8月21日(土) 2004 J2リーグ戦 第29節
水戸 1 - 1 鳥栖 (19:01/笠松/1,951人)
得点者:'8 竹村栄哉(鳥栖)、'56 森直樹(水戸)
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試合後、勝利を期待して足を運んだ観客から、拍手とともに「何やってんだよ!」「いい加減にしろ!」という罵声が飛んだ。水戸にとって15回目の引き分けは、『負けない水戸』から『勝てない水戸』へと印象を変えてしまった。
両チームの指揮官は、決戦前のイレブンに檄を飛ばした。前田監督(水戸)は前節・仙台戦の健闘を称え「今回も続け、絶対に勝とう」と、自分たちの経験に基づいて選手を鼓舞した。一方、松本監督(鳥栖)は現在行なわれているアテネオリンピックを挙げ「結果を残している柔道などは、すべて『攻める』ことと『足を止めない』ことで勝利している。攻撃も守備も『攻めて』いこう」と、身近な例を基に選手の気持ちをかきたてた。
前半、積極的に仕掛けたのは鳥栖だった。連敗中ということもあり、「選手がやりやすい形」(松本監督)という3-4-3のフォーメーションにしたところ、結果が出ていた第2クールの頃の動きと自信が鳥栖イレブンに戻った。7分、本橋から出たボールをGK本間がファンブル、シュートチャンスを狙って前線に詰めていた竹村が半ば強引に奪ってゴールへと押し込んだ。「あきらめずに粘っていて良かった」(竹村選手)というこの1点が、前半の『(点が)取れない水戸』をより印象づけた。
中盤でのルーズボールには、水戸にも『相手よりも先にボールに触れ、奪い取る』という姿勢が見られたが、深い位置ではなく中盤での攻防に競り勝ってからの展開では、何故か全体的に出足が一歩遅れる。ボランチ→サイドアタック→クロス→シュートと経由するパスワークも、相手の早いプレッシャーを避けるためにネガティブな加速を強いられ、最終的に精度を欠いて得点に至らない。水戸の課題を一つ増やしてしまった。
後半もこの勢いに流されるか…と思ったが、思いがけず鳥栖が自らペースを崩した。56分、鳥栖左サイドでの混戦の中、業を煮やしてパワープレーに出た森がゴールを決め、水戸が復調した。57分に柏から期限付き移籍中の永井俊太が投入され、それまで少なかった前線での溜めとラストパスが加わって、水戸に新たなリズムが生まれた。鳥栖はと言えば、59分の小石から田代への交代で、システムを3-5-2に変更したところ、それまでとはうって変わって、相手の猛攻をしのぐ苦しい戦い方を強いられた。「田代の強さと下司のスピードを使いたかった」と松本監督は語ったが、同じ流れのままで選手のみを入れ替えることが出来ず、やむなくシステム変更をしたことが、鳥栖の限界のひとつを物語っている。後半はシュートすら打てなかった。
しかし、それに輪をかけて深刻なのが水戸。中盤に厚みが増しチャンスも見え隠れするのに、追加点が取れない。真骨頂とも言えるカウンターをもってしても、前半のうちに鳥栖によみがえった堅守に阻まれ、ついに勝利へのゴールを挙げることはなかった。
水戸イレブンに『勝てない引き分け』のネガティブなイメージはないが、同じ理由で引き分けを重ねている限り、戦術面での新たな試みは必要かも知れない。仕上げの時期に差し掛かる第3クール後半に今さら…とも思えるが、対戦相手にとって嫌な存在になりつつある今こそ、発想・プレーともに大胆かつ積極的なものを投入したいところだ。
鳥栖は、前節・札幌戦の後の記者会見で松本監督が語った「選手の士気が上がらない出来事が起こっている」というひと言が非常に気になる。詳細は不明だが、今回とくに前半の戦いぶりを見た限りでは、選手たちに動揺はなかった。今回の記者会見でも、「選手たちはよくやったと思う」と引き分けを評価した。惜しむらくは前述の通り、好調を『持続』できないところだ。今からでも遅くはない、積み重ねていってほしい。
またしても引き分け、痛み分けとなった今回のマッチアップは、両チームを『順位から見たライバル』に仕立て上げた。水戸が長い迷路から脱出するのと、鳥栖が自信を取り戻すのと、どちらが早いか、今後も注目したい。
以上
2004.08.21 Reported by 壽山知里
J’s GOALニュース
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