10月30日(土) 2004 J2リーグ戦 第40節
仙台 1 - 1 札幌 (14:04/仙台/12,023人)
得点者:'62 村上和弘(仙台)、'78 相川進也(札幌)
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プレビューでも若干触れたとおり、ボールを奪う位置を前節の川崎F戦よりはまだ高く設定しているものの、守備の際はしっかり全員が戻って自陣に引く仙台と、相手ボールの局面でも最終ラインをかなり高く設定する札幌。両者若干の差異はあるものの、奪った後に素早く前線に運びカウンターを狙う、という意図は変わらない。
ただ、試合後の会見で両監督が振り返るとおり、ゲームを支配したのはどちらかといえば仙台の方。札幌の誇る両サイド、左の和波と右の砂川に対し、使うべきスペースをしっかりと消すことでサイド攻撃の能力を削げば、札幌のもう一つの生命線である清野へのロングボールも、主にパスが放たれる地点であるハーフウェーライン付近で仙台の前線の選手がボールへのチェックに奔走。伸ばした足に当たりタッチラインを割るか、前線に飛んでいったとしても効果的なポストワークを引き出すには程遠いボールとなり、札幌は攻めの明確な形を作れない。
前半こそ仙台のフィニッシュが精度を欠き、0-0で終えることができたが、札幌にとって高いDFラインが呼ぶ守備面でのリスクが形になってしまったのは後半17分のこと。ピッチ中央の財前からライン裏に飛び出した佐藤へパスが通ると、右サイドに流れた佐藤はシュート性の速いグラウンダーのボールをゴール前へ。ゴールマウスとGK藤ヶ谷を横ぎる形でファーサイドに流れたボールに、ここぞとばかりオーバーラップしてきた村上がスライディングで合わせて、仙台が先制点を奪う。
しかし、札幌が自らのリスクを突かれ先制点を許したのと同様に、仙台も今シーズン常につきまとった課題である「先制後の集中力の欠如」によって、失点を喫することになる。先制点まで堅守速攻を貫きとおしていたにも関わらず、その後つい前がかりになってしまう仙台。札幌は言わばその隙間を突いた。仙台が右サイドに空けてしまったスペースにボールを運んだ札幌、マークについた菅井のミスタックルもあり、フリーで左サイドからのセンタリングが入る。このパスは一旦右サイドに流れるが、拾った砂川が入れたアーリー気味のクロスを、相川が難しい角度でヘッド。そのボールがゴール右隅に吸い込まれるように決まり、試合はふりだしに戻った。
蜘蛛の糸ほどの細い可能性であるとはいえ、引き分けでも昇格が完全に消滅する仙台はその後猛攻に。ここ数節の「お約束」であるセドロスキーの前線へのシフトだけでなく、後半41分の曽田の一発退場後には根引までも前線に上げ、是が非でも1点を狙いに行くが、ゴール前の混戦から放たれたセドロスキーのシュートも藤ヶ谷がファインセーブで凌ぎ、ついにタイムアップ。仙台はここで昇格の望みが完全についえ、一方の札幌は今季の対仙台戦を無敗で終えることに成功した。
こうして、望む望まないは一先ず置いておくとして、来年も仙台と札幌は、J2の舞台で相まみえることとなった。来シーズン、両チームはどういうチーム状況にあり、どういう戦いぶりを見せるのか。今日の戦いぶりは、これに関する予測に希望を抱かせる内容を含んでいた。一足早く、来季に向けての戦いを始めていた札幌に続き、仙台も残り4試合、未来を見据えた戦いが始まる。
選手個々においてもそうだ。例えば仙台のFW関口。第2クールで公式戦初出場を飾ったものの、以降もほとんどサテライトが主戦場となっていた彼だが、第4クールに入り徐々に増えはじめた出場機会の中で、持ち前のスピードとドリブルを認めさせることに成功。そんな言わば「駆け出し」の関口に対し、札幌の守備陣は関口が最終ライン付近でボールを持った際に、必ず2人の守備選手で「ダブルチーム」を組んで、関口の突破に備えていた。今節初スタメンを飾ったばかりの選手に、である。
この事実は、短い時間の中で彼が選手として成長し、それに合わせて彼を取り巻く環境がめまぐるしく変わり始めた証だ。奇しくも仙台のみならず札幌もまた、若手選手を多く抱えている。彼らにとって残り4試合とは、自らの「世界」を変えるのに十分すぎる時間。1試合、1シュート、1分間、決して無駄にすることなく過ごして欲しい。
それが今季共に昇格の夢破れながらも、仙台スタジアムで変わらぬ声援を送り続けた両クラブのサポーターに対する、将来における最高の恩返しへと直結するのだから。
以上
2004.10.30 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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