最終節のホーム戦を勝利で飾りたい新潟と、ACL出場の可能性を残す柏。ともに高い意識でラストゲームに臨む。

特に勝利にこだわるのが新潟のMF田中亜土夢だ。この試合に出場すれば、通算200試合出場になる。プロ入り9年目での達成に「遅いですが」と言いながら、「1試合1試合成長できていると思います」と手応えを感じている。

少しタイミングが狂ってのメモリアルゲームでもある。第24節広島戦が累積の警告で出場停止。「それがなかったら、1つ前で達成して、最終戦では試合前に花束をもらえたかもしれなかったんですけどね」と苦笑い。もっとも、安定感のある主力としてシーズンを過ごしたことは誰もが認めるところ。

第32節Ｆ東京戦では2アシスト、前節横浜FM戦でも3本のシュートを放つなど、積極的なプレーを見せ続けている。「前を向いて、前線が動きやすい状況を作る、あるいは前に出して自分が動き出す。その辺の連係はできています」。周囲の動きを見て判断する冷静さが、大詰めに来ての好調の要因だ。

その中で物足りなく感じているのが自身のゴール。ここまで2得点。第11節大宮、第12節清水で連続得点して以後、ゴールから遠ざかっている。「自分の位置からならミドルシュートも狙える。最初のプレーでシュートを狙うくらい積極的に行きたい」。そして「記念の試合でゴールを決めて、勝って締めたい」。最高のプランを実現する。

柏は6連勝と絶好調で最終節を迎えた。素早い攻守の切り替えから、レアンドロ、ドゥドゥ、太田徹郎らが流動的に絡む。何よりも際立っているのが勝負強さだ。
6連勝のうち1点差が4試合。第30節・仙台戦はアディショナルタイムのレアンドロのゴールで2-1など、きっちりと要所でゴールを奪ってきた。新潟の守備がマークし切れない場面を作ると、一気に畳みかける迫力がある。

何よりも選手たちの集中力を高めているのがネルシーニョ監督の存在だ。今季で退任する名将に締めくくりの白星をプレゼントし、そしてACL出場につなげたい。

新潟のキャプテン、大井健太郎は言った。
「気持ちの強い方にボールが転がってくる」。

今季の両チームは、ヤマザキナビスコカップ予選リーグ、前回対戦とも柏の勝利。ただ、2試合とも激しくボールを奪い合い、めまぐるしく攻守が入れ替わる好ゲームだった。ともにそれ以上にアグレッシブな闘いぶりで今季の集大成にする。

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2014.12.05 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）