9月26日(日) 2004 J2リーグ戦 第36節
水戸 1 - 2 川崎F (19:04/笠松/3,751人)
得点者:'26 マルクス(川崎F)、'47 関隆倫(水戸)、'71 マルクス(川崎F)
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勝ち点1を取れば昇格内定が決まる川崎F。この日の笠松には多くのメディアが集い、いつもの笠松とはちょっと違った空気に包まれていた。5年前、川崎Fを昇格に導いた、元川崎Fのプレーヤーで現スポーツキャスターの中西哲生氏も姿を見せ、フロンターレサポーターの絶大なるコールを誘い、試合前の会場は、さながら川崎Fのホームのような様相だった。
ゲーム前、我々プレスには会場よりも一足早くスターティングメンバーと、ベンチ入り選手の一覧表が届けられるのだが、この日の水戸のスターティングメンバーは明らかにいつもと違っていた。従来、2トップのフォーメーションなのだが、FWには小林1人の名前しかない。また、左サイドを主な仕事場とする、小椋、磯崎、森田の3人の名前がスタメンに同時に並んだのだ。
どういうフォーメーションにするのかいろいろと憶測が飛び交ったが、ゲームが始まってみるとそれは明白。水戸の前田監督が取ったのは、ルーキー小椋を、リーグ得点王のジュニーニョのマンマーク(というよりは、本当に片時も離れない密着マーク)の役割に起用し、川崎Fからその絶大な得点力を奪おうというものだった。「ジュニーニョに仕事をさせず、10人対10人のゲームにしたかった(試合後前田監督)」という、意地もプライドもかなぐり捨てた、まさに必死のなりふり構わないゲームプランだった。
この試合を通じて、ジュニーニョに決定的なシーンを与えなかったという事実を考えれば、水戸のこのプランは、見事はまったといえるだろう。マーカーの小椋は、スピード、テクニックで間違いなく格上のジュニーニョをよく抑え込んでいたし、自由にさせてもらえないジュニーニョの苛立ちは、遠く記者席までひしひしと伝わってきた。ボールのないところでのかけ引きや接触プレーで、一触即発というシーンも見られたが、「小椋はよくやっていた。(試合後前田監督)」「マンマークをつけられて、ベンチもプレーヤーも冷静にできない部分があった(試合後関塚監督)」というように、この作戦は一定以上の効果があったということが伺える。
しかしながらゲームのほうは、焦燥感に冷静さを失うジュニーニョではなく、もう1人の外国人プレーヤー、マルクスが動かし、そしてマルクスが決めた。
まずは前半26分。ゴール前跳ね返ったボールをダイレクトボレーで先制点。後半26分、ゴール右、ペナルティエリアの外からのFKを壁の外からねじ込んだ。いずれも、マルクスの右足から生み出された。
対する水戸は、後半開始直後の2分、混戦からのこぼれ球をMF関が叩き込み同点に追いつき、今日のゲームプランが間違っていなかったことを証明して見せた。その後も、北島のアーリークロスから小林のヘッドなど数度にわたりチャンスを演出。今日、とりわけキレていたのが、MFの永井。マンマークに1人割くゲームプランで数的優位を作り出すことが困難な中、全体がプッシュアップできるまでのタメをしっかり作り、そして、全体への配球のバランスを取り、ときにはイマジネーションに富んだアイデア豊かなパスで攻撃にリズムをもたらした。加入後の数試合でしっかりと水戸のサッカーを理解し、そのなかで確実に自分の持ち味を発揮している永井は、今や水戸に欠かせない戦力として成長した。
結果は1-2。川崎F順当勝ちといった感があり、また、昇格内定で水戸のサッカーに目が行かなかったきらいもあるが、最後まで高い集中を持ち、そして何より、なりふり構わず勝てる可能性があるサッカーを展開してくれたということが、水戸サポーターにとっては嬉しいことだっただろう。川崎Fとの過去3戦が、完全にやられたという試合内容だったが、今日に関して言えばがっぷり組んだ、どちらに勝ちが転がってもおかしくない試合だったように思う。勝敗を分けたわずかな差といえば、難しいボレーシュートとプレッシャーの中FKをねじ込んだマルクスの技術と、そのプレーを呼び込んだ執念。そしてその執念を呼び込んだのは、駆けつけた多くの川崎Fサポーターだったかもしれない。
「03.11.23この想い、すべて今日のために」
試合後、川崎Fの選手たちを迎えた横断幕にこの言葉を見つけたとき、そんなふうに思った。
以上
2004.09.27 Reported by 堀 高介
J’s GOALニュース
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