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【J1:第17節 F東京 vs 甲府】レポート:MOVING FOOTBALL、貫いた先の結果(13.07.18)

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進み始めたばかりの電光掲示板の時計は、まだ1分にも到達していなかった。甲府は試合開始数十秒で先制点をもぎ取った。右サイドのペナルティエリアの角付近から福田健介が斜め前へと転がす。そこに佐々木翔が走り込んでかかとで落とすと、柏好文が反応してクロスを上げた。平本一樹がこのファーストチャンスをきっちりと頭で決めて甲府が先制した。

F東京も反撃に転じ、18分にルーカスが太田宏介のアーリークロスを頭で叩きつけて同点に追いついた。そこから試合は膠着した。1−1のスコアで試合は推移していく。甲府は、最終ラインと中盤が2ラインとなって守るブロックを組んだ。前線の2人はパスコースを限定し、ときにはプレスバックして守備を助けた。F東京は、その献身的な守備を攻めあぐねた。
甲府の城福浩監督は悔しさの滲む声で「選手たちに70分間はよくやったと声を掛けたい内容。ただし、90分間ではそう言えなくなってしまった」と言った。

69分が、この試合の勝負を分けた場面となった。その8分前、甲府はDFの盛田剛平をピッチへと送り出している。この交代によって、攻守両面で高さを加えたかった意図がうかがえる。しかし、失点の場面で皮肉にもボールはその盛田の頭の上を越えて渡邉千真によってゴールネットを揺らされた。甲府はそこからそれまでのシーソーゲームが嘘だったかのようにあっけなく失点を重ねていった。

ここからの展開は、一方的になった。オープンな撃ち合いになると、F東京は82分に、途中出場のネマニャ・ヴチチェヴィッチが3点目を奪い、終了間際の89分には渡邉がだめ押しの4点目を決めて試合を終わらせた。この展開へと持ち込む意図は、ポポヴィッチ監督の積極的な交代策にも表れていた。53分にネマニャを入れ、74分には石川直宏、そして82分には三田啓貴がピッチへと送り出された。3者ともにゴールの意欲が強く、積極的な仕掛けを武器にした選手たちだった。そのネマニャが3点目を入れ、石川がそれをアシストした。
試合後、甲府の指揮官は「2点目を取られれば、オープンにならざるを得ない。そうなると、不利な試合が続いている」と言葉にしている。オープンに撃ち合う展開では、組織でカバーしていた個々の力量差が浮き彫りとなってしまう。そして、70分以降の余力にも差があったのは事実だろう。後から出てきた選手たちによってF東京はギアを一段上げることができたが、甲府はチーム全体の疲労が著しく交代選手も試合に入り込むことができなかった。その展開に持ち込んだF東京と、それを防ぎたかった甲府。終わってみれば、4−1でF東京は2連勝を飾り、甲府は7連敗となった。

甲府の複数人が絡んだ先制点は、Moving Footballの真骨頂とも呼べるゴールだった。チーム全体の運動量も豊富で、誰ひとりとしてさぼらない姿勢はすばらしかった。ただし、1失点目の直後から変化が起きていた。ベンチ前の城福監督はしきりに「落ち着け」と合図を送り、土屋征夫は最終ラインでポジションを取り直しながらゆったりとボールを回そうとしているのに、チーム全体が焦って前へ前へと急ぎすぎていた。土屋は「前半からボールを持つ時間が少なかった」と唇を噛んだ。落ち着いて自分たちの時間を長くすれば、守備に走り回る時間はもっと削れたはずだ。そうすれば、余力を残して試合終盤を迎えることができたかもしれない。
F東京の米本拓司は試合後、「僕たちの今のサッカーは、城福さんのサッカーの延長線上にある。同じつなぐサッカーをすれば、僕らの方が力は上だった」と語っている。スタイルの有効性を熟知しているからこそ、それを信じることができる。そういった選手が米本を初め、チームに複数人いることは心強い。「ボールをつなぐ」と「勝つため」をイコールで結ぶことができるのも、相手ベンチに座った指揮官とともに、多くの失敗と成功を繰り返しながら身につけたものでもある。そこに今は、新たな積み上げもしている。F東京は奪ったボールは丁寧につなぎ直して主導権を握り続け、ここぞの場面では縦に素早く仕掛けることもできていた。
試合終了間際、ホームのゴール裏からは「You'll never walk alone」が歌われた。誰に向けられたモノかは分からない。ただ、試合後の会見でともにあると口にした敵将は一人じゃないはずだ。

以上

2013.07.18 Reported by 馬場康平
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