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【J2:第11節 岐阜 vs 山形】レポート:スタジアムを包んだ一瞬の静寂。お互いに納得のいかない勝点1(13.04.29)

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何かを変える。岐阜はこれまでの【4-2-3-1】を捨て、【3-4-2-1】を採用。中盤の枚数を厚くし、前からのプレスとショートカウンターへの意識を強くした。

序盤は山形も形を作れず、プレスははまった。攻めあぐねる山形に対し、岐阜はつけ入るすきは大いにあった。しかし、そこで突き切れなかった。問題は前線のポイントにあった。1トップに杉本裕之を置いたが、彼に効果的なボールが入らなかった。足元のクサビよりもDFラインからのロングボールが多くなり、なかなか競り勝てずに相手ボールになることが多かった。3バックのブロック形成、中盤の積極的なプレスははまっていただけに、これはもったいなかった。

いい意味で言えばこう着状態。悪い意味で言えば共に決め手の無い展開が続いた42分、遂に試合が動く。
MFロメロ フランクのパスは、DFがカットするが、浮きあがったボールにバックスピンがかかっており、バウンドと同時にMF秋葉勝の下に。これに対し、岐阜は完全にボールウォッチャーになってしまった。フリーでボールを受けた秋葉は、バイタルエリア中央から豪快に左足一閃。地を這うようなミドルシュートがゴール右隅に突き刺さった。

だが、均衡が崩れたことで、山形のDFラインが一瞬、集中力を欠く。岐阜は43分にMF杉山新の右からのクロスを、中央でFW樋口寛規がダイレクトボレーで合わせるが、これはGK正面。直後の44分には杉山のロングボールに抜け出した杉本が、飛び出してきたGKの頭上を冷静に射抜くループシュートを決め、すぐさま同点に追いついた。

このシーン、山形は不用意にラインを上げていた。これまでは岐阜が自陣でボールを持っているときは、ロングボールを警戒して、ラインを深めにとっていたが、この時はラインの位置が中途半端で、裏に抜ける杉本に無警戒だった。無論、相手の隙を見逃さず、ロングボールを巧みにトラップして、鮮やかなゴールを決めた杉本は称賛に値するが、山形は痛恨のミスだった。

後半、立ち上がりは前半同様にこう着状態が続いた。打破するために、岐阜は63分に杉本に代え、DF新井辰也をFWとして投入。山形も66分にFW林陵平に代え、萬代宏樹を投入。共に最前線を代えて、テコ入れをしてきた。先にチャンスを作ったのは岐阜。65分にカウンターからMF服部年宏のスルーパスを受けたFW柴原誠が抜け出すが、シュートはミートしきれずGKに。

いい流れを作ったが、72分に守備の要で、この試合でもかなり効果的な働きを見せていたデズモンドが痛恨の負傷。そのままベンチに下がり、新井をCBに移して、JデビューとなるMF水野泰輔を投入した。

前線のターゲットが居なくなったことで、山形は一気にラインを上げて、攻撃に転じる。80分、秋葉の右からのクロスを、ゴール前でFW中島裕希が合わせるが、これはGK時久省吾がファインセーブ。さらにMF染矢一樹の不用意なボールロストから、秋葉にループで狙われるが、これも時久がファインセーブで事なきを得た。対する岐阜も、裏のスペースが出来たことで、カウンターがうまく仕掛けられるようになった。だが、カウンター時に柴原が足をつるなど、期限付き移籍間もない状況、実戦経験が乏しかった影響が顔を出し、最後まで攻めきれない。

試合はそのまま1-1でタイムアップ。勝ちはしなかったが、1試合を通じて、岐阜が見せた気迫と攻撃への意識は、今季の中でも屈指だった。だが、タイムアップの瞬間からしばらく、スタンド全体が静まり返った。これがすべてを如実に表していた。連敗中の山形にとっては、最下位を相手に勝点1しか取れなかった。岐阜にとっても、選手の奮闘は見られたが、勝点3が取れそうだった試合で取り切れず、もう何度も見ているドロー。両チームのサポーター、ファンのこの試合に対する思いが、静寂となって表現された。

共に納得のいかない勝点1。共に連敗に終止符を打ちきれなかった。岐阜の次なる相手はG大阪。「今日以上に回されると思うので、今日の試合の反省を踏まえて戦いたい」と服部が語った様に、相当厳しい戦いになるが、今日見せた気迫を持続し、勝点を1つでも掴み取り、いい流れを残して、6日のホーム・千葉戦に繋げなければならない。

以上

2013.04.29 Reported by 安藤隆人
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