6月19日(土)J1 1stステージ 第14節 鹿島 1 - 0 磐田(15:34KICK OFF/カシマ) 入場者数 26,515人
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試合終了後、鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督は、記者会見場に入るなりいきなりガッツポーズを見せた。「日本サッカーの歴史を守り続けられる良い試合ができた」とコメントすれば、磐田の桑原監督も「今日はJリーグで今季いちばんの試合だった」と振り返った。これまで何度もJリーグの覇権を争ってきた、自他共に認める「最大のライバル(トニーニョ・セレーゾ監督)」同士の戦い。その戦いに相応しい内容だったことは、両監督の言葉、そして表情にまでにじみ出ていた。
前半立ち上がりから、攻守は目まぐるしく変わる。鹿島は本山がドリブルで切り込み、DFの裏に飛び出した平瀬が受け取ってゴールを狙えば、対する磐田は左サイドの藤田が起点となって逆サイドへと流し、川口から中に入れたボールをグラウがシュートという一進一退の展開。
しかし、鹿島は決定期は作るものの「次のパスが引っかかって、つながらなかった」と小笠原が言うように、空いたスペースに切り込んだ後、次の出し手がいなかったり、安易なパスによってボールを奪われてしまう。それを磐田はカウンターに持ち込む。藤田・福西・名波が流動的に動き、空いたスペースにFWが飛び込むという一連の流れは無駄がなく、鹿島DFを翻弄する。「藤田を起点にした流れるような動きに対して、マークの受け渡しをしっかり(内田)」と試合前に警戒していたものの、「守備の混乱をきたすような、牽制すべきシーンが多かった(トニーニョ・セレーゾ監督)」と磐田のコンビネーションの良さに前半は苦しめられた。
前半の45分は瞬く間に過ぎ去り、見ているほうもハーフタイムでやっと一息つくという状態。想像以上のピッチ内の白熱ぶりに、スタジアム全体もますます盛り上がっていく。
そして後半は前半以上に激しい展開となった。後半8分、DFラインの裏に飛び出した福西と曽ヶ端の1対1。福西が倒れ、あわやPKか?!と思われたが、ここはノーファール。鹿島にとってはヒヤリとする場面だった。鹿島も後半17分。新井場がセンターサークル付近でインターセプトし、そのままドリブルで駆け上がる。DFをかわしてシュートに行くも枠外。両チームともにCKなども含めて何度もチャンスを作るのだが、肝心のゴールを決めきれない状態が続く。
ベンチが動いたのは、後半23分。磐田はグラウに代えて中山を投入。2トップは中山と前田、福西がトップ下に移り、名波・服部のボランチへと変更。何が何でも得点を取りにいくシステムへと変更した。対する鹿島も一気に選手を投入する。金古→岩政・野沢→青木・平瀬→深井とわずか2分の間に交代枠を使い果たし、勝負をかける。前日練習でも見せた3バックに変更し、深井を1トップにおいて2列目に本山・小笠原・青木、新井場をDFラインから前にあげて、中田・フェルナンドと中盤を固め3−3−3−1の形となる。この鹿島の選手交代が、試合の流れを変える引き金となる。「青木が入ったこと、前半に膝を痛めた藤田が守備のために戻るのが遅くなったこと」。藤田に代えて成岡を入れた理由を桑原監督はそう説明した。それが、かえって鹿島には功を奏す。同じ交代を、トニーニョ・セレーゾ監督はこう考えた。「藤田がいなくなったことにより、磐田はクリエイティブな攻撃が欠けだしたのではないか」
暑さもあって、磐田の中盤の選手は動きが鈍ってきていた。先制点を取ろうと前がかりになった前線との間にスペースが生まれるようになる。一進一退の攻防から、徐々に鹿島に風向きが変わり始める。しかし、磐田も簡単にはゴールを割らせない。前半からの激しい展開に、終盤になると足のつる選手も見られ、まさに意地と意地のぶつかり合いとなった。
ロスタイムに入り、依然両チームともに無得点。そこで迎えた鹿島のCK。会場のボルテージが一気に上がる。一際大きくなった鹿島サポーターの声援でスタジアムは揺れ、鳥肌がたつほどの雰囲気の中、小笠原が左コーナーからゴールに向かってボールを蹴り上げた。そこに岩政がダイビングヘッドで飛び込び、ボールは鋭くゴールに突き刺さった。その瞬間、会場は湧き上がるような歓声に包まれ、ピッチ上で名波は呆然と立ち尽くし、山西は頭を抱えた。
「飛んだ瞬間、正直届かないと思った。入った瞬間は頭の中が真っ白で歓声が聞こえなかった」と興奮気味に答える岩政の顔は達成感であふれていた。「得点を取れるDFになりたい」と語っていた岩政。ロスタイムでの決勝点。監督が「最大のライバル」と言って燃えた磐田戦という「おまけ」まで付いて、彼にとって最高の初得点となったに違いない。
1-0で鹿島に敗れた磐田は、柏に1-2で勝った横浜FMに抜かれ、1stステージの順位を勝ち点差2の2位に下げた。最終節は、磐田の「今日中に優勝決定!」の望みを打ち砕いた鹿島が横浜FMと対戦する。磐田は、皮肉にも今節の優勝を見送らせた鹿島に、次節の優勝への望みをつなげることとなった。桑原監督が「死闘を繰り返した」と語ったように、最後の最後まで息をのみ、目を凝らし続けた試合だった。その時点での順位や成績など、関係ない。「伝統の一戦」というのは、こういう試合を言うのだろう。
以上
2004.06.19 Reported by 柴田愛子
J’s GOALニュース
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