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【J2:第25節 山形 vs 岡山】レポート:絶対的に揺るがない核をベースに戦う岡山が逆転で勝利!山形は失点癖を抱えたまま4連敗で13位に後退。(13.07.21)

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90分でのシュート数は15対5、しかしスコアは1-2。山形のユニフォームの色は特別仕様のピンク色に変わったが、手数の多さが勝利に結びつかないパターンは継続された。

前半の山形は、前節からの修正をさらに一歩前進させていた。全体の距離感を適正に保ち、ボールの奪いどころも共通の認識のもとはっきりとしていた。特に右サイドでは小林亮が何度もインターセプトを繰り返し、カウンター気味の攻撃に転じることもできていた。押谷祐樹や妹尾隆佑など岡山の前線の選手に間で受けられ、前を向かれることもあったが、それも最小限、単発に終わらせる。自陣で相手をフリーにするシーンはほとんどなく、安定した状態から攻撃に転じていた。

その攻撃では、序盤は早いタイミングで裏へ飛び出す選手をうまく使い、時間とともにショートパスも増やしていった。アウトサイドに展開できるシーンで中の選択肢を使うケースもあったが、林陵平がしっかりとワンポイントをつくり、押し込むにつれてセカンドボールの奪取率も上向いた。J2最少失点の岡山の守備はそれでも崩れず、山形が決定的な形をつくるまでにはいたらなかったが、それでも焦れることなく、バランスを崩さず、ボールを保持したなかで

その我慢が身を結んだのが43分。右サイドへ開いていた中島裕希へ伊東俊からサイドチェンジが入ると、植田龍仁朗には縦を切られたが、寄ってきたロメロ フランクへ預ける。ロメロ フランクは間髪入れずに縦の伊東へ当てて中央へ潜り込み、「ワンツーしたときにもうシュートを打とうと思った」と2タッチ目で左足を振り抜いた。ファーストタッチがやや流れ、外から絞ってきた後藤圭太も巧妙にシュートコートを消していたが、その背後に構えていた竹田忠嗣に当たって角度を変えたボールにはGK中林洋次も見送ることしかできなかった。

我慢の末、堅守・岡山から前半終了間際に先制点を奪う展開は、山形にとっては願ってもない理想的なものだった。しかし、影山雅永監督は「必ず後半追いつき、突き放すという強い気持ちを持ち、それを表に出して闘うこと」と強いメッセージで送り出す。最近8試合で3得点とチームという負のデータはそこには存在していない。影山監督は戦術的な変更こそ与えなかったが、「今度は0-1になってしまいましたので、自分たちでボールを奪いにいくんだよというところ、前半よりも強く前から行こう」と指示を出したとおり、後半の岡山はボール奪取の厳しさや縦への推進力を増した。山形はこの時間、攻撃の芽を摘む守備はできていたが、「カウンターを仕掛けられるタイミングで簡単にボールを失う、その取られ方が悪かった」(石井秀典)と落ち着かせることができず、「交代で出てきたトップの選手にボールが収まるようになって、少しずつラインが押し下げられる形になった」(奥野僚右監督)。その山形に対し、岡山は田中奏一や田所諒などワイドからの仕掛けがさらに目立ち始め、57分に得たフリーキックから植田が高さと強さを生かしたヘディングで同点ゴールを決めた。

追いつかれた山形はここで中島裕希に代えて宮阪政樹をボランチに投入。左右、そして縦へ効果的なボールを入れやや落ち着きを取り戻したかに見えたが、岡山が65分、自陣のフリーキックから右スペースを突き、クロスにヘディングで合わせたのはファーサイドの久木田紳吾。これはミートせず山形が助かったが、岡山ペースで動かされ、カウンターの馬力を失った山形は74分、秋葉のボール奪取からロメロ フランクのクロスにつなげたが、飛び込んだ林にはあと少しのところで合わなかった。

このピンチをしのいだ岡山がその直後、逆にビッグチャンスをモノにする。右サイドからの田中のフィードはジャンプした久木田には届かなかったが、その動きにややかぶった状態で対応した堀之内聖がクリアを久木田に当ててしまう。久木田はそのままフリーで前に持ち出し、中央へ折り返し。ボールはファーサイドへ抜けていったが、「右サイドからのクロスに関しては、逆サイドに抜けてくるなというのはこの試合、匂いとしてあった」と長い距離を走ってきた田所がキャッチ。角度のない位置だったため、利き足とは逆の右足にボールを置くことになったが、正確なコントロールで逆転のゴールマウスを射抜いた。田所は前回対戦でも決勝点を含む2得点1アシストを記録しているが、この試合でも1得点1アシスト。

久木田、桑田慎一朗に続き、85分には関戸健二を投入し、前線の3枚を総入れ替えした岡山は、田所のゴール以降シュートを放つことはなかったが、守備、カウンターともに運動量を確保。山形は82分に山崎雅人のスルーパスでペナルティーエリアに侵入した秋葉勝のシュートや、アディショナルタイムの宮阪のロングシュートなど見せ場がなかったわけではないが、集中を切らさない岡山の守備を破ることは最後までできなかった。

いまの山形は、もっとも弱い箇所がその環全体の強さであるとする「ウィーケストリンク」の理論を想起させる。セットプレー、サイドからのクロス、カウンター対応など、抱えている致命的なアキレス腱がそのまま結果に直結している。防ぐ手だては確かに打っているが、時間が進み、展開が積み重なるとそれが疎かになったり、疲労で苦しい対応を迫られボロが出る。4連敗と追い詰められ、ともすれば外見を取り繕うだけの対処療法に走りがちだが、むしろここは時間をかけてでも根治をめざし真摯に向き合う必要がある。

対照的に、大きな穴を作らなかった岡山はその手堅さをベースに逆転にこぎ着けた。複数得点は9試合ぶり、アウェイでの勝利は3月31日の愛媛戦以来10試合ぶり。得点力に苦しんで引き分けが多く、ここまで平坦な道のりではなかったが、先制された「1点取られても慌てず、自分たちのしっかりとした守備を続ける。そこからボールを運んでゴール前に迫力を出して入っていく。そういった、我々がずっと得点を挙げるために模索してきた形というものが、今日2得点という形で表れたのは非常に明るい兆しだなと思っています」と影山監督。順位は9位から8位に。その内部に絶対的な核の部分を育てながら、次のステップアップを狙う。

以上

2013.07.21 Reported by 佐藤円
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