薫風のゴールデンウィーク最終日。1万1117人の観客の前で繰り広げられたのは、両チームが良さを出し合う好ゲームだった。生まれたゴールは岡山4、山形3。華やかな打ち合いは、後半42分、ホームの思いを身体ひとつに集めた岡山のMF田所諒が結末をつけた。
岡山は前節からスターティングメンバー4人を入れ替え、右ワイドにMF澤口雅彦、ボランチにMF島田譲、トップにFW押谷祐樹、シャドーにMF石原崇兆が入った。山形は前節と同じメンバーで臨んだ。前節、今季初黒星を喫した岡山は立ち上がりから積極的な攻勢に出る。MF関戸健二のオープニングシュートから、ゲームが落ち着く前の4分、中央でボールを受けた石原がドリブルで抜け出し、左の田所に預けると、田所がグラウンダーのパスでゴール前のFW押谷へ。押谷がこれを押し込んで今季初得点を挙げる。
しかし山形が落ち着きを取り戻すのは早かった。CKを得た山形は、MF宮阪政樹のキックをボランチのMF秋葉勝がすらして、中にいるFW中島裕希へ。中島がこれを決めて、セットプレーからゲームを振り出しに戻す。それからの時間は山形がボールを保持するが前半28分、田所のゴールでいったん終止符を打たれる。さらに4分後には、岡山の右ワイド・澤口が、左サイドでキープした石原からのクロスに飛び込んでヘディングでゴール。澤口の今季初で2年ぶり、出場150試合目のメモリアルゴールだった。
岡山が3−1とリードしたのも束の間、その2分後の前半34分、山形が追加点を叩き込む。左SB・中村太亮のクロスをゴール手前でFW林陵平が競り、手前に落としたところにMF廣瀬智靖が走り込んでゴール。前半の3−2というスコアは、後半の両チームの追加点で4−3で終了した。シュート数は岡山が9本、山形が21本。CKは岡山が0、山形が17本。FKは岡山が14本、山形が19本。繰り返されるセットプレーを岡山はよく「失点1」で凌げたものだと思う。そこにはホームの後押しが欠かせなかった。
山形は統制を保ちながら広いエリアを自由に動いた。素早い動きから有効なサイドチェンジを織り込み、速いパス交換とくさびのボールでチャンスを作り、最後まで距離感よくハードワークした。岡山は、軽いプレーはあったものの石原が躍動し、ゴールの前段階には、ボランチの千明聖典が存在した。
7つのゴールそれぞれにドラマがある。第4節以来の先発出場について「言葉はかわさなくても監督からの信頼は感じていた」と話し、試合後のサポーターに「ただいま」と挨拶したクールガイ澤口のゴール。「陵平君(林)が競り勝つと信じていた。奥野さんが使ってくれているので、期待に答えたかった」と話した山形・廣瀬のゴール。いずれも今後につながるドラマだ。
この日、今季初めてキャプテンマークを巻いた田所は、1アシスト2ゴールの鬼神的活躍。球際、1対1の激しいバトルで常に一歩早く反応した田所は、「中2日(のコンディション)は自分の土俵」と言うハードワーカーだ。しかし決勝点のボールがなぜ田所の前にこぼれてきたのか、なぜその直前にボランチにコンバートされていたのか。その偶然と必然、そして日々の田所のFK練習を見ているような錯覚に陥る決勝点の美しい弾道は、心の奥底に刻まれていく。
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2013.05.07 Reported by 尾原千明















