターを発動。山田大記のスルーパスを受けた金園英学が湘南GK・安藤駿介と1対1となった。「フェイントかけて、相手が動いて、食いつかせて、と理想的な形だった」(金園)。しかし、右足の狙いすましたループシュートはバーに嫌われ、「何が足りないかと言われれば…技術です」とうなだれた。

ゲームは11分に駒野友一のクロスを前田遼一が押し込み、磐田が先制。結果的にこの1点が決勝点となり、磐田がヤマザキナビスコカップ3勝目をマークし、Aグループの暫定首位の座を守った。直近のリーグ・浦和戦(4/6)で今季公式戦初得点を決めたエースが再びゴールを決めた点はチームにとって何よりも明るい材料。「みんなが結果を出している中、僕だけが結果を出していなかったので…」と“沈黙”が続いた序盤戦の心境を振り返る前田は、浦和戦の得点で目に見えて動きがよくなった。得点こそ1点に終わったものの、前線でのボールキープや動き出しで湘南守備陣を圧倒。日本代表FWにふさわしい“違い”を見せ、チームの大黒柱であることを改めてアピールした。
この点は今週末の静岡ダービーはもちろん、その先の戦いを見据えても大きい。だが、最終的にリーグ戦、カップ戦のタイトル争いに割って入るためにはパートナー役となる金園のさらなる成長が必要不可欠。今季は公式戦4試合連続ゴールをマークするなど序盤から量産しているだけに、指揮官の要求もより高くなる。前半終了間際には八田直樹のゴールキックのこぼれ球を拾い左足でミドルを狙ったが、これもバー直撃。「チャンスまではいつも行けるのですが…。決めるかどうかの瀬戸際をもっともっと突き詰めてやっていきたい」と唇をかみ締めた。

ゲーム全体を振り返れば、磐田の勝利は妥当。金園がゴールを決めていれば大差で勝利してもおかしくない内容だった。試合後、「正直、スタートから15分あたりまでは何もなくて、新しく出た選手もちょっと地に足がつかないような状態だった」と振り返ったのは湘南・曹貴裁監督。3バック+アンカーからボールを配給し、2トップ+2シャドーのところでパスを受ける磐田に対し、上手く守備をはめることができず、序盤から後手に回ることになった。「相手の技術は高く、ボールを回せるということは映像でもわかっていたし、そこで粘りながらいい形のチャンスを作ろうと思っていたが…」(同監督)。終盤には最終ラインのクォン ハンジンを前線に上げ、そこにロングボールを放り込むパワープレーも試みたのだが、磐田ゴールは遠かった。
今季公式戦出場となったボランチ・岩尾憲、2列目の吉濱遼平も存在感を示すことはできず。日本代表3選手を擁する磐田に果敢にトライする姿勢は見せたが、攻守でやはり荷が重かった。「全然自分の思うプレーができなかったし、不甲斐ない気持ちでいっぱい」と話すのは吉濱。「隙間で受けられる時はよかったが、取りに来るときのパワー、圧がすごかった。これがJ1かと思い知らされた。今日できなかったことを課題として次はもっとやれるように頑張りたい」(同選手)。同じく2列目を務めた梶川諒太も「相手のプレッシャーの速さに全然収められなかった」と悔やんだ。
結果以上に力の差を見せつけられる敗戦となったが、見方を変えればポジティブな要素もある。指揮官は「GKを含め最後のところの粘りや1対1、空中戦などは時間が経つごとにできてきたところもある。ボールの動かし方も時間が経つごとによくなってきた」とゲームの流れを分析。攻撃陣ではキリノ、高山薫、守備陣では島村毅、宇佐美宏和といった面々をベンチ外とした中、日本代表3選手を起用した磐田に対して通用した部分もあった。今月末には同じくヤマハで、今度はリーグ戦で対戦する(4/27)。その意味でも有意義な試合だったと言えるだろう。

以上

2013.04.11 Reported by 南間健治
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