12月25日(木)2003Jユースカップ準決勝 C大阪-広島(11:00KICKOFF/長居2)
C大阪 1-2 広島
得点者:
52`前田俊介(広島)
68`坂本勇一(C大阪)
89`藤井大輔(広島)
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広島県吉田町にサンフレッチェ広島FCユース(以下、広島)が誇る最新式の人工芝を導入した練習グラウンドがある。あいにくと今は雪の下だが。天皇杯で鳥取を訪れた清水と湘南のサポーターを震撼させた豪雪は、吉田町にも舞い降りていたのだ。広島は「この一週間、練習は体育館でのミニサッカーだけ(笑)」(森山監督)だったという。残念なことに、試合会場となった長居第二陸上競技場のピッチはフローリングではなく、極めて扱いにくい枯れ芝であった。
セレッソ大阪U−18(以下、セレッソ)が山場と見ていたFC東京ユースとの準々決勝。後半ロスタイムでの同点劇からのPK勝ちという劇的勝利がチームにもたらしたのは準決勝へのチケットだけではなく、自信という大きな財産だった。この日のセレッソの戦い振りはまさにそれが具現化されていた。夏の大会で見せてしまった「ひ弱」(セレッソ関係者・当時)な姿はもう見られない。この日の彼らは確かに強くて逞しかった。
序盤、広島は明らかに試合の入り方に失敗する。一人一人の動き出しが鈍く、前の3人がいい形でボールを持つシーンが極端に少ない。なかなかフィニッシュへと至る形を作れず、ようやくシュートが記録されたのは前半も半ばに入った19分のことであった。森山監督は前半の広島を「前線と中盤の距離、前線同士の距離、その両方が離れすぎていた」と振り返る。
相手ボールになった時は無理にラインを上げずにスペースを消す「戦略的後退」を実施するセレッソ最終ラインに応えて前へ出た広島のFW陣とMF陣との間に距離が生まれ、個性のあるアタッカー個々が前線で孤立。数的不利を撥ね返して突破を見せることがあったのはさすがだったが、総じて潰されるシーンが目立つこととなった。こぼれ球の「拾い合い」でも「距離」ができてしまっていた広島に対して五分に渡り合うことに成功、主導権を渡さない。セレッソDFには、スタンドに知り合いを見つけて手を振る余裕さえあった。
広島のセットプレー以外からのチャンスは、24分の高柳のシュートと19分に田村のシュートがバーに当たったシーンのみ。前半のシュート数は広島5本に対して、セレッソ2本。セレッソもこれといったチャンスは作れておらず、ボール支配率では広島が大きく上回っていた。しかし、よりどちらの思惑に近い試合展開だったかといえば、それは考えるまでもなく明らかであった。
後半開始早々の8分。2人の選手が見せた閃きが膠着状態を打破する。バックラインから広島の中野が放ったロングボール。このボールに対して相手DFと並走する形になった前田俊介の「決断」はトラップしての切り返しなどではなく、後方から来たボールを走り込みながらそのままボレーで叩くというもの。超高難度なキックだったが、綺麗にミートされたボールは名手・稲田の牙城を突き破って、ゴールイン。欲しくてたまらなかった先制点を手にした広島。このまま押し切るのではないか。スタンドの多くがそう思ったに違いない。
しかし、先制しても広島の攻めは相変わらず普段の破壊力を見せることができない。対するセレッソはFC東京戦の同点ゴーラーである下釜を投入、さらに14分には日下を投入して188cmの武田をFWへ移し、坂本とのツインタワー体制へと移行する。攻撃モードへの切り替えに入ったかに見えたが、この采配もそれほど奏功したわけではない。正確には、23分までは巧く行っていなかった。その23分にセレッソFW坂本がヘディングシュートを放つことになるが、実際これは後半初めてのシュートである。しかし、これが決まってしまうのだからサッカーは分からないというものだ。小野原の左足でのFKを右サイドで受けた山城純也が見事なドリブルで広島DF2枚を破り、クロスボールをファーサイドへ。高さのあるDFが左CBの藤井しかいない広島にとって、右CBと右DFが守るそのエリアは泣き所である。ジャンプした182cmのFWに競り合える選手はおらず、ボールはゴールネットを激しく揺らすこととなった。
ここから34分までが「勝負の時間帯」となった。当然ながら、勢いは追いついたセレッソにある。小野原のヘッドがゴール枠をかすめ、坂本のヘッドから混戦が生まれる。34分には山城の絶妙のスルーパスから抜け出した坂本がゴールを狙うが、これは間髪入れずに飛び出したGK佐藤が何とか阻止し、辛うじて失点を免れる。完全なセレッソのペース。
しかし、この直後、相手DFに詰めたFW武田が2枚目の警告を受けて退場してしまうアクシデントが発生して、状況は再反転。以降の10分間は怒涛の攻勢を見せる広島と、1人退場したことで逆に「守りきってPK勝負」という目標が明確化されたセレッソによる「意地と意地のぶつかり合い」(森山監督)が展開されることとなった。そんな中、最後の最後で粘り勝ったのは広島だった。後半ロスタイム。西山のCKがファーサイドへと流れたところを拾い、中央へと折り返したのが中野桂介。これをラインギリギリでボールに飛びつき、ヘッドで折り返したのは前田俊介。最後にボールへ食らいついてのヘディングシュートを叩き込んだのは藤井大輔。森山監督が「このチームのいいところ」と胸を張る「最後まで諦めないでボールを追う姿勢」が具現化されたゴールだった。試合はそのまま終了。広島が粘るセレッソを退け、2年連続4度目となる決勝進出を決めた。
2003.12.26 Reported by 川端暁彦
以上
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