山形と水戸が前回顔を合わせたのは、前半戦最後の第21節。48分までにレッドカードで水戸の2人がピッチを去るまさかの展開となった。一人退場で10人になり、システム変更を余儀なくされた水戸が先制。攻めあぐねていた山形が前半終了間際にPKで追いつき、後半さらに一人少なくなった水戸をじっくりと攻め、3-1で逆転勝利を収めた。
その試合に後半途中から出場し、逆転ゴールを決めている山崎雅人は「前半は10人でも圧倒していたし、9人でもうちより走っていた」と水戸の走力、精神力を強く記憶にとどめている。最後には力尽きたが、牙城を死守するために労を惜しまない水戸の戦いぶりには凄みさえあった。翌週の天皇杯を前に、6位以上を狙う両チームの再戦は、結果のためにすべてを捧げる激しい試合になりそうだ。
先の3連戦は2勝1分け。4連敗後の3連続引き分けで始まった後半戦で、山形はようやく復調の兆しが見えてきた。その要因を、奥野僚右監督はこう話す。「水戸との前回対戦と比べて、チームに落ち着きが出てきた。ゲームを運ぶうえでの冷静さであったり、組織的なものが出せている」。第15節・鳥取戦以来となる無失点試合を果たせていないが、失点を防ごうとする意識は高まっている。と同時に、攻め方でもギャンブル性の強い強引さは影を潜め、ボールを握りながら局面の数的優位を冷静に突く工夫も見られている。前節・富山戦では敵陣でのプレッシャーで効果的なロングボールを封じ、90分で打たれたシュートは2本のみ。3-1で勝利したが、「それでも1点取られている」と堀之内聖はまたも実現できなかった「失点ゼロ」を渇望する。「そういうところをもっともっと突き詰めていかないと、上位や強いチームには勝てない」。
チーム内で共通しているのは、足踏みした分、もう猶予がないとの思いと「現状を考えると、引き分けではなかなか順位が上がっていかない」(堀之内)との危機感だ。開幕戦から全試合で先発出場し、3連戦で3ゴールを挙げている中島裕希が、前節終了後に骨折した手首の手術に踏み切ったことで今節は欠場が濃厚。ただし、チームコンセプトは人が違っても大きく変わることはない。最近の7試合中6試合先制と立ち上がりは好調。先制できれば、焦らず、慌てずに追加点を狙いたい。
水戸は前回対戦以降、連勝も含めて着実に勝点を積み上げ、目標とする6位まで勝点4差で10位。山形に勝点1上回って今節を迎えている。第28節から栃木戦、岐阜戦とともに4得点で連勝したあと、2試合続いたホームゲームでは勝点1にとどまっている。前節・札幌戦も、62分に西岡謙太が先制ゴールを挙げるまでは堅調な試合運びだったが、その後、システム変更した札幌に3点を許した。「徐々にプレッシャー負けをするようになって、ちょっとマークのズレができてしまうようになって、その隙をやられてしまった」(冨田大介)展開に。柱谷哲二監督も「全体の甘さ、ゆるさ。悪いときのウチが出てしまった」とリードしたあとに局面での競り合いでルーズになったことを認めている。連敗はしたくない。そのためにも貫くのはアグレッシブな姿勢だ。
山形が注意すべきは、水戸のスイッチが入ってからの攻撃の速さと迫力だ。その多くが起点となる鈴木隆行を経由して続けられるが、横幅も十分に使い、中央からワイド、ワイドから裏へと次々に人が飛び出してくる。前節の西岡のゴールも橋本晃司のマイナスのクロスから生まれたが、今季6度のPKを獲得しすべて成功させている水戸だけに、山形は守備への切り換えでまず相手陣内でボールの出どころを潰すことが理想。そこで潰しきれずに縦にボールを出されたらその起点を潰し、そこでも潰しきれずに攻撃をつながれたら人を把握しながら帰陣する。粘り強く、最後まで失点を食い止めたい。
一方、守備でもハードワークする水戸を山形が崩しきることは簡単ではないが、ボールにアプローチする性質を逆手に利用したい。「相手が3バックで両ワイドが空いてくると思うので、そこをどんどん突いていければ自分たちの流れができるんじゃないかと思う」と中村太亮。ボールをしっかり動かしながら食いつかせてギャップを狙いたいが、たとえボールを失っても即座に取り返せるように、11人全員がサポートし合える距離感がベースとなる。
「前からプレッシャーだったり、奪われてからの切り換えの早さだったりがよくなってきているので、水戸戦でもそれができれば勝点3が取れると思う」。そう話すのは、古巣をホームに迎えるロメロ フランク。90分間の崩し合いは18時にキックオフされる。
以上
2013.08.31 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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