12月23日(火・祝)天皇杯 準々決勝
東京V 0 - 3 磐田(岡山県陸)
「昨シーズンは完全制覇してチャンピオンだったんですけれど、今シーズンはタイトルを取っていないということが、選手たちのモチベーションを上げている」(柳下監督・磐田)
そんな気持ちの表れなのだろう。開始直後の1分、山西の直接FKがポストの右側をかすめる。続く2分、西が左サイドを突破。そこからの鋭いクロスボールに走りこんできた前田が頭で合わせると、今度はクロスバーをかすめていく。磐田はいきなりゴールへの強い意思を見せた。
「自分たちのスタイルにこだわっている。我々のスタイルというのはパスをつなぐサッカー」(アルディレス監督・東京V)
東京Vのチャンスは3分。テンポの良いショートパスをつないでゴール前へ。CKのチャンスを得ると、三浦の右足から放たれたボールに米山が合わせる。混戦の中から飛び出したボールが右ゴールポストに当たる。「勝つのは俺たちだ」。そう主張するかのように東京Vも決定機を作ってみせる。こちらも一歩も引く気配はない。
そんな試合のペースを握ったのは東京Vだった。「戦う前から問題は山積み。何人も怪我人がいたし、試合に出場するにしても100%ではない選手がいた」(アルディレス監督)。しかし、選手たちはそんなことは少しも感じさせない。前線に張るエムボマの周りを動き回って起点を作る桜井。その桜井とポジションチェンジしながら前へ飛び出す山田と平野。スペースへ顔を出してパスコースを作る小林大吾。中盤の底では林が危険な匂いを未然に消していく。
軽快なリズムでボールをつなぐ東京V。12分、そして18分にはエムボマが決定機を演出する。試合のリズムは東京Vのものだ。ただ問題も抱えていた。何本もつながるパス。何度も迎えるチャンス。しかし、エムボマの決定機以降シュートが打てない。そして、ジワジワと磐田が前に出始める。「前半30分くらいまでは相手の速いボール回しと人の動きに後手を踏んで悩まされたが、それ以降は修正できた」(名波・磐田)。磐田が本来の姿を見せ始めた。
それまで後方からのロングフィードに頼っていた磐田に中盤のリズムが戻ってくる。東京Vのゴール前に迫るシーンはさほど多くはないが、そのボール回しには危険な雰囲気が漂う。そして40分、西が左サイド深く切れ込んでからファーサイドへ。このボールをグラウが反対側のポストへ頭で落とす。誰もいないスペースに現れたのは名波。頭から飛び込んでゴールネットを揺らした。東京Vの守備陣を完璧に振り回した完璧なゴールだった。
対する東京Vは44分、すかさず同点に追いつく絶好機を迎えた。エムボマの突進を止めようとしたGK佐藤が足を抱え込んでしまったのだ。判定はもちろんPK。しかし、三浦が蹴ったPKはGK佐藤に阻まれ、こぼれたボールを再び三浦が狙ったがボールは無常にもポストの右へ外れた。「鍵となるプレーはPK。ちょっと冷水を浴びせられたような気分でした」(アルディレス監督)。試合の流れが一気に磐田に傾いた。
1点のビハインドを負う東京Vはリスクを犯して前に出る。磐田は前がかりになる東京Vのスペースへボールを送りカウンター気味にボールを運ぶ。そして55分を過ぎた辺りから東京Vの運動量が衰えはじめると、後は一方的な磐田のペースに。西が柳沢の後ろのスペースを使ってサイドを突破すれば、前がかりになるDFの裏へボールを送って、グラウ、前田が飛び出して行く。
磐田の追加点は71分。西がファーサイドへ向かってアーリークロスを放り込む。東京VのDFの頭を超えて行くボール。そこへグラウが飛び込んで頭で合わせた。さらにロスタイム、右サイドの深い位置から成岡がガラ空きの左サイドへ大きく展開。西がドリブルで持ち込んでシュート。これはGK高木にはじかれたが、こぼれ球に反応したグラウがGKをかわして無人のゴールに流し込んだ。終わってみれば3−0。東京Vの健闘が光ったが、磐田の勝負強さが印象に残った試合でもあった。
天皇杯では6年ぶりの準決勝進出を果たした磐田。「目の前にあるタイトルに挑んでいるだけ」。中山は天皇杯に対する特別なこだわりを否定する。しかし、今年の天皇杯に対するモチベーションは過去のそれとは違うのは誰の眼にも明らかだ。「トレーニングから姿勢が全然違う。リーグ戦と同じ状態でトレーニングしているし、試合にも臨んでいる。いま非常にいい状態」(柳下監督)。念願の天皇杯獲得まで後二つ。正念場はいよいよこれからだ。
さて、敗れた東京V。「今年はここまで。全ての選手たちに感謝し、彼らのことを誇りに思う。全力を尽くしてくれたという意味では、これ以上のものを彼らに要求はできない」。記者会見に現れたアルディレス監督は試合を振り返る。就任以来、東京Vを大きく変えてきたアルディレス監督。目指す「つなぐサッカー」の形は見えてきた。「我々の変身を途中で止めてはならない。これからも引き続きやっていかなければならない」。東京Vの改革は、まだまだ続く。
2003.12.24 Reported by 中倉一志
以上
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