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2025年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

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2025年6月9日(月) 12:10

2025年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

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2025年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録
2025年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

2025年5月27日

2025年度 第5回Jリーグ理事会後会見発言録

2025年5月27日(火)16:00~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施

登壇:執行役員 窪田 慎二
   執行役員 青影 宜典
   執行役員 樋口 順也
   執行役員 辻井 隆行
   経営基盤本部長 大城亨太
陪席:執行役員 鈴木 章吾
司会:広報部長 萩原 和之

〔司会(萩原広報部長)〕
本日開催いたしました第5回理事会後の会見を開催いたします。
今回は2部構成で進めさせていただきます。1部の登壇者は、各議題に関する担当領域を担う執行役員の窪田、青影、樋口の3名と本部長の大城です。理事会で決議された事項と、報告されている事項、計3項目を第1部としてご報告いたします。
第2部はその他報告事項が2項目あり、青影、大城よりクラブ経営情報開示の速報と、辻井よりサステナビリティ領域に関する活動のインフォメーションをさせていただきます。トピックスは全5項目です。

第1部の1つ目です。まずは『U-21Jリーグ』新設の件、来年9月頃から新たに始まることが決定いたしました。後ほど樋口よりご説明いたします。
2つ目、理念強化配分金の支給額の決定については2月の理事会後会見時にもお話ししています。2023年の3クラブ分と2024年の10クラブ分でファン指標配分金と競技順位でそれぞれ計算した額を合算し21.6億円分の配分を行うことと、配分対象となる候補クラブは決定しましたが、理念強化配分金は5月に個々のクラブから計画を提出いただき、用途の審査等のプロセスを経て確定することをお伝えしておりました。今回、審査を滞りなく終え、配分が確定したことをお知らせいたします。参考として2/25のプレスリリースをご参照いただければと思います。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=ef8e24ec-1062-4651-8d1f-83d37db16a90&y=&m=&q=
3つ目、25/26シーズンAFCクラブライセンスが6クラブに交付された件については、後ほど大城よりご説明いたします。
第1部「U-21 Jリーグ」創設 について
まずは樋口より、「U-21 Jリーグ」創設についてご説明いたします。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=0896986b-2a81-40e2-83cb-f9e75ba1571a&y=&m=&q=

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ポストユース(19~21歳)および周辺年代の選手育成・強化を目的に、21歳以下の選手を主な対象とする大会「U-21 Jリーグ」(仮称)を創設することを本日の理事会で決議いたしました。「U-21 Jリーグ」は2026/27シーズンに開始し、東西2リーグ制で計11クラブが参加予定です。
今月の実行委員会前日の5月19日(月)をクラブからの最終申請締め切りとしていましたが、浦和レッズFC東京東京ヴェルディ川崎フロンターレ清水エスパルスジュビロ磐田名古屋グランパスガンバ大阪ヴィッセル神戸ファジアーノ岡山V・ファーレン長崎の計11クラブに申請いただきました。
シーズン移行の最初の年である2026/27シーズンから開幕いたします。現状、仮の試合日程ですが、2026年9月頃に開幕、シーズン終盤の2027年4月頃に閉幕をする試合日程を検討しています。現在から約一年後から開幕いたしますが、急に21歳以下の選手がたくさん出てくるわけではありませんので、ある程度暫定的な緩和措置等を取りながら、3シーズン目(=2028/29シーズン)くらいに完成形を迎えたいという議論を11クラブとしています。従って、最初の2年はオーバーエイジの選手を少し多めに参加できるようにしたり、試合会場に関しても、多くのお客様に観戦いただくことを大事な観点としている一方、会場の確保が難しい点もあることから、フレキシブルな対応をしていくことで合意をしています。

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数年前まではJ3にU-23のクラブが3チーム参加していましたが、それがなくなってからエリートリーグを2シーズン実施いたしました。それ以降、アンダー世代の抜本的な大会施策は実施していなかったのですが、2024年3月頃、契約制度など様々な議論をしている際に、複数のクラブからもう一度このような施策を検討したい旨の打診がありました。同年7月からリーグでも実行委員会や理事会で本格的な議論を開始し、10月から今年の初めにかけて関心の高いクラブによる検討分科会を複数回開催し、議論を行ってきました。2025年3月には「参加するクラブが集まれば最終的に実施する」方向で、詳細の検討に入ることを実行委員会および理事会で確認し、本日の理事会での決議に至りました。

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日本サッカーの大きな課題を記載しています。18歳(=高校生年代)までは『Jユース』や『高校サッカー』のようなトップ水準で年間通して戦う環境がありますが、19歳(=大学生年代)になると、『プロリーグ』で戦うか、もしくは『大学サッカー』等の選択肢に限られる状態になっています。
日本の大学サッカーは、世界的に見ても特殊な環境で、非常に優れた育成・強化の環境を有していると思っています。一方、高校卒業してすぐにJリーグに加入した選手は、すぐに19歳の年代でトップの試合に出場することはやはりなかなか難しく、90分の出場機会が年間通しても数試合しかなかったり、例えばJ1クラブの場合、自クラブでの出場が難しいので、下部リーグへの期限付移籍などによって、なんとか出場機会を確保している状況です。

大学サッカーでは年間を通して高水準でプレーできる環境があります。一方Jリーグ視点で考えると、大学を卒業してからJリーグに加入すると23歳になります。Jリーグに貢献いただける年齢や、昨今増えている海外移籍においては21歳くらいまでのマーケットの価値が上昇している中、この4年間は少し時間がかかってしまっているというのがJリーグからの観点です。

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19-21歳という年代がプロ選手としての自身の可能性やポテンシャルを最大化するためには非常に重要な期間であるにも関わらず、結果として、しっかりとした出場機会に恵まれていないという環境は、『日本サッカー全体の可能性』を狭めているのではないかと思っています。
こうした、日本サッカーの大きな課題を改善するために、大学へ行くことはもちろん、高校卒業後にJクラブに加入して期限付移籍で下部リーグで活躍することも良いキャリアだと思いますが、もう一つキャリアの選択肢をつくる必要があると考え、『必要としている適正なプレー環境』を用意するために「U-21 Jリーグ」の創設を決断したということが今回の背景です。ここに参加するクラブだけが育成に注力しているだとか、「U-21 Jリーグ」に全クラブが参加すべきだ、ということではなく、一つの選択肢を作っていきたいということが大きな観点です。

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18歳以下の年代でも、Jリーグユースでプレミアリーグやプリンスリーグで出場していると持て余すが、Jリーグのトップではなかなかプレーできないという状況があったりします。これも、将来のスーパースター候補の可能性を狭めている状況であると思います。従って、ポストユース年代(19-21歳)に限らず、18歳以下、場合によっては中学生なども含めて「U-21 Jリーグ」を活用し、90分お客様に見られている環境で激しい試合をやることにより選手個々の可能性を最大化して、その結果として日本サッカーやJリーグの可能性を最大化する機会にできればと考えています。

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大会方式等は現在かなり細かく検討しています。あくまでも現段階での構想であり、今回最終申請いただいて参加いただく11クラブと今後、より密な議論が必要になってくると思います。エリートリーグでは、参加するクラブを増やすこと、間口を広げることに少し振り切っていたため、当時はエントリールールもU-21の選手が3名エントリーしていれば良い、1名先発であれば良いなど、基準は少し緩いものでした。そのため、若い選手だけでいきたいクラブ、トップでケガしているオーバーエイジの選手が多めのクラブ、プレミアリーグやプリンスリーグで戦いながらそこにに出場できないレベルの選手が出ざるを得ないなど、クラブ間で求める水準や強度が大きく異なっていました。且つ試合の日程を組む際も、クラブ同士で調整ができるという形になっていましたので、なかなか試合の消化率が進まないこともありました。従って、今回はその反省も踏まえ、参加するクラブとかなり詳細なルールを検討しています。
また、お客様に観戦いただく観点が大事だと思いますので、お客様を入れる環境を整えること、それから全試合のインターネット配信を予定しています。今後、放映権のセールス等も進めたいと思っていますが、いずれの形でも全試合放映は実施したいと思っています。

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大会方式は、まず東西の2リーグ制から開始したいと考えており、どこかのタイミングで全国リーグにするかについては、今後検討いたします。
試合の開催は基本的には週末。参加する11クラブはそれぞれのクラブのトップチームの状況に応じて調整をするのではなく、明治安田J3リーグに参加するくらいの覚悟を持って、試合日程を組んでいく形で考えています。同じ週末にトップチームでプレーできなかった選手や、トップチームで5分しか出場していない選手などは「U-21 Jリーグ」で85分であれば出場可などのルールも今後加えていこうと思います。可能な限り、トップチームの試合より後に、本リーグの試合を実施することが理想だと思っていることから、あえて月曜日も含めています。

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試合のエントリーについては18名を上限とし、交代は5名にすべきか7名にすべきか、かなり議論いたしましたが、基本的には全員出場できる環境にしようということで7名といたしました。外国籍枠は3名、監督ライセンスはAジェネラルを必須としています。
オーバーエイジや2種登録選手についても、かなり議論を行いました。オーバーエイジは、年齢制限のない通常の「オーバーエイジ(OA)」と、U-23、つまり大学卒業1~2年目くらいの選手も十分この大会で活躍できる環境にあると思っていますので、その年代を特別な「U-23OA(=22・23歳)」。この2種類を設定しようと思っています。理想形として、「OA 3名まで+ U-23OA 3名まで」とし、3シーズン目(=2028/29シーズン)を迎えたいと思う中で、最初の2シーズンについては、上限人数を緩和したり、「U-23OA」を「U-24OA」に変える等の工夫をするなど、少し緩和措置を取りながら進めていきたいと考えています。

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試合会場につきましても、できる限り多くのお客様をお迎えできるスタジアムで開催したいと思う一方、試合会場の確保も難しいという観点もありますので、2026/27シーズンはすべて「推奨基準」といたします。恐らく参加11クラブの実行委員会を今後組成することになると思いますが、基準を満たさない場合は実行委員会で事前承認を得て、議論をしたうえで進めていきたいと思います。

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エリートリーグが2シーズンで終わったことを繰り返さないよう、今回参加をご検討いただいたクラブともかなり密な議論をし、またクラブでもハードな議論をいただいた上で、覚悟を持って参加いただいています。4シーズンの参加の確約、年会費1,000万円をお支払いいただくことも確約いただいています。今回のタイミングで申請いただいていないクラブの新規参入は、3シーズン目の「2028/29シーズン」以降に受け付ける形で考えています。
今後の検討課題として、「U-21 Jリーグ」の一部上位クラブが明治安田J3リーグに参入してプレーできる環境を検討していきたいと思っています。

あくまでも現段階での構想が多く含まれており、今後11クラブの議論で変わっていく部分もあるかと思います。ここまで約1年をかけて議論をし、覚悟を持って11クラブに参加の申請をいただいて、来シーズンから進めたいと思っています。リリースの最後に野々村チェアマンのコメントも記載されていますのでご参照ください。

〔質疑応答〕
Q:東西2リーグの内訳は、11クラブのうちジュビロ磐田までが東でそれ以降が西という理解で良いですか。

A:樋口執行役員
クラブに参加申請を募った際は、参加クラブ数が未定だったこともあり、クラブに対して明記はしていないため、参加する11クラブと相談して決めている状態ではありません。現実的に考えると、清水エスパルスジュビロ磐田までが東で、西が5クラブになるのが自然だと思っています。

Q:そうすると、同リーグ内でホーム&アウェイの2試合、他リーグとホームかアウェイで1試合となっていますが、東西で試合数が15試合、14試合と変わる形でスタートするということでしょうか。

A:樋口執行役員
その通りです。

Q:新規参入は3シーズン目から受け入れるということですが、3年目から参加したクラブも、そこから4シーズンの参加確約はありますか。

A:樋口執行役員
まだ決めていません。このリーグを成功させるには色々と難しい面もあると思っています。サテライトリーグ、U-23選抜、JリーグU-22選抜等、これまでにも多くの施策をやってはやめるということを繰り返しています。今回は継続的に成功させるために、これまでの経緯も踏まえて様々な議論をしてきました。まずは4シーズンをしっかり行い、その上で参入クラブも増えていけば、もしかしたら4シーズン確約は不要になるかもしれませんが、まだわからない状況です。

Q:年会費1,000万円ということですが、議論の中で1クラブあたりだいたいどのぐらいの負担になるといった話は出てきたと思います。現状、各クラブ、運営なども含めて考えると、どの程度の費用負担を覚悟したうえでの参加となっているのでしょうか。

A:樋口執行役員
クラブによってかなり考え方が異なっています。トップチームと一体となってやっていく考え方のクラブもあれば、完全に分離して行うクラブもあり、シミュレーション上の人件費の計上の仕方もクラブによって様々です。収入と支出それぞれ両方ありますが、収支でいうと恐らく平均8,000~9,000万円の投資案件になると思います。

Q:1クラブあたり8,000万円程度の投資ということですね。
エリートリーグの反省の話がありました。オーバーエイジも分かりますが、強度を保つためには下からの参加をある程度担保しなければならないように思い、現状のルールで大丈夫かという不安もあります。これまでのような失敗を繰り返さないためにはどのような施策を取っていこうと考えていますか。

A:樋口執行役員
まず、現状のルールで大丈夫だと思っています。この部分はかなり議論しました。リーグ事務局からもう少し人数を絞る案も出していましたが、エリートリーグの課題として、ユース世代の中のトップの選手が出場するのは問題ないが、同じ週末に開催されるプレミアリーグやプリンスリーグにユース世代のトップの選手が出場し、そこに出られなかった選手がこちらに来るという事態は絶対に避けようという話がありました。従って、事前にユース年代のトップの10~15名を申請することによって、そういった事態が起きない仕組みになっています。

Q:事前リストはクラブ側が出す?

A:樋口執行役員
はい。基本的にはトップ水準にある10~15名を出していただきます。

Q:新しくU-21のリーグが創設されるということで、これまで育成型の期限付移籍で下部カテゴリーに移籍をしていた選手が多数いると思いますが、このリーグ創設により、下部カテゴリーに育成型期限付き移籍をしないことで、下部カテゴリーからの不満やそれに対する対策は?

A:樋口執行役員
冒頭に申し上げた通り、様々な育成・強化の仕方があると思いますので、何か他の制度を阻害するようなものは考えていませんし、色々なやり方があって良いと思っています。今回、11クラブだけではなく、残りの49クラブも含めて担当者会議や実行委員会での検討をしています。ここに参加しないクラブが間接的に不利益を被るのではないかと考えているクラブもあるとは思いますが、それを持って「11クラブでこのリーグを創設するべきではない」という意見はありませんでした。

Q:11クラブは想定より多かったのか、少なかったのか。参加クラブがもっと広がらなかったのは運営費用が総額1億円ほどかかるという経営負担が大きいからなのか?

A:樋口執行役員
各クラブかなり難しい経営判断になると思っていましたので、我々も申請締め切り日の5月19日まで何クラブになるのか想定できていなかったのが正直なところです。ただ、参加するクラブ数によって創設するかしないか決まることもある状況でしたので、参加申請書には「10クラブ以上であればやる、10クラブに達しなければもう一度検討すると」明記しました。結果、10クラブを超えました。
クラブごとに考え方が違うと思いますので、個別の状況は答えられませんが、平均すると8,000万円程度の投資案件になるので、それをどのように使うかはクラブごとに考えが違うと思います。あるクラブは逆に資金力があっても期限付移籍が有効に働いているからそのやり方を続けると言い切っていますし、我々もここを過度に広げようとは思ってなく、一つの選択肢としていくという考えです。

Q:オーバーエイジの枠ですが、推奨基準に満たない試合において、U-21の選手の先発が4人とありますが、この推奨基準を満たしていれば、U-21の先発の人数の制限は設けないということですか。

A:樋口執行役員
その理解で合っていますが、推奨基準を満たしていると、18名中7名までがオーバーエイジになると思うので、必然的にU-21の選手が4名ピッチに立つという形になります。

Q:ギリギリまで迷ったクラブもあると思いますが、参加をしないと決めた49クラブの理由は分かりますか。

A:樋口執行役員
現時点で公式にヒアリングはできていません。まず、申請のあったクラブを取りまとめて、決議したという段階です。検討しながらも最終的に参加を見送ったクラブもあると思うので、しっかりとヒアリングをし、クラブの考えを聞きたいですし、2年後も含めて参入を検討いただけるのであれば、相談にも乗りたいと思っています。

第1部 AFCクラブライセンス判定結果について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=403bf470-d692-4621-859b-d8e0abe7247a&y=&m=&q=
大城 経営基盤本部長より説明

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現状、J1リーグとAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のカレンダーがずれていることもあり、J1のクラブライセンスとは別にAFCのクラブライセンス判定も行っています。今回、FC町田ゼルビア川崎フロンターレ横浜F・マリノスガンバ大阪ヴィッセル神戸サンフレッチェ広島の6クラブにAFCのクラブライセンスが交付されました。
実際にACLに出場する可能性が高いのは、川崎フロンターレ横浜F・マリノスを除く4クラブになりますが、審査プロセスが始まった段階ではこの2クラブが2024/25シーズンのACLエリートの決勝トーナメントに進出しており、優勝すると翌年のACLエリートに出場する可能性があったため、審査対象として進めていました。審査プロセスの途中でACLエリートの結果が出ましたが、AFCからは審査対象を変更することなく、最後までプロセスを進めて欲しいという話がありましたので、この2クラブにも交付となっています。

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現在Jリーグでは、J1、J2、J3の3つのクラブライセンス制度を運用していますが、ACLのシーズンが移行した23/24シーズンのタイミングからAFCのクラブライセンスも別途、判定を実施しています。

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審査を行っているのはFIBと呼ばれるクラブライセンス交付第一審機関で、弁護士2名、公認会計士2名の計4名から構成される第三者機関となっています。

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クラブライセンス制度の運用については、AFCからJFAに対して当制度を運用するよう指導があり、日本においてはJFAではなく、Jリーグが任命・委任する第三者機関でクラブライセンス制度を運用する形になっています。クラブライセンス交付第一審機関(FIB)の任命は理事会が行っていますが、判定に関しては完全に独立した状況で行っています。

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今回、町田ゼルビア、川崎フロンターレ横浜F・マリノスガンバ大阪ヴィッセル神戸サンフレッチェ広島にAFCクラブライセンスが交付されました。続いて、補足事項として、B等級基準の未充足による制裁についてご説明いたします。

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人事体制の中で、テクニカルダイレクター、トップチームのゴールキーパーコーチ、トップチームのフィットネスコーチにおいて、AFCが求めている人材が所属していないクラブは制裁対象となり、制裁内容は「クラブ名の公表」となっています。

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2022年からAFCの方針によって、それまでC等級だったものがB等級に引き上げられました。AFCで急な改定が行われたわけですが、JリーグとしてはそれまでAFCが求めている基準に充足する形での配置は推奨しておらず、ゴールキーパーコーチ、フィットネスコーチについては改定後すぐに資格を取得することが難しいという背景もあったため、J1のクラブライセンスにおいてはFIBの判断で制裁を科さないという対応を継続しています。しかし、AFCクラブライセンスの運用においては、制裁を科さないという対応が認められないため、クラブ名の公表という制裁を科している状況です。
ただし、今回制裁を科されたクラブにおいても、ゴールキーパーコーチやフィットネスコーチが不在というわけではなく、厳密にはAFCが求める資格を持っている方がいないという状況ですので、大きな問題があるとは考えていません。

第2部 2024年度クラブ経営情報開示
大城 経営基盤本部長より説明

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2024シーズンのJ1、J2、J3全60クラブのうち、3月決算である2クラブ(柏レイソル湘南ベルマーレ)を除いた58クラブにつき、先行して経営情報(2024年度決算情報)を開示いたします。3月決算の2クラブについては6月末に報告があるため、7月に全60クラブの経営情報を開示する予定です。

現在、JリーグおよびJクラブをサポート頂いている方々への迅速な情報提供を行うこと、またクラブライセンス制度の透明性・公平性の担保という意味合いで、全クラブの状況を2段階で公表しています。主なトピックスについて資料を用いてご説明します。

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2024年度の売上高は58クラブ合計で過去最高の1,649億円となりました。前期比114%。48クラブが増収という状況でした。売上高の項目の中で、入場料収入の伸びが特に大きく、前期比121%と大幅に増収いたしました。
個別のクラブとして、浦和レッズは、2年連続で売上高100億円超(102億円)。サンフレッチェ広島は、新スタジアム効果もあり大きく売上を伸ばし、前期比38億円増の売上高80億円に到達しました。Jリーグ・Jクラブ全体の売上高は、配分金など内部での取引を消去した数字になりますが、3月決算クラブを含めると1,900億円を超える見通しです。

続いて、売上原価・販管費も58クラブ合計で過去最高の1,659億円となりました(前期比112%)。伸びた売上高が、フットボールの質の向上に適切に配分されていると評価しています。
2024年度より、開示の項目の一部変更を行い、これまで開示項目に含めていなかった移籍補償金等収入と移籍関連費用の移籍に関する収支について、国外・国内に分けて新たに開示対象としました。移籍補償金等収入は、国外から43億円、国内から58億円でした。移籍関連費用は、国外向け56億円、国内向け52億円という状況です。
シーズン移行の論点の中で移籍金の収入を増やしていくことも課題の一つとなっていますので、現在クラブが移籍関連でどのくらい収入を得られているかをオープンにする趣旨で開示をしています。2023年度まで開示をしていませんので、現時点では比較の議論はできませんが、これからシーズン移行に伴い、分析を進めていく必要があると思っています。続いて年度別推移についてご説明します。

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コロナ禍前の2019年から、2024年までを並べています。2020年にコロナ禍で落ち込みましたが順調に回復し、2022年度にコロナ禍を上回り、そこから右肩上がりに成長が続いています。

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費用も同様の傾向を示しています。一番下の濃い緑色のトップチーム人件費には、先ほど申し上げた移籍関連の費用を23年度まで含めていました。今年から除いていますので、比較対象としては適切ではない並びになっています。図上では人件費が減少しているように見えるのですが、2023年度の移籍関連費用を除いた数字と比較すると110%増加しており、トップチーム人件費も増加傾向にあるということをご理解ください。続いて、リーグの成長テーマに関連する経営情報について説明します。

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Jリーグは、リーグを取り巻く様々な環境変化を踏まえ、リーグ全体のより一層の成長促進のために、新たな成長戦略として「2つの成長テーマ」を掲げ、様々な施策や構造改革を進めています。

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成長テーマの1つ目「60クラブがそれぞれの地域で輝く」という観点では、売上高がどのくらいのクラブで増加しているかが重要な指標の1つとなります。J1・J2・J3の内7〜9割のクラブ数、特にJ1の94%のクラブの売上高が増加している状況です。またトップチーム人件費も6~7割のクラブが増加傾向にあり、伸びた売上がフットボールの質の向上に繋がっていると考えています。2つ目の成長テーマの関連項目の状況は後述いたします。

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2024年度のJ1・J2・J3の所属ごとにクラブの3年の売上高、スポンサー収入と入場料収入
の推移を示したものです。

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続いて、2つ目の成長テーマ「トップ層がナショナルコンテンツとして輝く」という観点の重要な関連項目となる、売上高上位20クラブ平均です。こちらも過去最高となる58億69百万円となり、前年度より大幅に増加しました。売上高50億円以上のクラブ数も、昨年まで9クラブでしたが、前年度から大きく増加し13クラブとなりました。

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上記では売上高上位20クラブを売上高順に並べています。売上高が最も多いのは浦和で102億円、次に川崎Fが84億円、神戸・広島が80億円と続いています。北海道コンサドーレ札幌までの計13クラブが売上高50億円以上のクラブとなっています。

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売上高成長率上位10クラブを並べた図です。右から成長率の高い順に並んでおり、円はクラブの売上高を示しています。売上高成長率が最も高いのはテゲバジャーロ宮崎で134%、次にSC相模原が121%、インパクトという意味では広島が成長率プラス91%、町田がプラス69%とJ1クラブでも成長率の高いクラブが全体に影響を与えているといえます。

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上記はJ1・J2・J3のそれぞれの科目ごとの合計の数字を示しています。

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上記は平均の数字です。

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上記は売上高主要項目の推移です。
以降は、経営情報開示参考資料として入場者数の推移や1試合あたりの平均入場者の推移を参考資料として掲載しています。

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最後に参考資料としまして、24年度決算でもいくつか債務超過のクラブもございますが、赤字と債務超過の違いについて資料をつけておりますのでご参照ください。

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〔質疑応答〕
■クラブ経営情報開示について

Q:各クラブ決算の一覧で、鹿島アントラーズ北海道コンサドーレ札幌ベガルタ仙台が下二桁が00で揃っていますが、四捨五入なのか切り捨てなのかどのような計算方法なのでしょうか。クラブごとに違うのでしょうか。Jリーグ側から、報告する際の数字の表記の基準などあるのでしょうか。

A:大城 経営基盤本部長
クラブの決算は一円単位でやっているところや千円単位でやっているところがあります。クラブライセンスの審査という意味合いもあるので、計算書類も提出いただいていますが、きれいに最後まで0の数字となっているわけではありません。情報開示においては100万円という単位での提出をお願いしています。四捨五入や切り捨てはクラブごとに異なっていますが、00で並んでいるのはたまたまです。

Q:計算したら、鹿島アントラーズは結構ずれているように感じたのですが、そのあたりの確認はされていますか。

A:大城 経営基盤本部長
計算書類との確認は行なっています。細かい内訳は計算書類にも載っていない数字になるので、全ての数字を付き合わせているわけではありませんが、売上高や、経常利益は計算書類と一致していることは確認しています。内訳は先ほど申し上げたように四捨五入や切り捨てでずれていくことはあると思います。小さい文字ですが、表の下に、ずれることがありますと書かせていただいています。

Q:今回から移籍補償金の項目も出すということですが、理由を教えてください。Jリーグとしてこういうことで収入を得ることを数字上でアピールしていくなどの意図があるのでしょうか。

A:大城 経営基盤本部長
シーズン移行の議論の中でカレンダーが欧州の主要リーグと一致することで、移籍市場もJリーグと海外のリーグの中で活性化すると考えており、これからより移籍金の収支が項目として大きくなっていくことも予測されます。以前物販収入もその他収入に入れている時代があったのですが、これからは物販も収益の柱の一つだとして、現在は開示項目に入れています。同じような理由で移籍金の収支も今後開示することにしています。

Q:上位20クラブが開示されていますが、一方で過去のJリーグ上位5、6位くらいの売上を見ても100億円くらいが一つの目安だと思います。入場者数もだいぶ増え、リーグとしては配分金もそこまで増えるわけではないですし、クラブの自助努力で入場料収入を増やしていったら良いのか、そのあたりはどのように見ていますか。

A:大城 経営基盤本部長
まだまだ伸び代はあると思っていますので、100億円がJリーグのトップリーグの一定の目処というご質問に対しては、我々はまだまだ成長できると回答します。配分金も将来的には伸びていく可能性があると思っていますし、今おっしゃっていただいた通り、入場者数も常に全試合が満員になっているかというと、まだ伸びる余地もあると思います。チケット価格においてもいろいろな見直しもあると思っています。現在リーグでは集客やメディアの露出にまずは力を入れて、その成果も出てきており、スポンサーや物販、あらゆる面で成長が続いているため、まだまだ伸びしろがあると思っています。リーグとしてもトップの方を育てていくというのも成長テーマの一つに掲げているので、色々な項目でできることをクラブと一緒に考えていきたいと思っています。

Q:移籍金のところで確認ですが、違約金、移籍金だけではなく、TC(トレーニングコンペンセーション・育成補償金)や連帯貢献金なども入ってくるという認識で良いでしょうか。

A:大城 経営基盤本部長
ご認識の通りです。

Q:トップチームの人件費との関連の話がありましたが、この移籍関連費用を単純にトップチーム人件費に足せば去年と比べられる訳ではない

A:大城 経営基盤本部長
比べられます。

Q:足せば良い?

A:大城 経営基盤本部長
足せば良いです。ただ、トップチームの人件費については、新たな移籍関連費用の項目を立てたことで人件費の中身が変わっていますので、足して前年と比較しても良いのですが、これからはトップチーム人件費を除いた数字でやっていくという意味合いで今年からは入れていません。移籍関連費用はこれまで開示していないことから、そこだけを前年と比較ということもできませんので、今年は申し訳ありません。

Q:移籍金の国内からの収入が58億円で、その下の国内むけの費用が52億円。この6億円のズレはどういう違いなのでしょうか。国内むけに選手を移籍させてもらう移籍金と、移籍させて払う国内同士の移籍だから一緒になるのかと。

A:大城 経営基盤本部長
違う理由は色々とあるのですが、決算期が微妙にずれていたりもします。今回も12月決算と1月決算のクラブがずれていますので、同じ移籍に対して2クラブが関与していた場合、両クラブとも同じ期に計上する場合もあります。少し期がずれて、クラブの会計処理の考え方でずれるケースがありますので、一致しそうですが完全に一致はしないと思います。
そのほか、費用によっては何年かにわたって償却していく資産性のあるものもありますので、これからも必ず一致するということはないと思います。

第2部 サステナビリティ関連のインフォメーション
辻井 執行役員より説明

【1】「Jリーグ気候アクション月間」啓発キャンペーンを実施
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=d2665ff9-bc58-4ba0-a1c0-6898e699c2b6&y=&m=&q=

6月の環境月間に合わせ、啓発キャンペーンとして「Jリーグ気候アクション月間~未来の地球に、いいパスを~いよいよ次の一歩を踏み出します!」を実施することになりました。
こちらは主にクラブの気候アクションをJリーグが可視化して、情報を届けやすくする取り組みです。
各クラブがこれまでいろいろな素晴らしい活動をされていましたが、点を線に、さらには面にしていくためのプラットフォームを用意したとご理解いただければと思います。
具体的には、6月に各クラブが予定している気候アクションに関連した取り組みを、ひとつのランディングページ(特設サイト:https://www.jleague.jp/climateaction/climateactionmonth/)に集約し、地域別、活動種別ごとに取り組みを調べていただけるようになりました。先月の理事会でお話しした通り、イングランドを初め欧州のリーグのいくつかは、イギリス発祥の「Sports Positive Leagues (SPL)」という気候変動対策として有効な12の領域に該当する各クラブの取り組みを可視化して、ランキングをつけるという取り組みを行っております(Jリーグも26年から導入)。導入に先駆けて、今回の気候アクション月間のウェブサイト上でも、SPLと同じく12の領域に分けて、クラブエンブレムをつけて、気候アクションのうち、どのようなジャンルに貢献することになるかをわかりやすく示すという構成になっています。
気候アクション月間は6月1日から30日の間で行い、今年に関しては46クラブの約100の取り組みをサイトで紹介しています。アイコンとして、Jリーグの気候アクション月間には、Jリーグ公式マスコットのJリーグキングを「サステナビリティバージョン」としてテーマカラーのサステナブルグリーンの特別仕様で登場させています。こちらを使ったスペシャルジングルを、Jリーグ公式映像の試合中継の切り替わり場面や冒頭に流して、気候アクション月間の認知を高めていくことも予定しています。

【2】サステナカップ2025実施の件
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=c3bdf3c0-c02b-4f15-9fa8-779ad4a11bea&y=&m=&q=
Jリーグオフィシャルパートナーで、かつ気候アクションパートナーでもあるNTTグループとの協業で、2024年から行っているサステナカップについてご説明いたします。
先ほどご説明した「Jリーグ気候アクション月間」はクラブの取り組みですが、こちらはファン・サポーター参加型のアクションとなります。
昨年は15クラブと実証実験という形で実施しましたが、今年は全60クラブとともに開催いたします。
NTTデータが開発したアプリ「fowald®」を通じて、ファン・サポーターのみなさんの気候アクションにチャレンジしてもらい、クリアすると活動量が点数化され、応援するクラブにもポイントが入ります。
そうしてクラブごとの活動量の合計を可視化してランキング化し、活動サポート金として総額1,000万円をクラブに還元する取り組みです。(優勝クラブには優勝トロフィーとして国産ヒノキで作られた「サステナカップ」を授与)
クラブが設定しているファン・サポーター向けの「クエスト」と呼んでいるアクション、例えば環境に関する「マイボトルをもってプラスチック削減に取り組んでいる」といった写真を、アプリを通じて投稿すると、クラブに点数が入るという仕組みになっています。2024年は横浜F・マリノスが優勝しましたが、今年は60クラブが参加するということで、より多くのファン・サポーターの皆さんに参加いただけるとありがたいと思っています。

サステナカップを始めたきっかけは、試合日だけでなく、試合日以外でも、例えば、マイボトルを持ち歩いてペットボトルを減らすなどの行動変容を気にかけていただきたいという目的をもって実施しました。初回となった2024年のアンケートの結果では、「意識に変化があった」とお答えいただいた方が参加者のうちの94%。実際に「自分の行動に変化が出た」という方が50%を超えていました。前回参加していただいた方の98%以上が「次回も参加したい」、50%以上の方「強く参加したい」というお答えをいただいています。こちらは5月30日~6月29日までの開催となります。

2024年実施アンケート

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【3】Jリーグインパクトレポート2024
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=a2c0434d-f58e-4ee6-958d-be17d928640b&y=&m=&q=
3つ目のご案内、こちらはJリーグで初めての取り組みです。
「インパクトレポート」と題してサステナビリティに関する活動の報告書を作成しました。
各クラブは現在ホームタウン活動として、地域の困りごとに向き合う活動を年間3万回ほど実施しています。毎年活動の数は増えていますが、継続して活動を続けるとどういった結果につながるかといった将来のビジョンや、各クラブの取り組みが点から線、線から面になっていかないという課題がありました。今回、サステナビリティ活動の全体像が見えるようにすること、時系列でバックキャスト的にどのようなことを実現するかということを念頭に置いて作成しました。

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簡単に冒頭部分をご説明します。
全体が3つのセクションになっていて、最初になぜJリーグがサステナビリティに関する活動をするかということを野々村チェアマンの言葉でしっかりと説明しています。具体的には数年前からお話ししている通り、地域が安寧、平和なだけではなく、活力がある社会であるということがサッカーの発展や60クラブの繁栄にとってとても大事です。さらに活力がある地域のもっと大きな土台になっている自然環境が、主に気候変動などによってグラグラとしているというで、「活力がある社会People & Community」「健全な地球環境 Planet」に対してしっかりと取り組むということが、サッカーを含む全てのスポーツ、さらには地域の経済活動も含める社会にとって大切だと認識しています。
これまで「ホームタウン活動調査」をベースに3万回以上のホームタウン活動を行っていることを可視化し、活動報告書を発行してきました。インパクトレポートでは、それらを大きく「People」、「Planet」、「Community」の3つの柱に分類、カテゴライズしなおし、見やすく、理解しやすいようにしたことが大きな特徴になります。サステナビリティ活動を推進するに至った歴史などを振り返りつつ、今後の短期・中期・長期で「People」、「Planet」、「Community」3つのテーマがそれぞれどんなところに向かっていくか展望を共有し、また未来の方向性の意識を合わせてインパクトを大きくしていきたいと思っています。なお、「Jリーグインパクトレポート2024」は先日ご紹介した日本財団からの助成金を利用して作成させていただいています。

 

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