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【J1:第2節 F東京 vs 甲府】レポート:甲府の狙いを防げず。F東京の勝つサッカーへの道程は道半ば(14.03.09)

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両指揮官の戦術、戦略的な思惑が交錯する試合は1−1のドローで決着を見た。ただし、試合後、「勝点3を奪えた」、「勝てた」と言葉にしたのは甲府の方だった。

試合開始5分、今季新加入のF東京FWエドゥーがJリーグ初ゴールを決めた。高橋秀人からパスを受けると、翻ってゴールへと向かった。自分のレンジまで持ち込んで左足を振ると、ブロックに入った相手DFの足に当たって軌道がずれる。甲府GK岡大生がこれに対応しきれず、処理を誤ってボールはゴールラインを越えた。期待の新外国籍選手は初ゴールを振り返り、「すばらしいゴールではなかったが、1点は1点。ようやくドアが開いた。これからはもっとたくさんのゴールを決めたい」と語った。

ここから互いがスペースを消し合い、ゴール前への侵入を防いで決定機をつくらせない展開が続く。膠着状態のまま、試合は推移していったが、F東京が攻めあぐねる中、甲府の意図するサッカーが徐々に色濃くなっていった。
F東京は4−1−2−3の並びを守備時に4−4−2へとシフトさせていた。中盤の3枚を横一列にし、右へスライドさせる。左の空いたスペースには3トップの左にいる武藤嘉紀を一列下げて2重のブロックをつくる形で甲府を待ち構えた。
甲府は、このF東京の左サイドに狙いを絞っていた。武藤の帰陣が遅れれば、ここで数的優位を築けると踏んでいた。事実、序盤から逆サイドはF東京に封殺されていたものの、甲府の右サイドの福田健介からは何度かチャンスをつくっていた。開始1分には福田のクロスをクリスティアーノが頭で合わせ、後半の57分には右サイドから送られたボールをフィニッシュまでつなげている。
城福浩監督は「相手のアウトサイドのシフトは狙い目だった。中央は堅いのでどこが空くのか、何を嫌がっているのかを準備の段階であらかじめチームには落とし込んでいた」と明かした。
その狙いを加速させたのが58分の交代だった。下田北斗に代えて水野晃樹をピッチに送り出すと、その采配が見事的中する。右サイドに水野を張らせ、そこを起点にF東京を攻め立てた。63分、右サイドからのロングスローにマルキーニョス パラナが飛び込む。シュートはポストを叩いたが、そのこぼれ球を拾った水野が再び中央へと送り、クリスティアーノがジャンピングボレーで合わせてネットを揺らす。この同点で一気に流れは甲府へと傾いた。

さらに、80分には右サイドを抜け出した水野がゴール前へと侵入。最後まで判断を待って「落ち着いて丁寧に送った」と言うボールをクリスティアーノにつなぐ。背番号「10」は、この好機でシュートをバーの上に外してしまったが、決めていれば勝利に限りなく近づいたはずだ。このゴールを逃したことで、甲府は勝点2を逃した。
また、城福監督は解説者時代、ジュゼッペ・メアッツァで衝撃を覚えたエドゥーにも細心の注意を払っていた。先制ゴールとなった場面で山本英臣が足を投げ出してブロックにいったのも、彼のシュートレンジを事前に把握させていたためだろう。事実、得点を奪ったものの、この日のエドゥーにはほとんど仕事をさせていなかった。
逆に、F東京は同点を許すと、チームのバランスを失ってしまった。フィッカデンティ監督は「やはり1点取られて同点になった後、何としても2点目を取りたいという気持ちから前掛かりになってしまった。そこで落ち着いてバランスを保つことが重要だった」と唇を噛んだ。無秩序に攻めてはボールを失い、逆にピンチを招いていた。
イタリア人指揮官は試合前、甲府に対して「忍耐と正確な攻撃が必要」だと語っていた。まさに、そのキーファクターを欠いた結果が後半の試合内容となった。本来であれば、ピッチの横幅をうまく活用し、左右への揺さぶりで甲府の堅い守備をこじ開けるはずだった。だが、効果的なサイドチェンジは少なく、そうした攻撃は後半に入ってほとんど見られなかった。

着実に勝利への方法を歩むこと。それが勝者へと近づくための手段なのだろう。1−1は両者にとって今後の教訓となったに違いない。一方は限りなく近づきながらも逃し、もう一方は自ら手放した。F東京にとっては、まだまだ長い道程が残されていることを知った一戦だった。

以上

2014.03.09 Reported by 馬場康平
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