蒸し暑さが残る中行われた、北九州vs松本の一戦。「九州は高温多湿だから、松本のナイトゲームとは違う」試合後に、松本の反町康治監督が口にした通り、うだるような暑さは、前半松本の選手たちを苦しめた。
前回の対戦で、出番が無かった北九州の池元友樹と、ケガから復帰したキム ドンフィのスピードに苦しめられ、ファウルで対応するしか無かった松本の守備。ホームの北九州はあらゆる形の攻撃を出しながら、先制ゴールを目指した。最初のチャンスは15分のFK。小手川宏基のクロスを、ファーサイドで合わせた渡邉将基のヘッドはゴール左に逸れる。それ以降も、単調な攻撃だった松本を尻目に、北九州はカウンターと遅攻を織り交ぜながら攻めるが、流れが来ているにも関わらず畳み掛けられない攻撃では、最後のところで体を張ってでも止めに掛かる松本には、怖さを与えるまでには至らなかった。
対する松本は、21分に放った鐡戸裕史のシュートのみ。この日5試合振りに1トップに入った塩沢勝吾と、2シャドーの船山貴之と楠瀬章仁の距離感も悪かった。ただ、攻撃の形すら作れないまま前半を終え、ロッカールームに引き上げる船山の表情が、淡々としていたのは、悪いなりに前半を無失点に抑えた自信からだったからなのかもしれない。
ハーフタイム、反町監督は「攻撃が、あまりにもつまらない」と発破をかけると、動きが悪かったチームは、エンジンが吹き返したかの様に、全員の連動した動きが出てくる。サイドで船山が起点を作り始め、1トップの塩沢とも少し距離を置く。サイドからシンプルにクロスを上げながらも、セカンドボールをボランチの岩沼俊介と喜山康平が拾い、開いた船山と楠瀬が2次攻撃を仕掛け押し込むと、最終ラインに空いた北九州守備陣のスペースを、船山は見逃さずスルーパスを通した。上手く反応した塩沢が、DFを振り切りながら右足で流し込み、ワンチャンスを見逃さなかった松本が52分に先取点を奪う。
「いい流れで戦っている中、先に失点した。リズムよく攻めている時に、やっぱりもっと畳みかけないと苦しい展開になってくる」北九州の主将・前田和哉の口にした言葉が、今の北九州の状態を表してしまった。それでも、紫の北九州市制50周年記念ユニフォームを着て戦う最終戦。勝点3が欲しい北九州は、前節Jデビューを飾った井上翔太を投入し、攻撃のシフトを上げる。中盤でバランスを保ちながらプレーしていたボランチの八角剛史と新井純平のコンビも、ゴール前に積極的に顔を出すようになっていった。
すると64分、ボールを受けた八角の柔らかいクロスが、ペナルティエリア内の池元に通る。池元は巧く体を使って、マークに来ていた松本のDF鐡戸を振り払い、そのままアクロバティックなボレーのシュートを突き刺す同点ゴールを決め、試合を振り出しに戻した。
息を吹き返した北九州は、ゴール前に人数を掛け逆転を狙ったが、最後のところをやらせない松本守備陣の壁を壊せず。対する松本は、これ以上上位陣と勝点を離されない為にも、反町監督は勝負に出る。1トップを、塩沢に代え長沢駿。運動量が落ちて来た楠瀬に代え、一人で打開出来る北井佑季を投入。勝点3を狙った両チームの激しい戦いは、このままドローで終わると思われた90分。また、この男がゴールを演出する。左サイドでボールを受けた船山は、相手のマークを振り払ってゴール前にクロスを上げると、191cmの長身FW長沢は得意の頭で合わせ2−1と勝ち越し、追いすがる北九州を退け勝利した。貴重な勝ち越し弾が、移籍後初ゴールとなった長沢は「チームが苦しい時に何かが出来る選手になりたいと思っているので、『ここで点を取れればヒーローになれる』と思っていた」と、満面の笑顔で試合後に答えてくれた。
勝った松本は、苦しみながらも勝点3を積み上げ、暫定ながら12位と踏みとどまった。対する北九州は、ここ6試合勝ちなし。後半戦がスタートした7月は、僅かに勝点2を積み上げただけに終わり、いよいよ苦しい状況に追い込まれてしまった。まだ16節あるとはいえ、勝点3を取る為には何が必要か、今後考えなければならない。
以上
2013.07.28 Reported by 坂本真















