今季の集大成を懸けた一戦は、年間を通した課題を克服し、来季への方策を練る機会でもある。8位のＦ東京は、ホーム味の素スタジアムで7位の横浜FMと対戦する。
今シーズンのＦ東京は、マッシモ フィッカデンティ監督を迎え、堅守を武器に14戦無敗のクラブ新記録を打ち立てた。一時は、上位進出も視野に入れた戦いを行ってきたが、ここ4試合は勝ち星から遠ざかっている。

前節甲府戦はスコアレスドローとなった。スペースを消す甲府の堅い守りを崩すことができず、シュートも3本に終わっている。マッシモ フィッカデンティ監督は、「確かにアタッキングサードに課題を抱えている。正しい解決策を見いださないといけない」と言う。今季は、現在32失点と堅い守りを武器にしてきた。最終節を残しているものの、2009年の過去最少となる39失点からの記録更新はほぼ間違いない状況だ。だが、得点に目を向ければ、昨季クラブ最多となる61得点を挙げたが、今季は46得点と得点数を減らしている。この失点数を維持しつつ、いかに得点数を伸ばしていくかが現在の課題だ。

一方の横浜FMは今季、現時点でリーグ最少失点を記録している。だが、最終節まで優勝争いを演じた昨年から順位を下げてしまっている。堅守は誇示しているものの、エースのマルキーニョスが抜けた穴を埋めきれず。昨年挙げた49得点から大きく下げて今季は36得点と大きく下回ってしまったことがその要因だろう。

また、横浜FMは今季限りで樋口靖洋監督の勇退が決定している。最終戦は、3季指揮を執った指揮官の新たな門出となる一戦でもある。

Ｆ東京は、試合前日に非公開練習を行った。現在13得点を挙げ、リーグ新人最多得点記録タイで並ぶ武藤嘉紀が体調不良のため練習には不参加。出場に関しては、回復次第によって判断する見込みだ。武藤は今週、「今年は、結果を残してきたからこそ、今の状況になっている。絶対に記録を達成したい。ラスト1試合で後がない。自分の得点でチームを勝たせたいし、とにかく取りたい。最終節は勝って終わりたいので、得点を取って勝てれば最高。チームを救えるゴールは価値が高い。チームのためにゴールを取りたい」と強い意気込みを語っていた。
今季大ブレイクを果たした背番号「14」は、慣れ親しんだ味スタのピッチに立ち、ファンの声援に応えるために回復に努めることになるだろう。
さらに、この一戦の勝者が、賞金圏内である7位となる可能性が高く、文字どおりその一勝は値千金の価値がある。

武藤の前人未踏の記録達成、指揮官のラストマッチ、そして順位争い。この一戦にも見逃せない価値がある。

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2014.12.05 Reported by 馬場康平