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【J2:第35節 甲府 vs 仙台 レポート】多彩な攻めでサバイバルマッチを制した甲府。仙台はアウェーで痛い敗戦(04.09.24)

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9月23日(木) 2004 J2リーグ戦 第35節
甲府 2 - 1 仙台 (18:34/小瀬/9,543人)
得点者:'38 須藤大輔(甲府)、'47 財前宣之(仙台)、'65 須藤大輔(甲府)
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 「J1 or J2、サッカー人生を変える戦い」

小瀬のホーム側ゴール裏に掲げられた、長い手書きの横断幕。J1とJ2ではサッカーのレベルも違えば、スポットライトの華やかさなどは比較の対象にすらならない。ゆえにその舞台に立てるかによっては、本当に選手の人生が変わることもある。

だがこれは選手のみならずクラブ、そしてクラブのある街にも当てはまる。J1を経験すること自体が、J2で積年の時を過ごしてきたクラブにとっては、すべてにおいての一大革命に繋がる。選手たちのサッカー人生を変える戦いは、甲府の街を変える戦いでもある。この日9,543人が詰め掛けた小瀬は、こうした「変化への期待」で満ち溢れていた。

一方の仙台も、甲府ほど広義なものではないが、一つの変化を欲していた。それが仙台サポーターの用意した横断幕からも見て取れる。

「今日はここが俺らのホーム、お前らならできる!!」

望む変化とはズバリ「アウェーでの勝負弱さの克服」。数年前とはうって変わり、完全にホームとしての雰囲気を醸成しているこの日の小瀬だが、それでも仙台のサポーターは、自分たちの選手の奮起に賭けていた。

だが仙台はこの日も、己の立ち上がりの悪さを改善できない。積極的なプレスにより最終ラインの選手にすらボールキープを許さない甲府のプレスもあり、試合は立ち上がりから甲府が圧倒的に支配。すると右SBのアライールが躊躇することなくタッチライン際を上がっていく。普段から回数こそ少ないものの、行く時は相手ゴールライン付近まで侵入する思い切りの良さを持つアライールだが、この日に関しては頻度も高かった。そして彼をケアしようとセンターのシルビーニョや千葉がサイドで対応すれば、必然的に薄くなったピッチ中央部の倉貫、さらには逆サイドから斜めにゴール前へ切れ込んでくる横山が活きる。右サイドを基点に甲府は、およそ全方位から仙台の陣地を切り崩して行った。

さらに仙台の守備にパニックをもたらしたのが、タワーとしての須藤の存在。マークに付いた小原との争いで完全に制空権を握ったばかりか、セドロスキーとのエアバトルでも負けない。じわじわ表面から崩すと思いきや、須藤へのロングボールも織り交ぜてくる甲府の攻撃は、仙台には辛辣に思えるほど効果的だった。そんな流れのまま先制点を奪ったのは甲府。前半38分、横山の右CKに反応した須藤が、相手DFの前に身体を入れてフリーでヘッド。これ以上ない形で先制した甲府がそのまま前半を終える。

財前を最前列に置き、左右に佐藤と大柴を並べるという今季初の並びで挑んだ3トップだが、前半にチャンスを生んだのは終了間際の一度だけ。これにはベルデニック監督も動かざるを得ないと思ったが、それよりもまず守備を改善する必要があると考えたか、仙台は後半開始と同時に根引と熊谷を投入。空中戦ならばチーム1、2位を争う強さの根引を須藤にマンマークでつけ、とりあえず高さを封じる策だ。

さらに仙台に追い風。後半2分仙台は、クロスのこぼれ球を拾った財前がペナルティアークから放ったミドルシュートで同点に追いついたのだ。監督の意図した点の取り方でないとはいえ、試合を振り出しに戻した仙台。しかもその後約15分間、パスコースがない選手に近寄ってはコースを生み出す「バイパス役」として熊谷が効果的に働いたこともあって、仙台は前半に見せなかった流れるような攻めを続けた。

だが、追加点を奪えないうちに全体的に前がかりになる仙台。後に高桑が「あの時もっと落ち着けば良かったのに。修正できなかったことが悔しい」と振り返ったその攻守のギャップを甲府が突く。後半15分。タッチラインを背にして右45度の位置でキープした水越の眼前を、アライールが駆け上がりボールを受ける。当然のようにロブを警戒した根引に対して、アライールが須藤に託したセンタリングは足元へのボール。須藤は倒れこみながらもダイレクトでボレーを放ち、結果的に決勝点となるシュートを叩き込んだ。

仙台は残り15分過ぎに萬代を投入するも、前節のような劇的な効果は生むことができず。大宮と山形が昼間に勝利を収めたことで「サバイバルマッチ」の要素が数段増していたこの試合は甲府がものにした。

甲府の攻めは多彩かつ効果的だった。また石原の代役かと思われていた横山が、ペナルティエリアへのドリブル突破と積極的なシュートで、石原とは違った魅力を発揮し始めている。土橋や小倉といった左サイドの選手との連携も申し分ない。もし須藤が今後も決定力を維持出来れば…甲府は選手自らの人生、クラブや街の歴史、はてはJリーグの空気までも、本当に変えてしまうかもしれない。甲府は2位大宮との勝ち点差7、3位山形とは勝ち点差4とまだまだ追いつける位置につけている。混戦に踏みとどまった形だ。

一方、苦しくなった仙台。この試合の影響は翌節にも響き、後半からの登場で持ち味を発揮した熊谷が、試合終了間際の一発退場(高桑と1対1となった須藤を倒してしまった)で次節出場できない。とはいえ次節対戦の大宮も、負傷のバレーの他に、トニーニョを出場停止で欠いた状態で、仙台戦にやって来る。

そう…やって来る。次節は仙台スタジアムなのだ。アウェーの勝負弱さは一先ず置いておこう。仙台は本当に本当に、絶対に落とせないホームゲームを迎える。

以上

2004.09.24 Reported by 佐々木聡

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