第8節で首位に立って以来その座を守り続けている大宮だが、前節は横浜FMに今季2敗目を喫し、2位広島との勝点差は3に縮まった。それでも今節を引き分け以上で終えれば、中間点を首位で折り返すことになる。ホームNACK5スタジアム大宮に迎えるのは、序盤の低迷が嘘のように7位まで浮上してきた好調の川崎F。ここを首位で踏ん張れるか。しかし状況は厳しい。
その状況とは、言うまでもなくノヴァコヴィッチとズラタン不在のことだ。ズラタンは6月末から肉離れで別メニュー調整が続き、ノヴァコヴィッチは前々節の名古屋戦で右足首を捻挫して全治4週間。いつもは「だれが出ても同じようにプレーできるチームを作っている」とくり返すベルデニック監督も、横浜FM戦後はさすがにスロベニアン2トップ不在の影響を認める発言をせざるを得なかったように、大宮は前線でボールが収めることができず、あっという間にボールを奪い返されて押し込まれた。しかも、そういう時に後方からゲームを組み立てることができる左サイドバック下平匠までが肉離れで離脱しているのは、まさに泣きっ面に蜂だった。攻撃が上手くいかないのはもちろん、彼ら不在の影響は守備時にも現れる。直接的にプレスをかけるスピードや技術の話ではない。彼らほどのFWが前線に残っているというその事実だけで、相手は攻めながらも常に後方にプレッシャーを感じ、結果として攻撃の迫力は削られ、大宮の守備はそれだけ楽になる。実際に前半は遠慮会釈ない横浜FMの猛攻にさらされ、記者席で見ながら大量失点を覚悟したのは今シーズン初めてだった。蒸し風呂状態の猛暑の中、横浜FMが後半はペースを落として受けに回る場面も出て、最終的にスコアは2−1となったが、スコア以上の完敗だった感はぬぐえない。
一方の川崎Fは、現在最も好調なチームの一つだ。5月から始まった公式戦負けなし記録は前々節の広島戦で途切れたが、前節は浦和に4−0で圧勝している。もともと攻撃偏重のチーム同士の戦いなので浦和を相手に4点を奪ったことはさほど驚きではなかったが、リーグ戦で今シーズン初めて無失点に(それも浦和を相手に)抑えたことには正直驚いた。負けていたり同点の状況はもちろん、勝っていても人数をかけて足元でつないでイケイケで攻めてカウンターで失点、結果的に勝つにしても無傷では終わらないのが風間フロンターレのイメージだったが、戦績が上昇し始めた5月ごろからは、簡単にスペースに蹴ってFWを走らせる攻撃も積極的に織り交ぜている。まずはカウンター、それからポゼッションと、バランスが取れてきた結果、守備も安定してきた印象だ。
大宮としては、何よりまず川崎Fのカウンターを警戒しなければならない。「いつも以上にリスクマネジメントが大事な試合になる。前に持ってくるスピードが尋常でなく速いので、レナトらが攻め残っているのをしっかりつかんでおいて、ボールを奪われた瞬間にスペースを与えず、ドリブルをさせないようにしたい」と、北野貴之は対策を語る。また横浜FM戦後、選手は口々に「中村(俊輔)のフリーキックを警戒するあまり、ファウルをしないようにと厳しく守備ができなかった」と振り返っているが、川崎Fには中村憲剛がいる。それでも「僕たちはそれ(厳しい守備)で勝ってきたチームだから、持ち味を出せずに後手を踏むより、自分らしさを出していく」(青木拓矢)と、もう一度『堅守大宮』の原点に立ち返って川崎Fの攻撃を抑えることで、首位ターンが見えてくる。
スロベニアン2トップ不在の状況で、オープンな撃ち合いになると大宮の不利は否めない。川崎Fにスペースを与えず、ボールをある程度持たせ、人数をかけて攻撃に出させることで、逆にカウンターをねらうのがセオリーだろう。3バックと4バックを使い分けてくる川崎Fがどちらの布陣を選択するかも一つの見どころになるし、大宮の2トップの人選も興味深いところだ。スピードで攻めきるならば富山貴光やチョ ヨンチョルをトップに入れたいが、川崎FのDFラインは彼らのスピードが生かせるほど高くはない。横浜FM戦の後半である程度は機能した、長谷川悠と鈴木規郎の2トップに早くボールを入れ、そこからのキープとコンビネーションで崩す形を取ってきそうだ。彼らがどれだけ川崎F守備陣に脅威を与えられるかが、大宮の生命線になるだろう。
この試合が終われば2週間の中断。大宮としては、「この試合に負けるとしんどいし、チームとして踏ん張りどころ」(村上和弘)であり、何としてもここを乗り切って首位でターンしたい。再開後にはズラタンと下平は復帰してくると見込まれるし、良い形で広島との決戦に臨める。もちろん川崎Fも勝つことで好調と自信を維持し、できるだけ高い順位で再開を迎えたいはず。連日の猛暑の4連戦、その最後を飾るにふさわしい熱戦に期待したい。
以上
2013.07.16 Reported by 芥川和久
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第17節 大宮 vs 川崎F】プレビュー:スロベニアン2トップ不在の大宮、ここが耐えどころ。首位ターンへ川崎Fの神速カウンターを食い止める。(13.07.16)















