たしかにワンチャンスと言えたかもしれない。左サイドからドゥトラが送ったクロスにマルキーニョスがファーでぴたりとヘッドを合わす。樋口靖洋監督をして「彼らの技術の高さに加え、ここぞという狙い所を外さない経験値の高さを感じた」と言わしめたとおり、敵の虚を突く鮮やかな一撃によって横浜FMがゴールを奪う。間もなく前半が終わろうとする、44分のことだった。
対して湘南は、結果的に決勝点となったこのゴールの以前も以後も、縦へのらしい攻撃を仕掛けていた。反面、こと前半は風下の影響もあったろう、自陣を出ぬうちに失う場面も少なくなかった。大野和成や島村毅らDF陣の踏ん張りがゴール前を支え、逆に敵陣へと視界が開ければ、左右を問わず突破を図りゴールに迫った。持ち前のアタックは、古林将太の縦パスを機に菊池大介がクロスを入れ、エジバウドと馬場賢治、加えて大外から高山薫が走り込んだシーンや、永木亮太の縦パスを経て高山がクロスを送り、エジバウドと菊池、ファーに古林と、両アウトサイドを絡めてゴール前に人数をかけた場面に端的だ。馬場の折り返しに永木がダイレクトで強烈なミドルを叩きもした。
相手の攻撃を封じ、攻勢を駆る湘南に対し、横浜FMのチャンスもまた奪ってからの切り替え場面に落ちていた。中町公祐が前を向き藤田祥史が裏を狙う、兵藤慎剛の左クロスにファーサイドでマルキーニョスが反応する、あるいは端戸仁がドリブルからフィニッシュまで持ち込む。2007年以来となる平塚のピッチに、「感慨深いです。開幕戦のときも古巣との対戦とは思っていたけど、やはりここでプレーするのは感慨深い」そんなふうに再会を噛みしめた中町は、自らもシュートを放ち、また得点のシーンにも一役買っていた。奪取からパスを受け、敵陣へと運び、兵藤とともにドゥトラのアシストをお膳立てしたのだった。
ビハインドを負った湘南は後半、よりゴールに近づいた。梶川諒太の縦パスから永木を経て菊池がシュートを放つ。インターセプトした古林がそのまま持ち込みミドルを狙う。菊池の右クロスに武富孝介と高山が詰める。終盤には荒堀謙次のインターセプトを契機に梶川のフィニッシュまで至り、失っても再びハン グギョンがクサビを打つなど縦への攻勢は途切れない。ラストはクォン ハンジンを前線に上げてパワープレーにも出た。だが最後までゴールを割ることは叶わない。
勝利を手にした横浜FMは、ヤマザキナビスコカップ予選Aグループ首位の磐田に勝点で並んだ。一方、敗れた湘南はグループ最下位となった。
前半終了間際のゴールは、両者が相まみえたリーグ開幕戦を思い出させる。スリッピーなピッチに精度の差も表れたかもしれない。反面、こと湘南にあっては、ビハインドという背景があったにせよ、途中出場の選手たちの躍動とともに終盤へ向けて攻勢を増幅させていた。立ちはだかったGK六反勇治の好守は、枠を捉えていた印象と表裏一体でもあった。「開幕戦に比べたら自分たちから主導権を握っていく場面は確実に増えたと思う。ただ個人的には簡単なミスも多く、まだまだ成長しなければいけない」と、梶川は語る。課題と収穫は進化の過程の証といえるだろう。肌に得た気付きは、湘南のこの先を照らす得難い明かりに他ならない。
以上
2013.04.25 Reported by 隈元大吾
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