今季2度目の3連戦は、両チームにとって厳しい時期となっている。ここ3試合は勝利はおろか、ともにゴールネットを揺らすこともままならない試合が続いている。前節から中3日。立て直す十分な時間はなく、疲労の蓄積もあるが、それを吹き飛ばす勝利への意欲が、現状打破への最大の武器になる。
山形は4連勝で2位に浮上したあと、首位・神戸との対戦に敗れ、さらにG大阪戦、前節の東京V戦まで3連敗。勝点を伸ばせず、順位は12位まで後退している。先発を3人入れ替えて臨んだ東京V戦もシュート数では15対8と大きく上回りながらスコアでは0-2と、攻撃の切れ味、ゴール周りの質の差を感じることになった。それでも、前節後半途中の交代で移籍後初出場を果たした堀之内聖は言う。「この3試合で守備がそれほど崩壊したということではないと思うし、前節も攻撃の形はつくれている。攻守両面において同じ方向を向いてやることが大事」。ここまでチーム最多の3得点を挙げているロメロ フランクが累積で出場停止となる今節こそ、チームの真のポテンシャルが試される。
熊本は第3節、齊藤和樹の2ゴールで勝利したのが今季唯一の勝利。その後は4引き分けで着実に勝点を積み上げてきたが、この連戦ここへ来ての2連敗で20位に沈んでいる。「90分を通して、自分たちがやりたいことを全くできなかった。走れない、戦えないで、今季最低のゲームだったと思う」(南雄太)という長崎戦を0-1で落とした後、前節はホームで愛媛と対戦。北嶋秀朗が「魂のこもった試合だった」と勝利への執念を見せたが、後半アディショナルタイムに決勝ゴールを許す、ダメージの大きい結末となった。
吉田靖監督は「強い気持ちで戦うんだということ、その気持ちはできたと思うんですけど、やはりプロなんでね、気持ちだけではどうにもならないので、なんとかこれを結果につなげなきゃいけないなと思ってます」と語ったが、中3日となる日曜日のピッチでは、体とともに心のリカバリーも実現しなければならない。仲間隼人の出場停止は解けるものの、現在も藤本主税、蔵川洋平、黒木晃平など主力に離脱者が多い状況に置かれている。この苦しい状況で得られる勝利は、チームを力強く蘇生させるものになる。
熊本はサイドからの攻撃を主体にしているが、それを効果的にしているのが、2トップの起点をつくる動きだ。前節の2トップでは、ファビオが相手サイドバックの裏のスペースへ走り込み、北嶋は下りて足元でさばく。それを合図に全体の押し上げを図るが、当てて、落として、裏へ飛び出す3人目へとシンプルに動かしてくるケースも多い。攻撃的なサイドバック・片山奨典がドリブルで切り込む動きも相手を押し込むパワーがあるが、個で打開できない場合はサイドで数的優位をつくりクロスまで持ち込んでいる。
熊本と比較すると山形はより攻撃的で、守備で相手のボールを奪うポイントも高いが、ロングボールの多用も予想される展開でコンパクトな陣形を保ち、2トップの起点に厳しくプレッシャーをかけ続けることが求められる。また、攻撃に切り替わり、速攻で攻めきれなかった場合、帰陣の早い熊本はフィールド9人を戻してブロックを形成するが、その際はつくり直し、じっくり崩しにかかる落ち着きも必要となる。熊本はサイドで守備の圧力が強くないだけに、クロスを上げる回数は多くつくれそうだが、ゴール前は固められている。一発で仕留める意欲と同時に、こぼれや跳ね返りに対しても最大の意識を傾けたい。
ともにゴールから遠ざかっているだけに、得点は喉から手が出るほど欲しいのもの。ただし、奥野僚右監督は言う。「焦ったから、慌てたからと言ってゴールが近づいてくるわけじゃない。そこはメンタルの部分も含めて、もう一度取り組んでいくべきところだと思う」。一方で、慎重さは消極性の入り口でもあり、そうならないための大胆さも求められる。強い気持ちを持ちながら、いかにフラットな状態でゴールまでの手順を踏むか。全員が心を合わせたなかでそれを実現できたチームが勝利に近づくことになる。
以上
2013.04.20 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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