2003年12月27日開催 第83回天皇杯準決勝 鹿島 - C大阪(長居)(15:00Kick off)
今シーズンの鹿島の戦いぶりは、選手にとっても、サポーターにとっても納得のいかないものだった。1stステージは8位。チーム内の不協和音が聞こえてきた。ナビスコカップでは決勝戦で浦和に0−4の大敗。怪我人が続出したとは言え、試合巧者の鹿島らしくない試合だった。そして2ndステージの最終節。ロスタイムの同点弾は、ゲームコントロールに長けた鹿島には考えられない出来事だった。それだけチーム状態が良くなかったということだろう。
それは天皇杯でも続いていた。3回戦の福岡戦、そして4回戦の柏戦での2点のビハインド。どちらの試合も敗れて不思議はない展開だった。しかし、鹿島は勝利に対する強い執念で絶体絶命のピンチを跳ね返してきた。それは「取れるタイトルは全て取る」というアントラーズスピリットと、無冠では終われないという王者の意地、そして何よりも、今シーズンを最後にチームを離れる秋田と1試合でも長く戦いたいという強い気持ちがもたらした結果だ。
「ここが僕にとって最初で最後のチームと思っていました」(秋田)
鹿島の選手として戦うカシマサッカースタジアム最後の試合となった天皇杯の4回戦。試合後に秋田は、そう挨拶した。しかし、チームを離れるのはプロの宿命。ならば、1993年5月16日以来、鹿島の一員としてピッチの上で積み重ねてきたもの、そして学んだことの全てを天皇杯にぶつけたい。鹿島の一員として10冠目となるタイトルをチームメイトとともに分かち合いたい。それが秋田の強い気持ちだ。
「秋田さんのことはみんな口に出してないけど、試合が始まると少しでも長く一緒にやりたいという気持ちが強くなる。何とか最後まで戦いたい」(本山)
若手は秋田から多くのものを学んできた。強い信頼も寄せている。そんな秋田とともに戦えるのも天皇杯限りだ。可能な限り秋田から学び取り、そして自分たちの成長した姿を秋田の目に刻むこと。それがチームメイトとして秋田に贈るべきものだ。そのためには天皇杯のタイトルは誰の手にも渡せない。
一秒でも長く一緒にプレーしたい。自分たちのここまでの集大成を見せたい。互いのそんな思いはチームの姿を変えた。準々決勝の横浜FM戦でみせた完璧な意思疎通は王者鹿島そのもの。勝負所を抑えるそつのなさは鹿島の専売特許だ。鹿島本来の強さが、いま蘇りつつある。決して相性が良いとは言えないC大阪との長居スタジアムでの試合は簡単ではないだろう。だが、秋田とともに戦う天皇杯を途中下車するわけにはいかない。目指すは元旦の国立、そして天皇杯のタイトルだ。強い意志で結ばれた鹿島ファミリーは全てを賭けて頂点を目指す。
以上
2003.12.26 Reported by 中倉一志















