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【J1:第6節 F東京 vs 鳥栖】レポート:F東京が鳥栖を破って今季初の連勝。勝因は水先案内人“吉本一謙”の声(14.04.07)

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F東京は、2―1で鳥栖に競り勝ち、今季初となるリーグ2連勝を飾った。試合は開始から一進一退の攻防が続いたが、後半に入ってF東京が試合の流れをつかんだ。
50分、東慶悟が左サイドを抜け出し、グラウンダーのクロスを送る。それをFW河野広貴、平山相太がまたぎ、大外に走り込んだエドゥーがシュートを放った。林彰洋の手に触れたボールはポストに跳ね返ってこぼれたが、河野がこれを押し込んでF東京が先制点を挙げる。さらに、76分には右CKを高橋秀人が頭でつなぎ、平山が混戦の中から反転し、ゴールネットを揺らした。

2点のリードを奪われた鳥栖はシステムと、メンバーを変更しつつ、反撃の機会をうかがった。そして、85分、ロングボールから好機をつくる。MF高橋義希がゴール前に抜け出して左足を振ると、権田修一に一度はストップされたが、こぼれたボールに豊田陽平がいち早く反応して1点を返した。鳥栖はその後も圧力強め、激しい攻めを展開したが、粘り強いF東京の守備を崩しきれず。試合は2―1で終了した。

試合後、吉本一謙が囲み取材を受けている脇を加賀建一が歩いていく。そのまま通り過ぎようとした加賀だったが、立ち止まると、振り返って言った。

「こいつの人を動かす能力はヤバイよ。声だけなら世界(レベル)ですよ、マジで」。

お世辞も含んだ言葉だっただろうが、F東京の勝因はそこに隠れていた。吉本は対人能力と、空中戦の高さを買われ、今季公式戦3試合に先発出場している。そのすべての試合でF東京は勝利を挙げた。吉本個人に焦点を当てれば、期待通りに相手エースと激しいバトルを演じてきた。だが、彼がピッチに立つ効果はそれに留まらなかった。
権田は、FC東京U―15時代からのチームメートである吉本についてこう言葉にしたことがあった。
「僕の中でキャプテンと言えば、あいつなんですよ。ユースのころは、常にチームを鼓舞し続けてきた存在だった。生まれながらのキャプテンってああいう選手だと思うんですよ」
東京の最終ラインには、徳永や、森重をはじめ、相手選手を個の力で封じることに長けた選手は多い。だが、チームを先導し、守備組織を構築するような存在は欠いてきた。そこに、これまで控えに甘んじていた吉本が加わることで、チームは変化を起こした。それが、この日のピッチにも顕著に表れていた。
1得点を挙げた豊田だったが、「今日はなかなかチャンスに絡めなかった。うまく東京に対策を練られたと思う」と苦い顔で試合を振り返った。その中でも、ゴールの嗅覚を見せつけた鳥栖のエースも素晴らしかったが、その言葉はそれだけ東京の守備が機能していたことを証明していた。

吉本は、試合開始から最終ラインで声を張り続けた。応援や、歓声の間隙をぬって聞こえてくるのはいつも背番号「29」の声だった。吉本が周囲の選手を動かし続けた結果、鳥栖のロングボールに対し、東京の中盤は失点シーンを除けば、多くのセカンドボールを回収することに成功している。
まず吉本は豊田とのマッチアップに集中するため、鳥栖のトップ下の池田圭をアンカーに任せた。背後から細かな指示を出し、常に池田を注視させていたという。また、その前方では東と米本が豊富な運動量でこぼれたボールを拾い集めた。その棲み分けをしっかりとしたことで、鳥栖の前線はボールを収めることに苦労した。
自身は「野澤や、秀人君がトップ下を抑え、ヨネ(米本)と慶悟がセカンドを拾ってくれた。今日は中盤の選手が素晴らしかった。それに助けられた」と言うが、チームを動かしたのは吉本の絶えず送り続けた声に違いなかった。

鳥栖は90分間走り、戦い続けるチームだ。この日のF東京は、その高いプレー強度に劣らないファイトを見せ続けた。最前線から最終ラインまで多くの選手が芝生に腿を滑らせ、ゴール前では一歩が出た。大人しい選手が多いF東京の選手たちが、珍しく鳥栖の選手と言い争う場面も目立った。チーム全体が90分間戦い続ける中、吉本はピッチの誰よりも不器用に体を張り続けていた。だからこそ、なのだろう。まだまだ課題も多い吉本だが、その声は周りの選手へと届き、チームの闘争本能を呼び起こしたのかもしれない。

吉本はFC東京U―18時代から期待されながらもけがに苦しみ、満足なキャリアを送っている選手とは言い難い。苦労人はかく語る。
「けがが多かったので、苦しい時期はあった。それをこの3週間で取り返せたとは思っていない。出た試合、全てで勝ちたい。もし、これまでの悔しい思いが晴らせるとしたら、それは東京がリーグ優勝をした時。だから連敗しちゃだめだし、連勝していかないと。良い選手はたくさんいるので、とにかく出た試合で認めてもらえる活躍をして、早くあいつで大丈夫と思ってもらいたい。そのためには一つ一つの積み重ねだと思う」

マッシモ・フィッカデンティ監督の大胆な起用法が埋もれていた選手の能力の再発見に至ったと言ってもいいだろう。F東京が待ち望んできた勝利への水先案内人は、隠れたところに確かに存在していた。

以上

2014.04.07 Reported by 馬場康平
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