3バックから4バックに戻して3試合目。これまで1勝1敗の成績であり、まだこのシステムがはまっているかどうかは定かではない。率直な意見を言うと、3バックの戦いでそのまま通して、戦術の底上げを図った方がいいような気もするが、開幕以後の途中加入が9人と、顔ぶれも変わったことでの【4-4-2】。2試合を終えて浸透度が高まったのか。ここが注目だが、この日のスタメンは前2試合と大きく代わった。
FW中村祐輝がケガで離脱し、新加入のバージェと、これまでサイドハーフだった樋口寛規が2トップを組んだ。右サイドバック杉山新の出場停止を受けて、野垣内俊を右サイドバックに、さらに本来はボランチのポジションに入っていた益山司を左サイドバックに起用。センターバックもデズモンドがいきなりベンチ外で、代わりに新井辰也が新加入の木谷公亮とコンビを組んだ。
大きくメンバーが代わり、組み合わせが注目されたこの試合、前半の岐阜の出来は上々だった。要因はプレスがしっかりとはまっていたこと。神戸が全く同じシステムとあって、アタッカーに対するマークがしっかり付けたことと、新井がFW田代有三をうまくケアし、木谷がラインコントロール。さらに左の益山が時折センターにカバーに入りつつ、MF小川慶治朗の動きもケア。4バックが安定したことで、中盤の4人もコンパクトな中でプレーすることができ、バージェと樋口も果敢なプレスに行ったことで、神戸に自由を与えなかった。
岐阜としてはこの流れの中で点を取っておきたかった。樋口、MF柴原誠がゴールに迫るが、決定的なチャンスは作れず。逆に35分には新井がFWポポに競り負け、GKと1対1となるシーンを作られるが、これはGK時久省吾がファインブロックを見せた。
そして42分、岐阜は右CKを得ると、MF美尾敦が蹴ったボールを、ファーサイドで木谷がドンピシャヘッドで合わせ、移籍後初ゴールで岐阜が先制に成功。1-0という理想的な形で前半を折り返した。
後半このリズムを失うことなく戦えるか、がポイントだった。J1昇格に向けて負けられない神戸は、立ち上がりから全身全霊で攻めてきた。
48分、益山のミスを突かれ、ポポに持ち込まれる。ポポのクロスからの折り返しはわずかに流れたが、52分には右をマジーニョに破られ、左の小川に展開される。小川は野垣内をワンタッチで交わしゴール前に迫ると、GK時久もかわしてシュート。決定的なシュートだったが、これはゴールカバーをしていた新井がヘッドでクリア。55分には左からサイドバックの茂木弘人がカットインからシュート。これはバーを直撃した。
さらに攻め手を強める神戸は、後ろを岩波拓也とイ・グァンソンの2バック状態にし、ハーフタイムに安達亮監督からの「サイドからのクロスを使って行け」という指示通り、両サイドバックが高い位置に張り出して、中央で組み立てながらも、サイドを起点に中央にブロックを築く岐阜を揺さぶりにかかった。57分にはボランチの田中英雄に代えて、ドリブラーの松村亮を投入。松村を前線に上げ、ポポをボランチに。ポポも積極的に前に飛び出せるようにし、中央の厚みを加えてきた。62分には、右サイドを破り、折り返しを松村が決定的なシュートを放つが、GK時久が触れ、ボールはバーに弾かれた。
試合は完全なワンサイドゲームに。これに対して、岐阜は62分に柴原に代え李漢宰を投入し、前線にバージェだけを残し3ボランチ気味にした。これによりワンサイド色はより強くなった。だが、これは「1点を何が何でも守りきれ」という行徳浩二監督からの強烈なメッセージ。ワンサイド覚悟で、我慢する岐阜の姿に、ホーム長良川競技場のスタンドからは熱のこもった声援が注がれるようになっていく。
耐えて耐えて迎えた3分のアディショナルタイム。さらに集中した岐阜の守備は、最後まで崩れることなくタイムアップ。
「この勝ちは単なる勝ちではない」と李が語ったように、岐阜が選手、ベンチ、サポーターが一丸となってつかんだ金星だった。ジャイアントキリングを起こした岐阜。だが、他のクラブも勝点をあげたため順位は依然最下位のままだ。それだけ下位のチームは必死になり、上位チームでも勝つのが難しくなっている。落ちたくない。これは、下位の全チームが持っている危機感で、この中で勝ち残るためには一番『落ちたくない気持ち』を出さないといけない。これは上位においても同じで『昇格したい気持ち』が強くないといけない。気持ちの強さが試される終盤戦。岐阜は継続を、神戸は奮起を。両チームともこの先、どのチームよりもその気持ちを出していかないといけない。
以上
2013.08.12 Reported by 安藤隆人













