両者には勝点9の差があるが、リーグ戦2試合を残して置かれている状況は酷似している。それは優勝やAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得の可能性もなければ、降格の危険性もないこと。言わば“上も下もない”状況だ。
ただ、F東京は天皇杯で勝ち残っており、シーズン全体のモチベーションは依然として失っていないだろう。前節の湘南戦もネマニャ ヴチチェヴィッチが後半アディショナルタイムに逆転ゴールを挙げて勝点3を手にするという劇的な試合を演じたばかり。
残り2試合のリーグ戦も良い形で締め括り、勢いと手応えを持って佳境を迎える天皇杯へ突き進みたい。
ポゼッション志向の強いF東京だが、柏との前回対戦だけは様相が異なっていた。
堅い守備ブロックを自陣に作り上げ、ボールを持つ柏に付け入るスペースを与えず、攻撃は主にカウンターを軸とした。立ち上がりに先制点を奪い、前がかりになる柏をおびき出し、そして手薄な守備をカウンターで切り裂く。渡邉千真、長谷川アーリアジャスールに効率よく加点され、終わってみれば3−0。まるで柏が得意とする“勝ちパターン”を、そっくりそのままF東京が実践し、柏を術中にはめた試合だった。
それでも前節・湘南戦終了後の会見で ランコポポヴィッチ監督はカウンターの対応について問われた際、「すべての時間で攻撃することを優先的に考える」と答えている。したがって、第2節の対戦では柏とF東京の図式が正反対にはなっていたが、あれはあの試合だけに限ったものと考えた方が得策だ。勝利のために相手の長所を消すのではなく、自分たちのサッカーを貫き通すはずだ。
柏は10月から継続して3バックに取り組み、徐々に成熟度が増した感がある。選手たちも「可能性のあるシステム」と評し、この戦い方を突き詰めていくことでより成長できると見ている。このシステムをF東京相手にどうはめていくかが見ものである。
しかし天皇杯が残っているF東京とは違い、柏は難しい状況下にある。天皇杯も4回戦で敗れ、リーグ戦が終われば2013年シーズンは終了。しかもレアンドロ ドミンゲス、鈴木大輔、キム チャンス、クレオ、藤田優人、澤昌克が離脱中と主力を多く欠き、チーム状態もかなり厳しい。
選手たちはプロである以上、全ての試合で勝利を目指し、手を抜くことなどあり得ないが、前節の名古屋戦での敗戦のような最後の最後で失点を喫するケースは“上も下もない”状況が生む微妙な精神状態、要するにモチベーションや集中力の持続が難しい部分があるからこそ、あのような展開が起こってしまう。
だが、このまま終わってしまっていいはずがない。大谷秀和はこう言う。
「今年はあまりホームで勝てなかった。応援してくれたサポーターのためにもホーム最終戦で勝って、最終節に臨みたい。残り2試合、勝点6を目標にしながら、勝つことが来年にもつながる」
タイトな日程でも応援してくれるサポーターがいたからこそ、柏はヤマザキナビスコカップのタイトルを手にし、ACLでもベスト4まで勝ち進めた。彼らの恩に報いるためにも、上も下もない難しい状況であろうと、選手たちは奮い立たなければいけない。大谷が話す通り、勝利を収めることは必ず来年の戦いにつながる。
さらにもう1つ。今週はジョルジ ワグネルとクレオの今季限りでの契約終了が発表された。2人ともアスリートとしての能力のみならず、人間性も非常に素晴らしく、何より柏のタイトル獲得に貢献した選手だ。
今年最後の日立台。必ず勝利を挙げ、彼らの花道を飾りたい。
以上
2013.11.29 Reported by 鈴木潤
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