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2023年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

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2023年6月2日(金) 15:00

2023年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

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2023年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録
2023年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

2023年5月30日

2023年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

2023年5月30日(火)17:30~
JFA ハウス4F 会議室および Web ミーティングシステムにて実施
登壇:野々村 芳和チェアマン
窪田 慎二 執行役員
樋口 順也 フットボール本部 本部長
大城 亨太 クラブライセンス事務局 クラブライセンスマネージャー
陪席:青影 宜典 執行役員

〔司会(仲村広報部長)より説明〕
本日開催いたしました第5回理事会後の会見を開催いたします。

《報告事項》
1.2023/24シーズンAFCクラブライセンス判定結果について
https://www.jleague.jp/news/article/25249/

《検討事項》
1.シーズン移行検討の件

《協賛・後援》
1.地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2023
こちらホームページに掲載しています。

まず1点目の報告事項について、クラブライセンス事務局の大城よりご説明いたします。

〔クラブライセンス事務局大城クラブライセンスマネージャーより「2023/24シーズンAFCクラブライセンス判定結果について」について説明〕
2023/24シーズンに関するAFCクラブライセンス判定の概要についてご説明いたします。
トピックスとしては大きく3点です。
これまではJ1ライセンス=AFCライセンスとして判定を行っていましたが、ACLのシーズン移行に伴い、別途クラブライセンスの判定を行うことになり、今回、浦和レッドダイヤモンズ、川崎フロンターレ横浜F・マリノスヴァンフォーレ甲府の4クラブにAFCクラブライセンスが交付となりました。ヴァンフォーレ甲府については、国立競技場がホームスタジアムということで承認されています。
少し制度の概要をご説明いたします。昨シーズンまではJ1ライセンスがAFCライセンスということで運用を行なっていましたが、シーズンがずれてしまったので、日本のJ1ライセンスをそのままACLの参加資格とすることはできず、今回AFCクラブライセンスを別途FIBという第三者機関にて判定したものになります。
決定を行う機関はこれまでのJ1ライセンスと同じように第一審機関としてFIB(弁護士、公認会計士、有識者)の先生方にご対応いただいています。上訴機関としてABも同様に設置しているという状況です。
クラブライセンスに関する組織に関してもこれまでと大きな変更はないのですが、AFCからJFAに対してクラブライセンスを運用するように指示がきており、日本においてはJリーグの中でライセンス制度を運用しています。今ご説明したFIB、ABという機関は、任命自体は理事会が行うのですが、理事会の外側に設置されている、完全に独立した機関になっており、我々クラブライセンス事務局は審査を行う先生方のお手伝いをする位置づけで、判定自体はリーグの外側で行われています。
決定までのスケジュールは、J1ライセンスとは別になり、4クラブの皆様にはお手間なのですが、AFCライセンス用に別途申請書類等を準備いただきまして、5月に判定会議を行ない、本日理事会でご報告いたしました。

判定結果については先ほどご説明した通り、4クラブ交付という形になっております。
クラブライセンス制度では、A・B・Cの3つの等級の基準があるのですが、B等級に関しては、充足していなくてもクラブライセンスは交付されるが、制裁を科されるという基準になっています。今回トップチームのGKコーチとトップチームのフィットネスコーチに関し、前者については浦和レッドダイヤモンズと横浜F・マリノス、後者については横浜F・マリノスヴァンフォーレ甲府が未充足となりました。制裁内容はクラブ名の公表ということですので、本日ご報告させていただいています。
今申し上げたB等級の未充足についてはAFCのルールの改訂があった際にリーグ内でも議論になり、2022年よりB等級基準に定められたものになっています。
昨年度のJ1ライセンスの判定において、これらの役職については、AFCの方がルールを変えたので我々もそれに対応してルールを変えないといけなかったのですが、これまでそういう資格を持っている人、Jリーグとしてそういう方の配置を強く推奨していなかったということもあり、クラブから「急に言われても対応が難しい」という声も多くいただいていました。FIBの審査員の皆様とも相談し、J1ライセンスにおいては未充足であっても制裁を科さないという対応をいたしました。これは昨年9月の判定の時の対応です。
ただ、AFCのクラブライセンス判定においては、制裁を科さないということが認められていないので、今回4クラブにもその事情をご説明した上での制裁という形にしています。
最後、ヴァンフォーレ甲府の施設基準ですが、皆様ご案内の通り、ホームスタジアムとして使用しているJITリサイクルインクスタジアムは、個席ではなくベンチシートでの運用となっていますので、厳密にはAFCのクラブライセンス基準を充足していません。クラブ側では個席に改修することをスタジアム所有者とも検討したと伺っていますが、改修費用が多額にかかるため断念し、ホームスタジアムを国立競技場ということで申請いただきまして承認されました。

〔野々村チェアマンよりコメント〕
6月19日から明治安田生命ビルに移転するということもあり、JFAハウスで理事会を開催するのは最後となりました。
前回の理事会から今日までの最も大きな出来事の一つに、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)での浦和レッズの優勝がありました。アジアでしっかりと勝って存在感を示すことができ、日本のサッカーやJリーグにとって、本当に良かったと思っています。浦和レッズはこの優勝でアジアを代表した一つのクラブとしてFIFAクラブワールドカップに出場できることになります。世界の中でJリーグのクラブがどう活躍するかということを表現する上でもすごく大きな優勝だったと思っています。
ご承知おきの通り、最近AFCがシーズンを変えたというところが日本のサッカーに与える影響はすごく大きいです。背景については皆様もご存じだと思います。以前は日本や中国等が経済的なメリットがAFCにもあり、東アジアのスケジュールでシーズンを過ごしてきましたが、現状においてはサウジアラビアを中心に西側の影響力、発言力が大きくなってきている訳です。
それによってシーズンもヨーロッパと同じシーズンにAFCは変わってしまった。ACLのことで言うと、浦和レッズが優勝したシーズンは外国人枠が3プラス1でしたが、この秋行われる次の大会は5プラス1になります。その次のシーズンからは外国籍枠はフリーになるので、その中でJリーグのクラブがどうアジャストしていくのかというのはクラブのみならず色々なことを考えていかなければいけない難しい局面に立たされていると思っています。繰り返しになりますが、難しい局面の中でレッズが勝ってくれたことが日本にとっては一つの光だと思います。今シーズンも日本のクラブが勝って、25年のFIFAクラブワールドカップの出場権を獲得してほしいと強く思っています。
それから先月、国立競技場で2試合Jリーグの30周年記念マッチを開催、また地域でも色々な取り組みをいたしました。
国立競技場で行われた2試合に関しては5万6千人を超えるお客様に来ていただきました。関東エリアはプロモーションも色々な面で難しいところもありますが、関東エリアには日本の人口の4割弱に当たる4000万人以上がいるので、そこの皆様に対してのアプローチと言う意味ではすごく学びのあった2試合であったと感じています。
今日の理事会で報告したことを3つお話したいと思います。
1つ目が今話したように30周年記念の露出について。皆様にもすごくご協力いただき、テレビも含めて広告換算価値で言うと(5月15日の30周年記念イベントについては)約7.8億円の数字を出すことができたということです。その前は広告換算をしていなかったということもあるのですが、近年で最も高い数字での露出ができたと聞いています。
2つ目が、30周年記念マッチのプロモーションの総括です。記念マッチ含めて、招待施策などを行いながら、開幕からここまでで約14万8000人の方に新規でJリーグIDの会員になっていただいています。30周年を機に開幕から行っている取り組みは、一つ成果が出ているのかなと思います。
この数字をどう活かしていくかは次の課題ではありますが、新しくお客様を増やしていくまたは少し離れてしまった人にアプローチしていくという意味では良い準備が今の所できていると思っています。
最後に、ローカル露出に向けた取り組みの現状をご報告しました。これも以前からお伝えしているようにサッカー番組をきっかけに色々な露出が増えています。露出の時間で言うと昨年比日本全体のサッカーの露出というところでは6.6倍になっており、広告換算価値で言うと昨年比の4.6倍くらいになっています。引き続き数字をどうクラブがしっかりマネタイズできるのかをリーグとクラブと一緒にやっていきたいと思っています。
付け加えると、ローカルの中継の本数も昨年と比べると1.4倍くらいになっているので、今までよりは身近にサッカーに触れる機会は増やすことはできていると感じています。

〔樋口フットボール本部本部長より「シーズン移行検討の件」について説明〕

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4月の理事会に続きまして、先週の実行委員会、それから本日の理事会においてシーズン移行の検討について、検討事項として扱っています。
本日のご説明内容ですが大きく6点ございます。前半の3点は4月説明した内容です。今回は4番目の今後の検討において整理が必要な項目の確認と、5番目の、まず、フットボールの観点においてシーズン移行にメリットがあるのかどうかの確認を行っています。本日の理事会、先週の実行委員会でのメインの確認はこの2点になります。また、実行委員会、理事会の議論からは少しそれますが、ご参考で今のシーズンにおけるシーズン終盤期の設計の困難な部分のご紹介を一部させていただければと思います。

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■シーズン移行によるメリット(大項目)
4月から、今後判断をするためにどのような材料、どのような項目が必要かを出している状態です。クラブ向けにアンケート等も行いまして、いくつかの項目に整理をしています。全部の項目ですと数十個になりますが、ここでは大きな項目として分類して、まず、シーズン移行することのメリットをグリーンで、また次のページで懸念事項をブルーで記載をしています。
メリットは大きく6点です。まず、
●暑い中での試合数の減少

●シーズン中のチーム編成の変動の回避
これは主にJ1などのトップクラブ層で、シーズンの途中で中心選手が海外のクラブに移籍してしまうことの懸念回避を指しています。

●移籍関連
これはヨーロッパとシーズンが一致することのメリットの話です。海外移籍する日本人選手がフィットしやすくなる面もあると思いますし、逆にヨーロッパから選手、監督などの指導者を獲得しやすくなるといったこともあります。

●ACLシーズンとの一致

●試合日程関連
試合日程関連についてはこのあとご説明します。終盤、インターナショナルウインドー(IW)があることによって、チームが毎週、毎週試合をやるという連続性が保てない観点や、シーズン移行するカレンダーでも今、8月や7月の第4週に開幕を置いていますが、2月から開幕して迎える6、7、8、9月の暑さの話と、キャンプで準備した後に始まる8月からの暑さは、選手にかかる負担がだいぶ違うのではないかといったご意見もありましたので、そのあたりを検証していこうという話です。

●その他、シーズン移行がもたらす事項
その他、シーズン移行の目的とするような大きなメリットではないものの、シーズン移行することによって、附随してもたらされるようなメリットを指します。例えば6月はオフになりますので、梅雨の期間の開催が減って、お客さまが増えるといったこともあるのではないか等、その他の事項をここで整理しています。
今、項目がいったん全部揃っていますので、これをこれから6月、7月で様々な情報を整理していきながら、7、8、9月で各クラブや様々なステークホルダーの皆様がご判断いただけるような材料を集めていきたいと思っています。

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■シーズン移行の懸念事項(大項目)
逆に懸念事項です。

●寒い中での試合数の増加
暑い中での試合が減る分、寒い中での試合が増えるので、お客様の観戦環境の課題等がまずあります。

●降雪地域の対応
それから、降雪地域の対応です。1月は引き続きウインターブレイクですが、12月と2月がそれぞれ1-2週程度、試合をやる期間が延びる想定ですので、その期間、ホームでどれぐらいのクラブがどれぐらいの期間試合ができるのか。もし、アウェイにする場合は、その分アウェイの連続数が増えることになります。今のシーズンでも2月から開幕していますので十数クラブが開幕から2試合、3試合連続アウェイといった対応をしていますが、こういった部分が増えることによって、リーグ全体でどのぐらいの影響があるのか。冬のキャンプも増えることになると思いますので、クラブの練習環境をどのように構築していくかも降雪地域の対応になります。

●移籍関連
移籍については、ヨーロッパと一致する一方、逆にブラジルとずれてしまうとか、移籍金の収益、現在は、シーズンがずれているから移籍金が発生している部分もあるので、そういったデメリットが場合によってはあるのではないかといった観点もいただいています。

●試合開催できる期間が短縮
試合ができなくなる期間がシーズンオフの2カ月に加えてウインターブレイク1カ月。試合ができる期間がその分短くなりますので、選手の強化の観点やお客様の観戦環境の観点などで懸念があるのではないか。

●ステークホルダーとの年度の異なり
そして、様々なステークホルダーと会計年度がずれる可能性が高いのでパートナー企業の皆様や、自治体、スタジアム確保の観点などでも懸念があるのではないか。

●移行期の対応
それから移行期です。2026-2027シーズンから移行すると、2025年のシーズンが1.5年になりますので、このシーズンの対応をどうするのか等の様々な項目がございます。

このメリット、懸念事項の両面を今後、整理していくということで、まずは項目の確認をした段階です。

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■Jリーグ・日本サッカーの現状認識
それからフットボール観点でのメリットです。先月も少し、お話させていただいていますが、現状のシーズンから変えることを検討するにあたって、メリットが明確になければ、そもそも検討する必要もないことになります。従って、まずフットボール観点でメリットがあることを確認したうえで、様々な懸念事項とメリットを比較して、どちらが上回るのかを今後、議論していこうと思っています。

まず、フットボール観点でのメリットを考えていくうえで、Jリーグや日本サッカーの現状認識について確認をしています。まず目指すべき状態として、アジアで圧倒的なリーグになることや、日本代表が目標としているワールドカップでベスト8以上となること。このときの日本代表はヨーロッパのリーグで戦う選手と、Jリーグで戦う選手の混合の状態が、現状まず目指すべき状態だと思っています。資料にさらなる高みと記載していますが、Jリーグもイングランドのプレミアリーグを超えるような世界一のリーグになり、Jリーグの選手で構成される日本代表でワールドカップを勝つというさらなる高みは当然あるものの、まずこの数年で目指すべき状態をしっかりと目指していこうということを確認しています。

2つ目です。Jリーグをより競争環境にシフトしていこうということをいま話しています。よく言われるのですが、30年前はプレミアリーグとJリーグの経営規模はそれほど差がなかったという状況がございます。しかし、この30年でプレミアリーグやヨーロッパのトップリーグは大きな成長を遂げました。Jリーグは30年前に開幕しましたが、ヨーロッパのトップリーグはそれよりもさらに多くの歴史があった中で競争をし、飛躍的な成長を遂げています。Jリーグもこの30年間の成長を土台としながら、より競争にシフトしていく環境が必要なのではないかという話をしています。実行委員会では現時点でのJ1のトップ層のクラブの実行委員から、今のままではやはり閉塞感があって、世界と戦っていくためにはより競争の環境を作っていく必要があるといったご意見をいただいています。

最後です。ACLの大会構造が変更されたことや、クラブワールドカップが32チームに拡大される中で、アジアで勝つこと、世界で戦うJリーグを示すことは、60クラブ分の4クラブや3クラブの話ではなく、アジアで勝てないJリーグなのか、勝てるJリーグなのかで、60クラブを支える価値の根源が大きく変わってくることになると思っています。当該の3クラブ、4クラブの話ではなく、Jリーグ全体にとって、アジアで勝つ、世界で戦うことが非常に重要だということを今、お話している状況です。

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■フットボール観点でのメリット
そのうえで、確認させていただいているフットボール観点でのメリットが大きく3点ございます。

1:暑い中(6~9月)の試合数の減少
1つ目が、暑い中、6月から9月での試合数の減少です。現状のシーズンですと暑い中での試合が6月から9月まで多く、インテンシティの高さや連続性がある魅力的なサッカーの面で国際的な競争力がなかなか高められていないのではないかというご意見をいただいています。

2:ACLシーズンとの一致
そして2つ目がACLとのシーズンとの一致。

3:ヨーロッパシーズンとの一致
3つ目がヨーロッパとのシーズンと一致することによって、海外移籍する日本人選手が成功できる環境や、逆にヨーロッパから選手や指導者を獲得できる環境がスムーズになるのではないかと思っています。

資料に記載してありますがJFAで「競技会カレンダーワーキンググループ」というワーキンググループが2021年から2022年まで開催されていました。経営の観点、お客様の観点、様々な観点がありますが、このワーキンググループでは選手や監督の現場目線で最もいいカレンダーはどういうものかを議論するものでございました。JFA林義規副会長がリーダーで、十数名のメンバー、この中には現役のJリーグの選手も4名、海外の選手が1名、J1の現役監督が2名ほどご参加いただいていたのですが、そこでもやはり、シーズン移行を積極的に検討すべきではないかということ、またこちらに書いてあるようなメリットがあるというご提言をいただいています。いろいろなことを考えていかなければいけないのですが、作品を作るうえで非常に重要なピッチ上の選手、監督のご意見をまず聞きながらメリットを確認しているという段階です。

ここまで実行委員会、理事会でお話をさせていただいていまして、実行委員会でもこのメリットについては大多数のクラブからご賛同をいただいています。また本日の理事会でもご賛同いただいています。繰り返しですが、シーズン移行への賛同ではなくて、まずこのようなフットボール観点でのメリットがあることの確認です。今後、先ほど出した様々な項目の懸念事項を整理しながら、どちらが上回るのかを検証していくステージに入っていきたいと思っています。

最後に、ご参考として、今のシーズンのインターナショナルウインドウ(IW)が、どのように国内日程を阻害しているかを少しご紹介させていただきます。

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【参考】現在のシーズンにおける困難な部分のご紹介
来シーズン、2024シーズンの試合日程を今、作っている最中です。イメージを資料の左に書いています。これはまだ叩きの段階ですが、赤がJ1リーグを示しています。ACLの日程やクラブワールドカップと書いてあるものも、まだ固まっていないものです。いろいろな情報や推測も含めて今、整理している段階ですので、まだイメージに過ぎませんが、ACLの大会構造が変化したことで、非常に難しい局面に陥っています。

通常ですと、大体12月1週目をいつもJ1の最終節に置いています。ただ、今の状況ですとここに最終節を置けません。なぜかというと最終節は全部同じ日程、同じ時間にキックオフすることを原則としておりますが、ACLのTier2(最上位の大会ではなくて2番目の大会)が27日、28日の水、木で分散開催されることになりそうです。もし、木曜日に試合が入った場合、土曜日は中1日となり試合ができないので、日曜日に開催せざるを得ません。逆に、日曜日に置くと、翌週にまたACLが入っていまして、Tier1(最上位の大会)が火曜日か水曜日なので、火曜日に開催されると中1日になってしまって日曜日も開催できないという形になります。もう1週、後ろに倒すとなると同じように、前はACLのTier2の大会があり土曜日に置けなくて、日曜日に置くと、今度はクラブワールドカップが後ろに待っている可能性もあるので、日曜日に出たクラブが海外で11日に試合がある可能性もあり、非常に難しい局面に陥っているという段階です。逆に最終節を前に倒していくと、その分、11月にシーズンを終えるなどサッカーができるシーズンが著しく短くなっていきますので非常に難しい局面です。今はまだAFCのカレンダーやFIFAのカレンダーが固まっていないので、これに対する解決策はまだ正式に全部考えているわけではないのですが、こういう難しい局面がまずあるというのが1点目です。

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もう1点、現在のシーズンの終盤と、次のページがシーズン移行した場合の終盤、つまり最後の3カ月を表しています。赤がJ1、ブルーと紫がACL、黒がIWになっています。ルヴァンカップの決勝なども入りますが、わかりやすさのために全てJ1リーグにしています。9月にもIWがありますが、10月もIWでリーグ戦が分断されます。そして、11月も分断されます。さらにACLのグループステージが火・水・木と入っていきますので、リーグの最後、非常にインテンシティが高く、お客様も一番盛り上がる時にシーズンが分断されたり、ACLで多くの試合日程調整をやりながらリーグ戦をやることになるというのが現在のシーズンです。

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これがもし、シーズン移行した場合、終盤どうなるかというと、6月の頭に最終節を置いていますが、IWが3月で終わることになりますので、4月、5月は国内大会で非常に使いやすいカレンダーになります。ACLのノックアウトステージがありますが、限られた範囲での試合になりますし、Tier1大会は準々決勝以上がセントラルで開催されるので、この期間2試合ぐらいは別日程に移すことになると思いますが、今のシーズンに比べると、終盤がJリーグの強化面、また毎週試合があるというお客様の盛り上がりの観点でも非常に作りやすくなるというメリットがあるというご紹介でした。
例えば、10月の過去事例でいうと、ACLも勝って、ルヴァンカップも勝っているクラブですと月に7試合ぐらいある一方、ACLに出ていない、またルヴァンカップも敗退しているクラブですと、月に2試合しかなかったりします。この非常にリーグの強度が高い中で、月に2試合しかできない環境は、お客様の観点、選手の観点でもなかなか難しいというのが今起きている現状です。
最後はご参考の情報でしたが、本日の議論、先週の実行委員会の議論、現在の議論のご紹介となります。

〔質疑応答〕
Q:シーズン移行した場合に困難な点について。
9月、10月のIWが2026年から16日間4試合になると思いますが、それに対する影響は、今あげられた項目よりは影響が少ないのでしょうか。

A:樋口本部長
その影響も大きいと思っています。全ての情報をお伝えするよりも、まず現時点のIWと比較いただくことがご理解いただきやすいと思い、そのルールのみご説明させていただいています。
資料では10月以降のカレンダーを記載しておりますが、9月にもIWがあり、2026年から9月のIWと10月のIWが合体して、1週間だけではなく、2週間の分断がありますので、それも大きなデメリットだと考えています。

Q:選手、現場の方々からの声を参考にしているということだと思いますが、今後の議論でも、選手や現場の監督から、メリット・デメリットにおける移籍関連、試合日程の部分について意見を聞いていくお考えはあるのでしょうか。

A:樋口本部長
選手会とは常にコミュニケーションをとり、選手視点でのメリット、デメリットはどういうところなのかということについてお話をさせていただいています。また、チームの編成の難しさについては、監督の意見が重要となりますので、監督からも意見をいただきたいと思っています。
まずは作品を作るうえで重要なピッチ上の選手、監督の方々がどのように考えているかを起点に考えていきたいと思っています。

Q:試合が開催できる期間が短縮されるデメリットについて、今後の検討になるかと思いますが、資料を見ても開催できる機会が減るので、連戦が増える可能性が高くなるのではと考えられます。ルヴァンカップの大会方式変更を検討しているということもあると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

A:樋口本部長
まず、ルヴァンカップの大会方式が来年から変わります。J1でいうと、グループステージの6試合がなくなることになります。当然、勝ちあがるチームは連戦が続くことになると思いますので、現在よりも平日開催試合が増える可能性もあります。そのあたりも試合日程を細かく作成したものを比較して、どちらが選手・監督目線で良いのか、意見交換をさせていただくことになります。

Q:降雪地域への対応について、当面は移行してもキャンプを行えば、ということがあるかもしれません。しかし、将来的には屋内練習場の整備など、諸々のインフラの整備が必要であると思いますが、そのあたりは降雪地域のクラブからどのような意見が出ているのでしょうか。また、Jリーグとしてそのようなインフラ整備に受けて補助、助成をすることは検討されているのでしょうか。試算をされているのであれば、どのような状況かお伺いできればと思います。

A:樋口本部長
現時点で何か固まっているものはありませんが、これから検証していく段階となります。
練習場をつくるにしても費用はどのくらいかかるのか、外のキャンプに行く場合も費用や選手のメンタル面でどのような影響があるのか、しっかりと検証していこうと考えています。
いずれにせよ、シーズン移行とは関係なく、冬でもサッカーを楽しむ環境が日本全国に広がっていくということは、Jリーグの理念としても大事なことだと思っていますので、移行する場合はこれを一つの機会としながらより推進していくのが良いと考えています。

Q:今の質問に関連していますが、6年ほど前に野々村チェアマンとお話させていただいた際に、当時JFAが秋・春制を議論していた際に、雪国でもスポーツできるような環境整備、インフラ整備がセットで考えられないといけない、夢を持った議論をしなくてはいけない。というお話を、当時は札幌の社長の立場としてお話されていましたが、今の時点でインフラなどに関するお考えはどのように持たれていますでしょうか。

A:野々村チェアマン
先ほど樋口が申し上げたとおり、シーズン移行関係なく、ということはずっと思っていることです。北海道で長く暮らしているのでよりそう思うのかもしれませんが。北海道でサッカーをしたい子どもたちは12月~3月はサッカーができません。東北、雪国も同じだと思います。私はそれを10年前に思ったのですが、日本は10年たっても変わりませんでした。ここから、10年、20年、30年たってもずっとそのままなのか。日本は、一昔前は世界をリードするような経済大国だったわけなので、その日本だったら色々なことができるのではないか、ということを今もずっと思っています。
多くの地域に屋根が付いた大きなグラウンドがたくさんできる、というのは夢みたいな話かもしれませんが、そこに向かって少しでもスポーツの環境を広げていくということは、今回のシーズン移行の件に関わらず非常に大事なことだと思います。サッカーはそういうことがきっかけになりうる存在でもあると思うというのも、当時も申し上げていたかもしれませんが、同じように今も思っています。

Q:雪国の現状とフットボールカレンダーを比較してどちらを大事にするか、かみ合わないところもあると思います。デメリットがメリットを上回るという最終的な考え方は、どのように折り合いをつけていくのでしょうか。

A:野々村チェアマン
何を最も大事にしなくてはいけないかが、ひとつのポイントになると思います。自分たちが変えたくてこの話をしているのではなく、実際にAFCのカレンダーが変わったことにより、かなりのデメリットを受けているクラブがあります。それは一部のクラブかもしれませんが、そのデメリットを受けることで日本サッカー全体の成長、経済的な成長、フットボール的な成長が阻害されるのであれば、そのデメリットを何とかしなくてはいけないという話になるのかもしれません。今回難しいのは、それぞれの立場で考えていることもばらつきがあって、目の前の問題として考えうることにはしっかりとした意見ができます。けれども、日本サッカー全体を、この先どのように成長させていこうかというところまでを、多くの人が同じ立ち位置で考える土壌にないことが今は問題です。それをみんなで話をしながら、現実的に今こんなデメリットがある、ということの意識を合わせることがすごく大切だと思っています。
まず、そこまでいかないことには、おっしゃるように自分の目の前の課題にしか意識が向かないところもあるかもしれません。
立ち位置を同じにしたうえで、メリット・デメリット、将来のビジョンも含めて考えていったところで何らかの答えは出せるのではないかと思っています。日本はAFCの中にいながら、シーズンを変えないということがメリットになるという結論が出ることもあると思います。

Q:野々村チェアマンが冒頭に、サウジアラビアの影響が大きいというお話をされていましたが、現状、AFCにおける西アジアの影響というのは、AFCの役員構成なのか、単純にリーグランキングなどで強さを見せているのか、どういった観点で影響が大きいとされているのでしょうか。

A:野々村チェアマン
以前であれば日本がスポンサーになる、中国がスポンサーになる、また放映権に関しても東アジアがAFCのイニシアティブをとれていた時代が長かったです。現状はそうではない局面に入っているということがあります。役員構成など色々な面があるのかもしれませんが、西アジアがこうしたいと思っていることに対して、資金を集めてくるという、サッカーのビジネスでは良くある話かもしれませんが、そうしたニュアンスとしてお伝えしたつもりです。

Q:スポンサーなどの資金面で西アジアの影響力が大きかったということでしょうか。

A:野々村チェアマン
概ねそういうことになります。

Q:シーズン移行の件で、前回の説明で、今後ファン・サポーターの意見も聞くというお話があり、調査の方法については具体的に決まっていなかったと思いましたが、それについて具体的な方法は決まっていますでしょうか。

A:樋口本部長
まだ決まっていません。前回の説明から1カ月で、項目の整理や、まずはフットボール観点でメリットがるかという点の検証に集中していました。ファン・サポーターの皆様もしっかりとご理解いただいてからご意見をいただいた方が良いと思います。選手や現場の方がどのように考えているのか、実際にカレンダーがどういったもので、降雪クラブにどのような影響があるのか、情報をしっかりと整理したうえで、どこかで意見を伺うタイミングや方法を検討できればと思います。

 

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明治安田J1リーグ 第10節
2024年4月27日(土)14:00 Kick off

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