6月23日(水)J2 第19節
仙台 1 - 1 山形 (19:04/仙台) 入場者数 17,323人
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山形の根本亮助が相好を崩して振り返る。
「ヨーロッパのスタジアムみたいでした」
同じく山形の太田雅之が「こういう環境(完璧なアウェイマッチ)で試合をする方が、ぼくは好きです」と語る。
二人の表情からは「最高の舞台」でプレーできたことの喜びが伝わってきた。確かに、仙台スタジアムでのみちのくダービー第二ラウンドは、期待を裏切る事はなかった。
選手紹介時の相手選手へのブーイングは、その選手への敬意や畏怖の感情の裏返しといえるが、仙台サポーターは山形の星大輔、永井篤志、大島秀夫、根本、そしてその昔、仙台の一員として共に戦っていた鈴木淳監督に対して強烈なブーイングを浴びせた。あまりの雰囲気の良さ(ピリピリ感)に思わず顔がにやける。
いつものように選手入場時のセレモニーを堪能し、試合が始まる。プレーの一つ一つから、痛いほど戦う気持ちが伝わってきた。選手たちはとにかく走り回った。ペース配分も何も考えず、ただひたすら走り回っていた。これ以上の戦う気持ちの表明方法はない。
激しい立ち上がりになったが、序盤にペースをつかんだのは仙台だった。
山形の大島は「前半はちょっと固かった訳ではないんですが、出だしが良くない感じでした。相手の勢いに押されたところがあったと思う」と分析しているが、仙台のベルデニック監督も「前半はある程度期待していたようなプレーができましたし、そこからチャンスもできました」と述べている。
お互いに中盤でタイトな守備を見せるなか、仙台は萬代宏樹がポストとして機能した時にチャンスが生まれていた。16分の仙台の先制ゴールの場面はまさにそうした流れの中で生まれた。ゴール前の萬代が体勢を崩しながらボールを大柴克友につなぐと、これをシンプルに右サイドに走り込んだ財前宣之へパス。財前からのクロスがファーに流れた所に大柴が走り込んでいた。スタジアムを揺らす大歓声。大事な試合でホームチームが1点を先行する。
山形の出来は悪くなかった。細かくパスをつなぎ主体的に相手を崩そうとする姿勢は好感が持てたが、そうした試合展開の中で喫した失点にはアウェイチームの難しさがあった。山形の小林久晃は「声が通らないですね。(仙台の)1点目は、声が通っていれば防げたかもしれません」と慣れない大歓声が失点の要因であることを示唆した。
山形が攻めきれなかった理由には、仙台の守備の厳しさもあった。大島には根引謙介が。根本には森川拓巳がマンマークについて攻撃の芽をつぶした。
やろうとしているサッカーでは山形。しかし結果を出したという意味で仙台が上回った前半を終える。
後半に入ってイエローカードが出る場面が増えたが、これは試合展開上妥当な判定がほとんどだったように思う。概してゆるめに笛を吹き、試合の流れを止めないようにしていた前田主審のレフリングは悪くなかった。そんな前田さんが、試合の流れを決める判定を下す。
負傷もあって後半22分に石井俊也に代わって千葉直樹が投入されたが、4分後の26分に1枚目のイエローカードを受ける。そしてさらにその1分後に2枚目のイエローカードを受けて退場処分となってしまう。後半開始からその兆候はあったが、この判定から試合は大きく山形ペースへと傾く。後半30分には大島が右からの星のクロスをダイビングヘッドで合わせたが、高桑大二郎がはじき出す。ワンプレーごとに感情が大きく左右に揺れる中、後半の38分の山形フリーキックの場面を迎える。
キッカーの星は「ニアにテルくん(小林)が入ってくるのが分かっていたので」と述べたが、頭で合わせた小林は自分の所に来るとは思っていなかったという。
「ニアに飛び込んで相手のDFを引っ張っていこうとしたら、いい形で入ってきたので打てました」(山形・小林)
そらすような弾道のボールが高桑の脇をすり抜けて仙台ゴールを揺らした。目の前で決まった同点ゴールに狂乱する山形サポーター。押せ押せの山形は41分の大島のビッグチャンスも含めて、勝ち越しのチャンスを決めきれなかった。
仙台にもベルデニック監督が選手を名指しして批判するほどのチャンスがあったが、佐藤寿人が説明したように決めれば賞賛され、外せば批判されるストライカーの宿命のような場面だった。併走してた中原貴之にパスを出したとしても、決まる可能性は佐藤がそのまま狙った場合と大差はなかった。視点を変えれば、選手批判が口から出るほどベルデニック監督は勝ちたかったのだとも言えるだろう。勝ち点で並んでいた東北のライバルチームとのホームゲーム。これほど勝ちがほしいシチュエーションもない。
試合終了間際まで息の抜けない壮絶な試合となったが、結局スコアは動かず。試合は1-1のドローに終わった。
激闘を終えた選手たちが試合終了後の挨拶を終え、センターサークル付近であまり見かけないほど親密にお互いの健闘をたたえる姿がさわやかだった。
いい試合を、見せてもらった。
以上
2004.6.24 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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