2005Jリーグプレシーズンマッチ in OKAYAMA
2月20日(日)13:00/岡山/5,111人
広島 0-5(0-2) C大阪
<得点者>
11分 古橋 達弥(C大阪)、40分 ブルーノ クアドロス(C大阪)、56分 森島 寛晃(C大阪)、70分 森島 寛晃(C大阪)、81分 齋藤 竜(C大阪)
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「良過ぎますね」。
試合後、こうコメントした時、C大阪の小林監督に笑顔はなかった。笑いを押し殺している、とはとても見えなかった。開幕2週間前、ほぼパーフェクトな試合を行ったのである。もっと笑顔であってもいいのだが、しかし、記者会見の間、小林監督はずっと厳しい表情だった。
C大阪にとっては、すべてがうまくいった試合だった。黒部の1トップに古橋・森島の2シャドー。このシステムが面白いように機能し、広島のDF陣は黒部の背後から飛び込んでくる2シャドーをつかまえきれない。ボランチのファビーニョは常に高い位置をキープして攻撃の起点となり、カバーする布部は常にいいバランスで中盤の守備を引き締める。これまでの練習試合ではラインを下げ過ぎていたらしいリベロのブルーノ・クアドロスは、この日は高いラインを常に保ち、広島のFWガウボンを完全に圧殺した。
さらにこの日のメインテーマであった「サイドチェンジ」からの攻撃もパーフェクト。右に相手を引きつけて左に展開し、ゼ・カルロスの個人技による突破からチャンスを量産した。
広島のコンディション不良による極端な出来の悪さを差し引いても、この日のC大阪のサッカーは、素晴らしいものだった。だが、それでも小林監督が笑顔を見せられないのは、この日があくまで「プレシーズンマッチ」であって、この日の快勝は勝ち点1も稼いでくれないことにある。
有料の試合とはいえ、位置づけはあくまで練習試合。勝って勢いをつけることはもちろん大切なことだが、開幕に向けて様々な課題を抽出したり、問題点を選手に把握させることも、一方で重要な要素である。ところが、ここまでパーフェクトな勝利を握ってしまうと、その裏にある修正ポイントがぼけてしまい、かえってチームづくりに支障をきたしてしまうことが、ままあるのだ。
実際、C大阪の選手たちは、口々に「おごってはいけない」と語った。「気を引き締めないと」と森島は語っているし、布部も「修正ポイントが監督から指摘されるはずだから、そこを修正して開幕に備えたい」と言った。逆に言えば、この快勝による「おごり」「ゆるみ」ほど、開幕を控えたチームに邪魔なものはない、とベテランの森島や布部は知っているのである。もちろん、他の選手たちもわかっているだろう。だが、わかっていても忍び寄ってくるのが、油断というヤツだ。
広島は、12日間で今日の試合が6試合目。選手の身体はボロボロだった。とても「人が動いてボールが動く」という広島のサッカーをやるコンディションではなかった。下田がG大阪戦(2月14日)後に語った「後ろから人が沸いてくるサッカー」など、このコンディションでは夢のまた夢。
しかし、ここで広島が大敗したことによって、多くの課題と共に疲労と連勝による弛緩を抜け出し、精神的な緊張感を得ることができた。「自信が過信になってはいけない」と、小野監督は危惧していたが、この結果により、その危惧は解消できるだろう。ここまで自分たちがやってきたことを、この大敗によって選手が否定しなければ、という条件つきだが。
C大阪は、素晴らしい戦いをした。それは、間違いのない事実。守備意識も高く、ディシプリンも存在した。しかし、繰り返すがまだプレシーズンだ。いかに精神状態を緊張させつつ、盛り上がってきたチーム状態を保ちながら、出てきたいくつかの課題を解決していくか。そんな難しい仕事に立ち向かっていく前の男の緊迫感、そしてサポーターの期待に対する使命感をひしひしと感じたからこそ、試合後の小林監督は笑えなかったのだろう。
以上
2005.2.20 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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