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【J2日記】福岡:サッカーボールが心をつなぐ〜わくわくブラインドサッカー体験(13.09.25)

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障がい者との交流を深めることを目的として行われている「わくわくブラインドサッカー体験」。この日は、幼稚園から大人まで約70名が参加して行われた。

ラッキーストライカーズ福岡の選手に要領を教わりながらボールを扱う。

聞こえてくる声を頼りにボールを送る。

見て、見て。私だった上手くボールを蹴れるよ。

手をつないで2人ひと組でボールを追う。その気持ちはひとつだ。

エキジビションマッチのひとコマ。音だけを頼りにプレーしているとは思えない。

局面での激しい競り合いもブラインドサッカーの魅力のひとつだ。

みんな笑顔で過ごした2時間。素晴らしい時間だった。

目が不自由な人たちに、どう接すればいいのだろう。子どもたちは、いく分緊張した面持ちで目の前に立っている選手たちを見つめている。少し困ったような、戸惑っているような、そんな表情を浮かべている。けれど、その表情が和らぐのに時間は要らない。アイマスクを付け、ブラインドサッカーの選手と一緒に音の鳴るボールを追いかけた瞬間に全ての垣根が消える。「わくわくブラインドサッカー体験」のひとコマだ。

「わくわくブラインドサッカー体験」とは、福岡市7地区で行われているイベントで、福岡市の協力の下、アビスパ福岡がラッキーストライカーズ福岡の選手たちとともに開催している。その目的は、ブラインドサッカー体験を通して障がい者と交流し、障がいに対する理解度を深めること。藤井潤コーチ(アビスパ福岡ホームタウン推進部、ブラインドサッカー日本代表コーチ)は次のように話す。
「目が見えない状況がどういうことなのかを知ってもらい、ブラインドサッカー体験を通して、声をかけたり、手を引いたりして意思を伝えることを体験することで、日常生活の中で障がいを持つ方と出会った時に、当たり前に声をかけたり、手を差し伸べたりできる子どもになってほしい」

この日、参加したのは幼稚園から大人まで約70名。アイマスクをして見えない世界を体験した後、アイマスクを付ける子どもを、アイマスクを付けない子どもが誘導する形で様々なゲームを進めていく。そして、慣れたところで鈴の入ったボールを使ってのブラインドサッカー体験。ここでも、何をどうしたらいいのか伝える側と、伝わってくる情報を頼りにボールを扱う側の両方を体験していく。最初は体を引っ張ったり、触ったりするだけだった子どもたちが、次第に声を出して情報を伝え始める。そして、その声は段々と大きくなっていく。そこには、伝える側、伝えてもらう側という区別はない。どうやったら一緒に上手くやれるのか。そして、互いの意思がひとつになった時、子どもたちの顔に満面の笑顔が浮かぶ。

そしてミニゲームでは2人1組で手をつなぎ、1人が指示を出し、1人がボールを扱う。笑顔、歓声、ゴールを決めた後のガッツポーズ。サッカーボールと仲間の声が、全員をひとつにつないでいる。仲間の声を信じてボールを追う子ども。見えない仲間に大きな声で伝える子ども。誰もが同じ気持ちで走り回る。

イベントの最後は、ラッキーストライカーズ福岡と、ホームタウン推進部コーチたちとのエキジビションマッチ。ホームタウン推進部のコーチたちは、前半の5分間はアイマスクを付けないまま、後半の5分間はアイマスクをしてラッキーストライカーズ福岡の選手と同じ状態にして戦う。
驚いたのは最初の5分。コーチたちは本気でゴールを目指すのだが、ラッキーストライカーズは、ボールの鈴の音と、コーラーの声を頼りに相手をぴったりとマーク、ゴールを許さない。そして後半はラッキーストライカーズの独壇場。次から次へとゴールを決めて4−0で圧勝した。子どもたちの顔には驚きと、憧れの表情が浮かんでいた。

最後に、ラッキーストライカーズの副キャプテンを務める草野剛さんは、この日のイベントを次のように振り返った。
「僕たちは視覚が不自由ですけれども、そんな僕たちでもサッカーが出来ます。いろんな状況があっても、みんなで協力し合うことで楽しむことが出来るんだということを伝えたいと思っています。今日は、子どもたちが積極的に関わってくれて、僕たちも元気をもらいました。とてもいいイベントでした」

子どもも、大人も、ラッキーストライカーズ福岡の選手も、ホームタウンのコーチたちも、笑顔で過ごした2時間。とても素晴らしいイベントだった。

以上

2013.09.25 Reported by 中倉一志
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