開幕から黒星が先行していた川崎Fが、前節の磐田戦の勝利により、星を五分に戻してきた。リーグ戦の戦績は4勝4分4敗の9位となり、一桁順位にまで成績を上げている。そんな中、チーム内に広がるのが「5月は負けなしで締めたい」との言葉である。5月はリーグ戦4試合で3勝1分。また、ヤマザキナビスコカップの2試合でも1勝1分。ちなみに等々力での不敗記録も継続しておりリーグ戦4戦で2勝2分。ヤマザキナビスコカップでも3戦して2勝1分と負けがない。中断前最後のこの新潟戦は、そういう状況での戦いとなった。
この一戦に対し勝利への意欲を燃やす選手の一人が大久保嘉人である。この試合を最後にリーグ戦は中断期に入る。そのため「力を出し切ろうと思っています。スッキリして休みに入りたい。やり切らないと気持ち悪いですし、勝たないと」と述べている。
その大久保は、5月に入っての好調の要因として自信という言葉を使っている。「みんなの自信が戻ってきましたね。負けなくなったのはいい傾向だと思います。順位も一桁になりましたし、上位に向かって行けます」。今季は序盤に勝てない時期が続き、チーム外に動揺が広がる傾向があった。そのまま崩れてもおかしくはなかったが、そこで踏みとどまれた要因の一つとして自信を挙げていた。
チーム内に自信が回復することで増加するのがボール保持時間である。川崎Fの復調は選手たちの距離が適切に保たれるようになった事でもたらされた側面もある。最前線から最後尾までがコンパクトに維持され、守備面での対応が改善。ボールを奪った際の攻撃への切り替えがスムーズに行われるようになったのである。マイボールになった際に特に重要なのが、選手たちがボールを引き出す意識とそれを実現するための予備動作である。自信のない選手はパスを出す位置に顔を出せないが、そうではなく相手選手に隠れること無く常にパスをもらえる場所に顔を出す事で、ボールを前に運ぶパスワークが成立する事となった。
パスワークを大事にする川崎Fに対しては、前線からの激しいプレスが対応のセオリーの一つとなっている。これに対し、それを逆手に取った最終ラインからの長いパスにより、相手を間延びさせるという戦いもできつつある。時間帯によって長短のパスを使い分け、相手を揺さぶりながら戦うことができており、それが結果につながっているのである。
新潟の守備は前線から激しいプレスを仕掛けるスタイルをとっており、川崎Fとすれば対応を誤れない相手である。仮にパスを引っ掛けられ、高い場所でボールを奪われると、田中達也、川又堅碁の2トップを使った早めの攻撃に移行されてしまう。なお、新潟はこの二人で攻撃を完結させる事ができるため警戒が必要である。田中達は、前節の大分戦で移籍後初ゴールをマーク。また川又は大分戦でこそ連続ゴールは止まったが、それまでの3試合で連続ゴールを決めており、11節の鳥栖戦ではクラブ史上初となる日本人選手のハットトリックをマークしている。その川又について田中裕介は「調子のいい選手は気をつけないと」と話していた。
また田中達、川又の2トップに加え、金珍洙、川口尚紀の左右両サイドバックの攻撃参加によるサイド攻撃や、2列目からのミドルシュートなども怖さがある。大分戦でレオ シルバが見せた移籍後初ゴールは、バイタルエリアにできたスペースを突いたものであり、川崎Fが空けてしまいがちなエリアを使ったものだっただけに気をつけたいところだ。
川崎Fに課題があるとすれば、守備面での不安定さであろう。川崎Fは湘南、鳥栖と共に12試合を戦ったリーグ戦のすべての試合で失点。また、リーグ戦12試合中9試合で先制を許してきた。田中裕は「気にはなっていますが、先制されても追いつけている。今日こそは、と思ってやっているんですが、逆に言うと取られても慌てなくなってます」と述べていた。また實藤友紀は「前の選手がいいディフェンスをしてくれているし、点もとってくれるので後ろはできるだけ失点をしないようにしたい」と話していた。この試合ではなんとしても、今季初のリーグ戦無失点試合を見せてほしいと思う。
なお、5月好調の要因をもう一つ上げておくと、小林悠のコンスタントな活躍があげられる。5月のリーグ戦4試合で3得点。またヤマザキナビスコカップでも2試合で1ゴールと着実に結果を残しており、チームへの貢献度は高い。その小林は「チャンスに顔を出せる場面は増えました。みんながチャンスを作ってくれます」とチームメイトに感謝しつつ「もっともっと決めないとダメです。まだまだ足りません」と貪欲さを見せていた。この小林を始めとし、6ゴールの大久保、5ゴールのレナト、3ゴールの矢島卓郎と、攻撃的な選手がまんべんなく得点を取れているのもいい傾向であろう。
なお、川崎Fは試合翌日の26日ファン感謝デーを開催する。当然のことながら、選手たちはこの「ファン感」に、勝って臨みたいという思いを持っているという事も付記しておこうと思う。
以上
2013.05.24 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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