群馬と富山の下位直接対決はともに1度ずつゴールネットが揺れたが、1−1の痛み分けに終わった。
試合開始2時間前、正田スタの天候は突然崩れた。激しい雷がスタジアム上空にとどろき、バケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨がピッチを叩く。落雷の影響でバックスタンド南の照明一基が故障。一時は試合開催自体も危ぶまれたが開始予定時刻から約50分遅れた午後7時49分にキックオフとなった。
4連敗中の群馬は、富山と同じ3−4−3のシステムを選択してガチンコ勝負を挑んだ。「マッチアップする相手に負けないようにした」(有薗真吾)。3バックの中央に配置されたのは残留請負人として湘南から期限付き移籍した新加入のクォン・ハンジン。群馬は新守備陣で連敗脱出を図る。一方の富山は、ケガ明けの西川優大が先発復帰。キムヨングンとの2シャドー、そして朝日大輔をボランチ起用して9試合ぶりの勝利を狙う。
草津町のミニキャンプで守備戦術の確認を徹底した群馬は前線から積極的にプレスを仕掛けて富山の自由を奪う。対する富山は序盤こそ群馬の勢いに押されたものの20分過ぎからは自慢のパスワークで群馬のプレスをかわしてバイタルへボールを運ぶようになる。先にゴールを奪ったのは富山だった。
43分、サイドを有効活用して群馬を押し込んだ富山は、バイタルでボールを受けた朝日が右足を豪快に振り抜き、一直線にゴールへと突き刺す。群馬のラインが下がったタイミングを朝日が見逃さなかったことが得点につながった。群馬の黄誠秀は「富山のシャドーが裏へ入ってきたのでそれに釣られてバイタルが空いてしまった」と失点を悔やんだ。
1点を奪い返したのはその黄誠秀だった。67分、攻撃のスイッチを入れた群馬はCB乾大知が駆け上がってスルー。そのパスを受けてペナ内へ進入した黄誠秀が左足で冷静に流し込んでゲームを振り出しに戻す。黄誠秀は「長い距離を走れば相手のマークが外れると思ったので迷いなく走った」とゴールを振り返った。
連敗脱出を狙う群馬は後半、永田亮太とエデルを投入。足の止まった富山を敵陣に追いつめていくが、ゴールへとつながるパスとコンビネーションのプレー精度が足りずに決定機を作れない。終了間際には永田が立て続けにゴールを狙うがGK守田達弥に阻まれ、勝ち越し点を奪うことなくゲームを終えた。群馬はボールを保持する時間は長かったがゴールへ向かう迫力が足りなかった。
富山は1点を先制しながら、後半に同点に追いつかれて9戦勝ちなしとなった。前半はサイド攻撃に前線の流動的な動きを加えて好機を演出していったが、受け身になった後半は動きが止まってしまった。「(他クラブの)情報が入ってくる中で去年残留争いを経験している分、数字のことなどを考えてしまっていると感じた」(安間監督)。富山がこの状況を脱するには勝つしかない。
ドローとなった群馬はかろうじて連敗を止めたが、岐阜が勝利を収めたことで再び最下位に転落した。クォン ハンジンの守備や黄誠秀のゴールなどチームにとっての好材料もみえたが、勝点3を奪うという最大のミッションは達成できなかった。26節を終えてJ2で一番弱いクラブであるという事実から眼をそらすことなく、現実と謙虚に向き合うことが求められる。この勝点1という小さな火種をいかに燃え上がらせるか。この希望は決して絶やしてはいけない。
以上
2013.07.28 Reported by 伊藤寿学















