開幕直前に、水戸をアクシデントが襲った。
試合2日前に細川淳矢が、試合前日に冨田大介が負傷。それまで主力組に入っていた2人が欠場することとなってしまったのだ。先週から3バックで準備してきたものの、急きょ4バックへの変更を余儀なくされた。
さらに、最終ラインは新里亮以外新加入選手という組み合わせ。「試合前日に10分ぐらい確認しただけ」(本間幸司)の急造DFラインで開幕戦に挑んだのであった。多少なりとも不安を抱えてのゲームとなった。
しかし、組織を乱すことなく、90分間集中して戦い抜くことができた。大事な開幕戦で勝点3をつかむことができたのも「3年間積み上げてきたものの成果」(柱谷哲二監督)にほかならない。柱谷監督の下、3年間水戸は様々なシステムを採用してきた。昨年だけで4−4−2と3−4−3、3−5−2を使い分けながら戦い、選手たちも様々なポジションでのプレーを経験してきたことによって、「違和感なくできた」(新里亮)。
そして柱谷監督が選手たちに最も強く求めてきたものはコミュニケーションだ。あくまで試合を進めるのは選手たち自身。ピッチの中で何が起きているのかを理解して、自分たちで改善していけるようにならなければ本当の強いチームになれない。そう説いてきた。この試合では「より多くのコミュニケーションを取ることを選手たちは実践してくれた」と柱谷監督が言うように、ピッチの中で頻繁に話し合いが行われ、状況を確認し合った。たとえば、前半は新里と左サイドバックの田中雄大の間を突かれることが多かったが、選手同士で話し合い、「前の選手がポジショニングを修正して改善することができた」(新里)。チームの成長が垣間見られた。
大分の厳しいプレスを受けて中盤を作れない苦しい展開になりながらも、前線の三島康平のポストプレーを生かして力強い攻撃を見せた水戸。21分に船谷圭祐が蹴ったCKを吉田眞紀人が頭で合わせて先制すると、52分にもCKから金聖基が押し込んで追加点。しかし、53分に末吉隼也にミドルシュートを決められ、1点差に詰め寄られてしまう。そこからは大分の猛攻が続いたが、粘り強い守備でしのぎ切り、勝点3を手に入れた。
「内容は全然ダメだった」と西岡謙太が振り返るように、目指している攻撃サッカーを披露することはできなかった。それでも「今できること」をやり抜いて、勝利したことに意味がある。内容はこれから積み上げていけばいい。それよりも流れが悪い状況の中、選手たちが戦い方を判断し、意思統一しながら戦えたことが、この試合においては重要であった。さらに、これまでなかなか主力組に入れなかった田向泰輝や新里が抜擢され、活躍を見せたことも大きな収穫と言えるだろう。新たな船出で手にしたもの。それは「勝点3」以上に価値のあるものだった。
大分は敗れはしたものの、監督・選手は悲観するどころか、むしろ、内容に関して手ごたえを感じているようだった。積極的なプレスで水戸に起点を作らせず、高い位置でボールを奪ってから横幅を有効に使ったポゼッションでペースを握った。アタッキングゾーンでの精度を欠き、ゴールを決められなかったものの、攻守において狙いとする動きはできていた。「あとは精度を上げるのみ」と田坂和昭監督は自信に満ちた表情で口にした。次節こそ内容を結果に結び付けて、弾みをつけたい。
以上
2014.03.03 Reported by 佐藤拓也
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