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【J2 2004シーズンを振り返って】(04.11.27)

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 福岡との最終節を翌日に控えた山形の練習後、MF大塚真司が口にした言葉が心に残った。
「ここまでシーズンを通していい練習を積んできました。それをムダにしたくないです。明日で終わりにしてしまうのはもったいないと感じてます」

 4回戦総当たりで争われるJ2リーグの厳しさは、すでに多くの言葉で語り尽くされているが、それと同時に、上位争いに敗れたチームのつらさというものがある。昇格に失敗すると、その瞬間に1年間を通して積み重ねてきた勝ち点がリセットされるのである。そこまでに勝ち得たものを、何一つ翌シーズンに持って行けないそのつらさや虚脱感は、その挫折を当事者として経験しなければ到底理解できない。

 今年も12チームがJ1昇格を狙い、リーグ戦をスタートさせた。
今季、最下位となった札幌も、磐田で天皇杯を勝ち取った柳下正明監督を迎え入れ、監督本人はさておき周囲は昇格圏内への躍進を視野に入れていたはず。先行きの見えない袋小路に迷い込んでいるようにも見える鳥栖も、シーズン前のキャンプでは松本育夫監督が昇格を口にしていた。それぞれのチームに、それぞれの立場からJ1への思いがあった。
 様々な思いが交錯する中、今年もリーグ戦が始まった。

 今季最大の驚きは、川崎Fの強さだった。昨年は勝ち点1及ばず、3位に甘んじたが、関塚隆監督を招へいして迎えた今シーズン、川崎Fは別次元の強さを見せる。序盤戦では、7試合連続無失点試合を含む10連勝をマーク。さらに1敗を挟んで11連勝(2引き分けを含む)を飾るなど圧倒的な強さを見せた。昨年来作り上げてきた攻撃的なチーム戦術にプラスして、徹底した守備意識がすり込まれたチームは攻守に安定。若手の台頭がチーム力を底上げしたことも大きかった。史上最速の36節で2位以内(J1昇格内定)を確定し、優勝を決めた後も順調に勝ち星を伸ばして勝ち点、総得点をともに100点台に乗せた。今季のJ2にあって別次元の強さと言っていいだろう。

 そんな圧倒的な強さを誇った川崎Fの関係者が、横浜FCの関係者にいつも冗談っぽく愚痴ることがあるという。
「開幕戦さえなければなぁ」

 43節に渡って首位の座に座り続けた川崎Fを押しのけて、今季一度だけ川崎F以外のチームが首位に座ったことがあった。それが横浜FCだった。開幕戦で横浜FCが対戦したのは、J1からの降格チームの一つである仙台。
 前年のシーズン途中にベルデニック監督を迎え、1年でのJ1復帰を見据えていた仙台は、当然のことながら周囲の評価も高かった。上位につけて昇格レースに絡んでくるだろうと多くの専門家がにらんでいた。その仙台が開幕戦で4点を奪われて完敗したのである。川崎Fの全44節に渡る首位完全制覇の夢を砕いたこの試合結果は、同時に今季のJ2の2位グループの大混戦を象徴していた。

 仙台とともにJ1からの降格組である京都も意外なシーズン序盤を送ることになる。シーズン前は、黒部光昭、崔龍洙という日韓の代表クラスのストライカーを擁し、ここにパスの供給元となりうる松井大輔を絡ませた攻撃力で、上位をひた走るものと予想されていた。ところが開幕戦を落とすなど、第1クールの11試合を3勝4敗4分けという成績でスタートさせ、完全にスタートダッシュに失敗。シーズン途中での監督交代へとつながった。

 今季のJ2を特徴付けていた2位グループの混戦だが、それを最も象徴するのが2位が勝てないというジンクスだ。例えば福岡は、19節に湘南を下して2位に立つが、20節の川崎F戦を落とし21節の仙台戦で引き分けて4位に転落。22節に福岡に変わって2位に立った大宮アルディージャは23節の仙台戦を引き分けて甲府に2位の座を明け渡す…という具合に、2位グループが勝ち点を伸ばせない状況が続いた。そしてそれが川崎Fの独走を許す結果にもなった。

 そんなジンクスを打ち破ったのが、32節に札幌を下した大宮である。前節の勝利によって、2位に順位を上げて迎えた33節の川崎F戦は、川崎Fが勝てば2位以内を確定するという大一番。開幕からのホームでの連勝記録を16に伸ばし、昇格に向けてモチベーションも高い強敵との対戦だったが、この試合を3−0で快勝して「2位勝てず」のジンクスを打ち破った。大宮はこの32節以降勝ち点を落とすことなくシーズンを終え、42節の水戸戦で見事に2位以内(昇格内定)を確定させた。

 終盤の追い込み、という部分で大宮との類似性を見いだせるのが福岡だ。
 今振り返ってみると大混戦の中に巻き込まれていた福岡だが、昨シーズン後半の好調もあってリーグ戦前の下馬評は高かった。松田浩監督自身もチームの完成度には手応えを感じていたようで、開幕前のキャンプでは「優勝を狙っていきます」と公言するほどだった。ところが序盤戦からケガ人が出るなどメンバーを固めきれず勝ち点を伸ばすことができない。シーズン中の補強も含めて、苦しい戦いが続いた。
 勝負となる第4クールを3連敗でスタートさせ、6位にまで順位を落とすが、そこからの巻き返しは見事だった。37節の仙台との大一番を競り勝つと、ここから連勝がスタート。42節で山形を逆転。3位に立って最終節の山形との直接対決を迎えた。
 迎え撃つ山形は、就任初年度の鈴木淳監督のチーム作りが浸透し、攻守にバランスの取れた戦いを見せてきた。あえて山形のサッカーを表現すれば、生真面目なサッカーをやるチームといえるだろうか。そんな山形を引っ張ったのが、22ゴールを上げた大島秀夫だった。

「監督が指導してくれました」と、大島は過去最高の結果を残したシーズンを振り返った。鈴木監督は大島にゴールを取る意識を徹底させ、前を向きゴールに向かうプレーを要求した。選手の意識を変え、体力面を重視し、攻撃的なチームを作る。鈴木監督は最終節にまで昇格争いに絡めるチームを作った。

 2004年11月27日。J2最終節。1年間を戦ってきた、その最後の試合が福岡と山形の運命を翻弄した。結果は周知の通り。マッチレポートは、その役割を別の原稿に譲りたいと思うが、お互いが力を振り絞って戦ったすばらしい試合だった。ただ、福岡には、43試合をかけて積み上げてきた勝ち点2のアドバンテージがあった。それが最悪でも引き分けOKという余裕を生み出し、結果的に3ゴールを生み出した。
 この試合だけを見れば、まさにアウェイチームしてやったりの内容だったが、それは脈々と続いてきた43もの試合をふまえた上での結果だった。

 いずれにしても福岡が2004J1・J2入れ替え戦への出場権を手にした。その福岡と対戦するのは柏になるのか。それともC大阪になるのか。その運命を決めるホイッスルは、明日11月28日13時に吹き鳴らされる。

以上

2004.11.27 Reported by 江藤高志
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