山形は無得点の連敗を3で脱した第10節のあとも、第11節までは攻めあぐねや消極性が見られる試合が続いたが、2節前の富山戦以降は攻めのマインドを取り戻し、2試合連続の3得点。前節は21本のシュート、17本のコーナーキックを記録し、フォワード選手の7試合ぶり、コーナーキックからは今季初という待望の得点も生まれている。総得点は2位タイ、総シュート数は単独2位と数字のうえでも攻撃性が示されている。最後は決勝ゴールを与えることになったが、前節・岡山戦について奥野僚右監督は「連戦3試合目のああいうタフなゲームで、2度追いついてまだなおかつ離されてもまだ行けるというものを見せられた。そこをベースにして、それ以上のものを次からは見せていきたいという固い決意を持っている」と、3-3と追いついたあとも勝利を目ざしてタフに戦いきったチームの成長に目を細めた。
その一方で、前節は4失点、前半だけで3失点を喫し、受けの脆さも露呈した。「みんなが危ないところをいち早く見つけて、自分が行けないなら声をかける。あるときはあるんですけど、やられたシーンというのはそういう声がなかった」(西河翔吾)と、人数は足りていたが相手をフリーで自陣ゴール前に潜り込ませてしまった。シーズン序盤から、コーナーキックやカウンターなど特定の失点パターンが続く傾向があった。
勝点の価値がよりシビアにのしかかるシーズン終盤に同じ状況では昇格の芽が消えることになるが、修正できる時間はまだある。そしてそれを克服できたとき、自動昇格レースに割って入る可能性も十分に秘めている。
札幌は前節・北九州戦で3連戦の疲労を考慮し、前線の選手を一部入れ替えて臨んだが、そこでチャンスをつかんだ1トップ・横野純貴が先制ゴールで結果を出し、前半2-1のリードを最後まで保って4試合ぶりの勝利を挙げた。1-1から勝ち越しとなる2点目のミドルシュートを決めた岡本賢明は「前半はすごく良くて本当に気持ちが入っていたし、内容的にも押せていったので良かった」と話すとおり、前半から飛ばして押し込んだのが3連戦に共通している。前半だけのシュート数を見れば熊本戦が9対5、京都戦が9対2、北九州戦が11対3。特に京都戦は相手に主導権を渡さず、今後めざすべき理想にふさわしい45分間だった。
しかし、岡本はこう続けている。「後半の戦いは課題が残りました」。後半には形勢が逆転したのも3連戦の共通事項。熊本戦は風上から風下に変わったエクスキューズはあるが、オウンゴール2つを含む3失点で逆転負け、京都戦は選手交代直後のフリーキックからこの試合唯一の得点を決められた。前節はリードを守りきったものの、自陣で守備に回る時間が多くなり、相手の決定機でヒヤリとする場面もあった。
昨シーズンJ1でも主力として戦った河合竜二や古田寛幸など長期離脱者が相次ぎ、内村圭宏もここ3試合はピッチに立っていない。そうした背景もあり、チームの機動力の部分を札幌U-18出身1、2年目の若い選手たちが担っている。財前恵一監督は「ゲーム運びに問題というか、若さがある。その辺を修正していかないと、このまま勝点を積み重ねていくのは難しいのかなと、正直思っています」と現状の課題を挙げているが、若い選手が実戦で鍛えられて伸びたとき、それはそのままチームの成長にダイレクトに反映されるケースは数多ある。勝利をめざす1試合1試合が、いまは貴重な経験にもなっている。
暫定8位と15位の対戦だが、札幌が勝てば勝点で並ぶほどの差しかない。5勝1敗とホームで圧倒的な強さを見せる山形と、4勝1分け2敗とアウェイで分がいい札幌という構図も楽しみをそそる。勝利のためにめざす戦術は大きく変わらないだろう。自らはラインを上げて全体をいかにコンパクトにできるか。相手のコンパクトを崩すためいかに積極的に背後を突き、セカンドボールを含めいかに球際の厳しさを維持するか。そして、90分間をとおしていかに勝利にこだわるか。
札幌は時間帯によって、ボールサイドに極端に寄る習性がある。勝負のスイッチとなる縦パスから連動して攻め込みたい山形は、サイドチェンジを入れながら相手の陣形を広げる作業の精度を高めることで、チャンスの扉は大きく開かれることになる。ファーサイドへのクロスも有効だ。攻守切り替わって、山形は攻撃の豊富なアイディアと決定力を持つ1トップ・前田俊介をアタッキングサードで自由にしないことが大前提。その前田を飛び越して裏を狙うトップ下の動きに注意を払うとともに、崩しきる前に放ってくるミドルシュートやアーリー気味のクロスなど、ワンテンポ早い仕掛けにも警戒したい。
「若くていい選手が多いので、勢いに乗せたら厄介だと思うので、そこは注意したい」とGK常澤聡。先手必勝。相手の長所を自分たちの長所で消しにいく、見ごたえのある攻防が期待できそうだ。
以上
2013.05.11 Reported by 佐藤円
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