中津江村営鯛生スポーツセンターのピッチに散らばる選手たちに、厳しい檄が飛ぶ。
「自分に勝て!」
その声に促されるように選手たちは疲れた体に鞭打ち、動き続ける。選手たちを突き動かす声の主は、今年からサガン鳥栖を率いることになった松本育夫監督だ。
ご存知の方も少なくないと思うが、昨シーズンの鳥栖の勝利は年間で3勝、そういった状況から強いチームを創造する、という仕事を引き受けた松本監督の再生のための方法論が、メンタリティの強化だった。
「このチームにきた時に感じたのは、体質の甘さでした。練習試合をやっても90分間集中できない。その一人の選手のミスで試合を落とすこともありうる。ただ、外部から来た選手はしっかりしている。ですから全体をうまくレベルアップしていければやれると思います」(松本監督)
過酷な練習メニューは、選手を戸惑わせそして痛めつける。厳しい練習の末にけが人のリストに名前を連ねてしまった矢部次郎は言う。
「最初は厳しい練習に戸惑いました。だけど一度地に落ちたチームですからこれくらいやらないとダメ。去年と同じ結果しか出せないと、もう誰も助けてくれないですから。監督も代わり新しい選手も入ってきて、みんなゼロからのスタート。試合に出られるようにがんばってます」
チーム状況を語るときには表情を硬化させていたが、ケガしたこと自体は前向きに捕らえている様子だった。
「必死で練習に取り組んだら思いのほか早く体が出来上がってしまった。それでがんばりすぎてケガしたんです(笑)。足首をひどくひねってしまって。ただじん帯は切れてないですし、開幕前に一度休養を取れたと思って前向きに捕らえています。来週には復帰できそうです」
鳥栖の合宿は、同じ中津江村での一次キャンプを終えて二次に入っているが、午前中の練習ではフィジカル系を意識した練習が続いた。特に練習の最後の20分間に続けられた1対1の練習は過酷そのもの。練習終了とともに倒れこむ選手が続出した。
「他と同じ練習をしていたら勝てない!」
午前の練習を終えた円陣の中で、松本監督は熱く語った。
午後の練習は、ウオーミングアップに続いて30分×2本の紅白戦となった。この紅白戦では、自陣でのパス回しに1タッチ以内という制限をつけており、できるだけ早くボールを前に運ぶことを意識させているようだった。それは試合中何度となく松本監督の口から出た「切り換えろ!切り換えろ!」という指示からも伺える。また、ディフェンスに入ったときのマークの受け渡しにも厳しい注文がつけられていた。受け渡しがうまくいかない場面では、試合をとめて確認する徹底ぶり。その姿からは、まずは守備から、そして、相手の守備陣形が整わない間に一気にボールを前に運ぼう、という意識付けの意図が見て取れた。
午後練習が終わった後、選手を前にした松本監督からこんな言葉が出てきた。
「勝てればJ1に行けるんだ」
この重みのある言葉について、松本監督の考えの根本を聞き出すことができた。
「99年にフロンターレを率いてJ1に昇格したときよりも、現在の鳥栖の選手レベルは高い。いいチームになってきました」
松本監督は、鳥栖の選手たちに高い評価を与えている。だからこそ持てる技術を最大限に生かすためのメンタル面の強化が大事なのだ。試合開始直後は、誰でもいいプレーができる。問題は疲れたときにもう一踏ん張りできるのかどうかということなのだ。その厳しい時間帯の意識を高めるために、選手たちに過酷なトレーニングを課すのだ。
「若い選手には反発心を抱くものもいるかもしれない。しかし、ベテラン選手は監督の真意を理解しているはず」
そう主務の仲さんは語ってくれた。実際、竹村栄哉をはじめとして複数の選手は松本監督の過酷なトレーニングに理解を示している。
練習後に話を聞かせてもらった別れ際「いけると思いますよ。」と松本監督は口にした。監督にはそう言い切れるだけの準備ができているのだろう。
鳥栖の開幕戦の相手は松本監督の古巣、J2優勝有力候補でもある川崎フロンターレ。場所は、松本監督が99年に昇格の感動を味わった等々力である。
2004.2.27 Reported by 江藤高志
以上
【Information】
□■□ゼロックス スーパーカップ特集□■□
★☆★応募者全員にチャンス!★☆★ 【クイズで当たるスペシャルプレゼント実施中!】
⇒今すぐ2004年の運だめし! >>2004ゼロックス スーパーカップ特集<<















