FamilyMart DREAM MATCH
8月5日（木）19:00キックオフ/瑞穂陸 名古屋 1-1 レジーナ
得点者：
前半11分／大野
前半21分／フランチェスキーニ
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　Jリーグの名古屋が、イタリア・セリエAのレジーナに挑戦するという形で、エキサイティングな試合内容が期待されたこのゲーム。しかし、結果は別の意味でエキサイティングなものになってしまった。
　
　今シーズンのレジーナは、監督が代わり、選手も数多く入れ替わって、まったくの新体制と言って良い状況となり、その新体制で初めてプロ・チームと戦うというゲーム。アジアカップに出場している中村俊輔を欠いたまま、3週間前にチームが始動し、これまではかなり負荷の高いフィジカル・トレーニングを中心に行なってきたため、イタリア人記者も「まだコンディションが低い状態」と言っていた通り身体が重く、戦術練習も始めたばかりという状態。
　
　そのため、試合が始まっても、動きの量もスピードも不足し、スローテンポでスタートした。対する名古屋も、ファーストステージが終わってシステムを3バックから4バックに変え、中盤にもブラジルから来たクライトンを入れて、新しい戦い方を模索している段階。しかも、守備面での司令塔的な大森を長期のケガで欠いていて、センターバックの古賀も直前のケガで外れ、センターバックは秋田と井川という急造ペア。キャプテンマークをつけた秋田が「経験が少ない選手が多く入っていたので、立ち上がりは試合に馴染んでいくのにちょっと時間がかかった」と語ったように、相手のスローペースにつき合ってしまった部分もあった。
　
　だが、それでも序盤は名古屋がボールを支配し、ウェズレイとマルケスの強力2トップを生かして攻撃的に試合を進める。そして11分、左サイドのスローインから中村のスルーパスをマルケスがとっさにスルーして、大野がフリーでゴール左に抜け出すことに成功し、角度のないところから左足で思い切りの良いシュートを決める。早い時間での先制点を、見事なコンビネーションから生み出してサポーターを喜ばせた。
　
　レジーナのほうは、先制されたことで目が覚めたのか、その後、守備でのつぶしが厳しさを増していき、名古屋がボールを回していても、なかなか最終ラインを突破できない状態になる。ただ、レジーナのカウンターに鋭さはなく、チャンスを作るのはリスタートからという形。その中での21分の左CK、ニアの選手が頭でコースを変えたボールを、名古屋がクリアしきれず、こぼれたボールをフランチェスキーニがうまく身体を入れてキープしながらシュート。これがゴール右に決まって、1-1の同点となった。その後は、30分のウェズレイのFKや、31分にガンチがDFのミスからボールを奪ってシュートを右ポストに当てた場面など、単発で見せ場があったが、あまりスピード感のない展開は変わらない。
　
　後半に入って、前半やや消極的だった名古屋のクライトンの攻撃参加が少し多くなったものの、レジーナの分厚い守りを攻め崩すことができず、FKも含めて遠めからのシュートが多い。マルケスとウェズレイは、相変わらず良いコンビネーションを見せているが、それに絡む中盤の選手が少なく、結局2人だけで崩そうとするような形が多くなってしまうため、それではさすがにイタリア人の守りは崩せない。
　
　やがてネルシーニョ監督は次々に選手を交代させて、実験的な試合となっていく。一方、疲れが出て足が止まってきたレジーナは、ファウルで相手の攻撃を止める場面が多くなり、親善試合とは思えないほどイエローカードが塩川主審から次々に出されていく（最終的に6枚）。
　
　そんな展開の中での後半37分、ようやくレジーナらしい鋭いカウンターが出て、DFのデ・ローザが上がって右からクロスを入れたとこで、ゴール前に飛び込んだ選手を角田が後ろから倒してしまい、一発レッド、そしてPK。だが、このPKを前半から良いセーブを見せていたGK川島が、素晴らしい読みと動きで見事にストップ。見せ場の少ない試合の中で、会場を大きく沸かせた。
　
　その後は、相手のファウルにイライラを募らせたウェズレイが、レジーナの選手に食ってかかる場面があるなど、やや荒れた雰囲気となって1-1のままタイムアップ。名古屋の側から見れば、攻めの鋭さを欠いて、セリエAのチームを倒すチャンスを逃したというゲームとなった。また、来日したばかりの中村のいないレジーナは、守備の厳しさ・激しさという意味ではイタリアらしさを見せてくれたが、セリエAのレベルの高さは見せてはくれなかった。

以上

2004.08.06 Reported by 前島芳雄