7試合ぶりの勝利はゴールラッシュによる爆勝だった。5戦連続無得点で6連敗中だった群馬がこんな試合を見せるとだれが予想しただろうか。クラブワースト連敗記録7にリーチをかけていたチームが、クラブ記録タイとなる1試合4点という圧巻のゴールショーで連敗を阻止した。後半、ゴールネットが揺れるたびにスタジアムは沸きに沸いた。サポーターとともに奪い取った勝利は、群馬の反撃の狼煙(のろし)だ。
前半を終えてロッカールームへ引き上げる内藤圭佑に、メインスタンドのサポーターから大きな拍手と声援が送られた。群馬は30分、乾大知がペナルティエリアで高崎寛之を倒してPKを献上。高崎のキックを阻止したのが内藤だった。「キックが甘かったので読み通りに止めることができた」(内藤)。群馬は、絶体絶命の危機を防いで後半へ望みをつないだ。その立役者に、サポーターは感謝の意味を込めて拍手を送ったのだ。そのスタジアムの雰囲気から後半に何かが起こる予感がしていた。
群馬は後半12分にミス絡みで大崎淳矢にゴールを許すが、それは群馬を目覚めさせるきっかけでしかなかった。群馬の逆襲はその直後のキックオフから始まった。同13分、遠藤敬佑がニアへ入れたクロスをエース平繁龍一が技ありヘッドで流し込んで即座に同点に追いつくと、4分後には徳島の緩慢な守備の隙を突いてボールを拾った平繁が左足で流し込んで逆転に成功する。「サポーターの声に応えるためにも絶対に勝利を届けたかった」(平繁)。
エースの2ゴールがチームに魂を吹き込んだ。同20分には右CKのこぼれ球を増田繁人が詰めてJ初ゴールをマーク。増田は「これまでセットプレーから得点できなかったので嬉しかった」と振り返ったが、群馬の勢いはまだ止まらなかった。同36分にはダイナミックなオーバラップをみせたルーキー瀬川和樹が渾身のスーパーショットを突き刺してゴールラッシュを締めくくった。群馬は、PKをストップした内藤、2ゴールでエースの役割を果たした平繁、途中出場で2アシストを決めた遠藤らそれぞれが役割を果たしてついに連敗を止めた。
連勝を狙った徳島は1点を先制しながらも、その後の7分間で3失点を喫して群馬の勢いに飲み込まれた。群馬は事前のスカウンティングでゲーム運びとマークに甘さがあるとみていたが、その通りの結果となってしまった。「点を取ってからのマークがグレーゾ−ンになってしまった」(小林監督)。選手一人一人のレベルはJ2屈指だが、チームとして機能しなかったのが悔やまれる。ただ重量のある車ほど動き出すのに時間がかかる。歯車が噛み合えば勝点を積み上げていくことだろう。
連敗を6で止めた群馬だが、連敗中もスタイルを貫き、選手を信頼し続けた指揮官の執念が勝利に結びついた。今週の練習では、イージーなミスやルーズなプレーに対して選手たちが厳しく指摘し合っていたが、練習場での意識改革がそのままゲームで表現された。「選手たちが取り組んできたことを表現してくれた」(秋葉忠宏監督)。妥協を排除したチームは、想像以上の力を発揮してみせた。連敗は止まった。だが満足はできない。これは群馬が高く飛び立つための単なる出発点でしかない。
以上
2013.04.29 Reported by 伊藤寿学
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