６月に入り夏日が増えてきた札幌市内。その３週目の土曜日に行われる第１９節では、現在勝点２３で１３位の札幌が、同２０で１７位の富山を札幌厚別公園競技場に迎えて対戦する。札幌にとってはこの６月最初のホームゲームだ。

札幌は前節、敵地で愛媛と対戦して２−３のスコアで敗戦。開始５分に上里一将の直接フリーキックで先制する幸先の良い展開に持ち込むも、前半のうちに逆転を喫し、後半中頃にはほぼ勝負が決する追加点を挙げられてしまい、逃げ切られた。

この愛媛戦を財前恵一監督は次のように振り返える。
「前半から動きや反応が悪く、相手の方が反応が早くて球際も強く、そういう展開であっさり逆転された」「１試合を通して全て相手が上だった」。
現時点の順位は札幌のほうが上にいるが、完全に力負けをしたと指揮官は見ているのだろう。開始早々に先制点を奪った前半についても「０−３くらいの内容だと思っている」と手厳しい。

さらに指揮官は今シーズンここまでの戦いぶりについても、「たまたま調子が良い選手が活躍したりだとか、そういうのがあって勝てただけ。力はまだまだ足りない」と、ここから突入する中盤戦に向けチームを引き締めるコメントも発している。今週は浦和、広島といった北海道で合宿中のＪ１チームとトレーニングマッチを行い、「『相手がうまかった』で終わらせず、肌で感じたことを試合で生かして欲しい」（財前監督）と、来るホームゲームに向けてメンタル面の向上に着手している印象だ。

一方、北海道に乗り込んでくる富山の前節は０−０で群馬とドロー。ホームの声援を受けて積極的に群馬を攻め立てながらも無得点に終った。しかし、守備に目を向ければチーム全体が球際で力強くプレーし、第８節の神戸戦以来となる無失点試合とあって収穫は大きいはず。前半立ち上がりに攻撃の軸である苔口卓也が負傷退場となる手痛いアクシデントもあったが、それを跳ね返した格好だ。

「果敢に攻めても無失点で守れた」「これまでなら逆にカウンターでやられてしまうこともあった」。安間貴義監督はそうやって試合を振り返る。「果敢に攻めた」と攻撃面を称えながらも、やはり相手をシャットアウトした守備の部分に手応えを得たようである。

無失点で終えたことについて指揮官はこうも言及している。
「０−２になってそれ以上失点を増やさないように、そのまま試合を終わらせようとするチームはある。しかしウチはクラブとして観客を増やそうとしているから、１点でも返そうとする。攻守のバランスを崩して失点することは多かった。０−０で終わらせようとするのではなく、あくまでも勝ちにいったが、今日は守りでも相手に攻撃の起点を作らせず危ないところを消すことができた」

積極的に相手ゴールに迫る攻撃的なサッカーで観客を魅了し、さらに集客する。それが富山のコンセプトということなのだろう。もちろん、前がかりになるそのスタイルには常に失点のリスクがつきまとってしまうが、この群馬戦では攻撃的に戦いながらも失点ゼロで終えてみせた。ホームで勝点３を挙げることはできなかったが、ある意味では勝利以上に大きな自信を得た一戦になったと見てもいいだろう。富山が勢いを得る契機とも評せるかもしれない。

さて、そんなチーム同士の対戦だが、やはりアグレッシブな攻め合いに期待をしてしまう。ポゼッションスタイルを志向する今シーズンの札幌は、ここまでホームで僅か１勝にとどまっており、選手たちも「なんとしてもホームで勝って、いつも応援してくれるサポーターに喜んでもらいたい」と口々に高い意欲を発する。対する富山も前述したように攻撃的な姿勢を打ち出すチーム。双方が勝点３を狙う、アグレッシブな熱戦になることは間違いないだろう。

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2013.06.14 Reported by 斉藤宏則