10月30日(土) 2004 J2リーグ戦 第40節
甲府 1 - 0 鳥栖 (14:04/小瀬/2,401人)
得点者:'33 山崎光太郎(甲府)
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甲府の左右のサイドハーフ、石原克哉と横山博敏は頻繁に中央に絞り、時には逆サイドにまで移動してみせた。混沌と紙一重の大胆な動きは、試合に混乱を生み出す。甲府がその混乱をうまく利用したのが前半33分の場面だった。
甲府の攻撃の起点となっていた小倉隆史に対して右に流れた石原からパスが出る。その瞬間を待ちかまえていたかのように、15試合ぶりの出場となった山崎光太郎が動き出す。パスの出し手と受け手。2人の意識がシンクロした、その場所はディフェンスラインの裏のスペースだった。GKシュナイダー潤之介が前に出てきた、その脇をすり抜けたシュートがファーサイドのサイドネットを揺らした。
1点をリードしたまま迎えた後半。甲府を指揮する松永英機監督は大きなジェスチャーで選手たちを鼓舞した。1点を追いかける鳥栖は、後半に勝負を仕掛けてきていた。
松本育夫監督は「後半は3-4-3から3-5-2にシステムを変えまして、それもある程度機能してました」と後半のシステム変更の成果を口にする。3人のFWが前目のエリアで横方向にポジションチェンジした前半に比べると、佐藤大実、矢部次郎、伊藤彰が縦方向にポジションを入れ替え、甲府を揺さぶった後半の方が鳥栖の試合運びに迫力が出ていたのは間違いない。
これに対して甲府は、攻勢を仕掛けようとする鳥栖を余裕あるゴムのように、無理なく受け止めた。そして奪ったボールを手薄になったサイドのスペースに展開して逆襲を試みた。
「後半、相手のサイドが必ず開く、という狙いの中で、サイドを突く動きやプレーは要所要所で出たかなと思います」と松永監督は、狙い通りの攻撃だったと振り返っている。特に目立っていたのは石原が主戦場としていた左サイド。サイドに流れてきた小倉とのコンビネーションで鳥栖の守備網を幾度となく切り崩した。ただ、それでも甲府は2点目を手にできない。
「決定的なチャンスを決めきれない。2点目が入らない、というところで、最後までバタバタした試合だったと感じました」(松永監督)
1点リードの終盤、いつ追いつかれるのかわからないという状況下での松永監督の心理状態がこの言葉から透けて見える。松永監督と甲府を追い込んだ鳥栖だったが、そうした試合展開の中にあって彼らが後半に放てたシュートは1本のみ。松本監督の口から思わず漏れた「私のチームは点が取れない。力がないですね」という言葉は重たかった。
「今日は3本決定的なところを外した。一つめは相手のミスを突いてGKと1対1になった場面。後半にも二つほど。打てばいいのにパスをした」(松本監督)
甲府が手にした5試合ぶりの勝利は、極言すれば鳥栖が抱える決定力不足によってもたらされたものだった。
「どんなサッカーをやろうとも勝ちにこだわろうと話した。それが全体の空気を最後まで維持し、結果につながったと思います」(松永監督)
試合前、海野社長が飛ばしたという檄がチームに活気をもたらしたという側面もあるだろう。90分を戦った甲府は、降りしきる冷たい雨の中、最後まで途切れることなく声を出し続けたサポーターに待望の勝ち星をプレゼントした。
「今日は選手たちの何が何でも、という気持ちが最後まで出ていたと思いますし、雨の中サポーターがあきらめないサポートをしてくれました。フロント、スタッフ、チームスタッフ。控えの選手も含めて非常に一体感のある空気がこの勝利をもたらしたんじゃないかと思います」(松永監督)
以上
2004.10.30 Reported by 江藤高志
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