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[ 2006 ゆく年くる年:ベガルタ仙台 ]
【2006 Memorial Scene】
「第49節、柏2−1仙台」
敗戦で、昇格が完全消滅した試合。しかし、ブラジル人に頼るのではなく、ピッチの全員が闘志をむき出しにした戦いぶりに、サポーターは選手たちを拍手で迎えた。
「この戦いを常に出来ていれば…」昇格を失った今季への悔恨もあるが、この善戦が来季への確かな光となったことは確かである。

【ベガルタ仙台 Playback 2006】
どのクラブも一度は頭に描きながら、なかなか実践には至らない手段 ―― 予算の配分、戦術、さらには監督やコーチ陣の人選までも、大物外国人選手たちの獲得、そしてそれを活かすためだけにつぎ込み、彼らの力を頼りに、一気の悲願達成を狙うやり方。J2で3季目を迎えた仙台は、ボルジェス、ロペス、チアゴ ネーヴィスの3人をまとめて獲得、このやり方に今季の全てを託した。
だが、なぜ過去の歴史で、こうした話の成功例をあまり聞くことはなかったか。第1クールの猛ダッシュが終息すると、仙台は嫌というほど、理由を思い知らされることになる。相手はことごとく「仙台シフト」とも言うべき、3人のブラジル人(特にロペス)から自由を奪う戦略を立ててきた。もちろんそうした状況を迎えることなど誰の目にも明らかだったのだが、戦術面でジョエル サンタナ監督率いるチームが、そして補強やチームへのサポート面でフロントが用意できた対抗策はあまりに乏しく、これでは再浮上は難しかった。
今季の仙台は、今後「反面教師」として振り返られるであろう1年を過ごしてしまった。優勝でも昇格でも、目標を叶える上で「簡単かつ確実な方法」などなかったのだ。
とはいえ、失敗は繰り返すまいという思いが、来季に向けた現場にはある。今季ヘッドコーチを務めた望月達也新監督は言う。「遠回りだと思われるような道が、意外と近道だったりするものなんだよね」。穏やかな口調から紡がれたその言葉を、今は信じたい。

Text by 佐々木 聡

2006年12月31日(日)

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