7月27日(土) 2013 J2リーグ戦 第26節
東京V 3 - 3 G大阪 (18:04/味スタ/18,705人)
得点者:4' 刀根亮輔(東京V)、53' 西紀寛(東京V)、55' ロチャ(G大阪)、64' パウリーニョ(G大阪)、73' 遠藤保仁(G大阪)、90'+1 石神直哉(東京V)
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最後の最後まで行方のわからない、白熱した好ゲームだった。試合後、取材に応じた宇佐美貴史が開口一番「いろいろなことが起こった中で」と切り出したが、言葉通り、ゲームを大きく動かす出来事がいくつも混在した、興味深い内容となった。
点は、早くから動いた。前半4分、CKのセカンドボールを再び東京Vが拾うと、左から石神直哉がクロスボールを送り込む。相手DFにクリアされるが、そのこぼれ球を井林章がオーバーヘッドで弾き返したところに刀根亮輔。瞬間に右足で流し込み、東京Vが先制に成功した。幸先よくスタートをきったホームチームは、その後もしばらくは流れをつかんで攻撃をしかけられていた。
ところが、流れが変わったのが23分、G大阪がDF岩下敬輔の負傷退場を機にシステム変更を余儀なくされてからだった。長谷川健太監督は、FWロチャを加入後初めてピッチに送り出すと、宇佐美との2トップへ。岩下のいたセンターバックには今野泰幸が一列下がって入り、そのボランチを遠藤保仁が務めるという配置へと移行すると、これが吉と出たのか、より中盤から前でボールがスムーズに回るようになっていった。そして、30分を過ぎたあたりからは、完全にG大阪が主導権を握った。特に明神智和、遠藤の両ボランチからの鋭い縦パスは非常に有効で、そこから宇佐美、大森晃太郎、ロチャらが小刻みにダイレクトパスをつなぎ、手を変え品を変え東京Vのゴール前をこじ開けにかかる。だが、それを間一髪のところでことごとく跳ね返した東京VDFの集中力と粘りも見事だった。間一髪でピンチを脱すると、前半を1−0のままで終えた。
しかし、ハーフタイムで天候が一転する。霧雨混じりの強風が吹き、視界が霞み始めた。「荒れそう」そう予想するのは難しくなかったが、試合展開に与えた影響も、あまりにも大きかった。
この試合2点目も、東京Vのものとなった。53分、アンカー鈴木惇が右の森勇介へ広げ、その折り返しに反応していたのは西紀寛と常盤聡。先にいたのは西だが、あえて触れずに次のゴールに走り込む役割を選択すると、そのすぐ後ろにいた常盤が森からのパスをダイレクトで叩いて西へ。同じ画を描いたであろう背番号11は、トップスピードのまま右足で強烈に突き刺した。見事な崩しでリードを広げたが、「2−0の状態が短かすぎた」(鈴木惇)。
2分後の55分、G大阪 はアクシデントでチャンスを得た初出場のロチャのJ初ゴールで、「まだまだここから」と反撃の狼煙を上げると、突如大粒の雨に変化したのとタイミングを同じくした64分、宇佐美の丁寧なパスに合せてパウリーニョが抜け出し、左足。そして、73分には遠藤が東京VGK佐藤優也が一歩も動けないほどの高精度FKを直決める。図らずも、9分ごとに3連続ゴールを挙げ、圧巻の逆転劇を披露したのだった。その後も、時間が経つに連れて強まっていく雨が、徐々に東京Vから戦意を削ぎ落としていくかのようにも見えたが、大自然は豪雨だけではなく、雷までも味の素スタジアムへもたらせた。
78分を過ぎ、残り12分を残したところで一時中断の決定がなされると、約55分間の待機を余儀なくされた。
ある意味、そこでの三浦泰年監督の指示が、この試合結果を招いたと言っても過言ではないだろう。「2-3で逆転された試合はもう終わった試合。で、新しい試合は15分だ。また新しい入りをして、新しくスタートさせよう!」。この言葉で、選手たちは見事に戦意を取り戻した。「僕たちは追いかける立場で、G大阪は逃げ切ろうという立場。構図がはっきりしていた」(鈴木)なか、東京Vは『15分一発勝負』を制するために、水が浮き、ボールが転がらない悪ピッチ状態の中、とにかく懸命にゴールだけを目指し走り、攻め続けた。すると、アディショナルタイム1分を過ぎたところだった。鈴木からのボールを相手DFのクリアが小さくなってこぼれたところを見逃さず、詰めていた石神が強烈に叩き込み、土壇場で追いついてみせた。「残り15分間を1−0で勝って終われたという意味では、よかった」(井林)。15分間を1つのゲームと位置づけるという、まさに東京Vの視点を変えての“逸点”にほかならないだろう。
逆に、G大阪としては、「勿体無い」の一言に尽きる失点だったに違いない。もちろん、リードしている立場としては、あの天候状況、加えて『とことんつないで崩すポゼッションサッカー』というチームのサッカースタイルと水が浮いてボールが止まるピッチ状況との相性を考えれば、無駄に攻めて自らピンチを招く可能性は避けて当然と言えよう。FW宇佐美も、「本当は、リフティングで持ち込んで、攻めて時間を稼ごうかとも思ったのですが、周りを見たらそういう感じでもなかったので、やめておきました」周囲の空気を読んだことで、攻めて時間を稼ぐという選択肢を抑え込んだ。だが、残念ながら、そのチーム全体の「逃げ切ろう」という姿勢が、勝点2を失う形となってしまった。
東京Vにとっては、せっかく先制し、2点もリードを広げながらも逆転されたという反省点と、その一方で、2-0からの逆転という、メンタル的なダメージを乗り越え同点に追いつけたプラス点。G大阪は、2点をリードされても「逆転できる」と信じ、それを現実のものとするチーム力の高さと、逆に、最後の最後「押し込まれたときにどういう風に試合を決められるかを詰めていかなければならない」という課題。両チームとも、今後へ向けた収穫と課題がはっきりと見えたと言えるのではないだろうか。
とはいえ、この日味の素スタジアムへ訪れた来場者は18000人を超えていた。その中で、個のスキルの高さ、チームとして戦う意義、最後の最後まで試合の行方はわらかないことなど、サッカーの妙とも言うべきものを、東京V、G大阪ともしっかりと示してくれたのではないだろうか。あくまで推測の域を超えないが、スタジアムからの帰り道、「面白かったね」と、この試合を話題に盛り上がっている来場者の姿が目に浮かぶ。「また観に行きたい」と思う人は、きっと多かったに違いない。そう思えるような、とてもスペクタクルなゲームだった。
以上
2013.07.28 Reported by 上岡真里江















