あらためて言うまでもないが、昨年のレイソルは不甲斐ない。1stステージ15位、2ndステージ15位、そして年間順位16位。入れ替え戦ではJ2 3位の福岡に危なげなく勝利したものの、戦力を見れば当然のこと。前線からディフェンスラインまで随所に代表クラスを有するこのチームがなぜ勝てないのか、不思議でならない。
今年は昨年2ndステージから指揮を執る早野宏史監督のもとシーズンに臨む。『走魂宣言』〜魂込めて走り勝つ〜が今年のテーマ。1月24日から、1次、2次、そして若手中心の3次と行った鹿児島キャンプでももちろんフィジカルがメイン。就任当時も「ただの走りではなくて、ボールを使っていても走りの要素が多くとてもきつい」(近藤直也)と選手から評判の早野流フィジカルトレーニングは今年も健在。年間通して走り負けしない基礎が作られたはずだ。
そんな疲れも癒えぬまま臨んだ20日の第11回ちばぎんカップは、1-0で勝利したものの課題の浮き彫りになった試合となった。
前半は4バック、そして後半は3バック。「3(バック)でも4(バック)でも、どっちでもできるようにしておかないと」と明神智和。今年もシステムは相手次第で決まることになりそうだ。
この日、試合途中から3バックに変えた理由は明確だ。「前半はサイド攻撃が組み立てられなかったから」(早野監督)。この試合スタメンで右サイドバックに入ったのは土屋征夫。波戸康広の負傷もあり、苦しい選手起用は今年も予想される。「チームが機能するのであればポジションはどこでもやる」とは言うものの、本来のポジションでない右サイドバックで前線への上がりよりもディフェンスに気をとられた形だ。後半からは谷澤達也、平山智規を投入し3バックに変更。この交代がはまり、両サイドをえぐりクロスを玉田圭司へ送る。これを続けた結果、谷澤達也が倒されて得たFKから得点が決まった。
「まずは守備から入ることを大切にしたい」と早野監督。「まだボールの取りどころもはっきりしないし、前線のディフェンスをもっと後ろから言わないと…」(永田充)とディフェンス陣。開幕までの2週間でこのあたりを調整していくことになる。
この試合の後半見られた通り、今季の柏の見どころは高い位置でボールを奪ってからのサイド攻撃だろう。昨年2ndステージ以来繰り返し繰り返し練習して来ている形の成熟が見られるはずだ。両サイドはテクニシャンがそろう。新外国人クレーベル、この日活躍した谷澤にも注目したい。特に谷澤は今年3年目を迎えて、守備面も向上を見せている。「才能だけでサッカーをしている、意識が低い」と早野監督に叱咤された2004年からの成長を見せてほしい。
クロスを受けるフォワード陣も楽しみだ。昨年アジアカップでブレイクした玉田に加え、山下芳輝、そしてちばぎんカップに先発した安永聡太郎も新加入。ちばぎんカップ同日に行われたサテライトの千葉ダービーで2得点を決めた宇野沢祐次、そして矢野貴章ら若手も出場機会を狙っている。
ディフェンスラインの目玉は、なんといっても土屋が新加入したこと。波戸の負傷もあり本来の位置での起用はしばらくは難しそうだが、チームを引っ張るその存在感に期待したい。
昨年はちばぎんカップに勝利、そして開幕2連勝とスタートダッシュには成功した。しかしながらそのあとは4連敗、1分、また4連敗。「負けだしてからの立て直しができなかった」(永田)メンタルの弱さを、早野監督がいかにコントロールできるか。選手がどれだけの意識で臨めるかが今シーズンの鍵を握る。
【新戦力・注目のキープレーヤー】
今年は7人の新加入選手を獲得。高卒新人はおらず、ポジションごとの事情を鑑みた即戦力の色の濃い補強に成功したと言えるだろう。
いちばんの目玉補強は土屋。昨年まで神戸を引っ張ったそのキャプテンシーとキャラクターは、昨年の柏との最大の違い。生え抜きの明神にしても、エース玉田にしても声でチームを引っ張るタイプではない。先のちばぎんカップの際も「声を出す選手が少ない」と早くもチームの弱点を指摘。ささやかなことのようにも思えるが、ここ一番で踏んばれるかどうかは意外に基本的なところにかかっている。若い選手が多いにも関わらず、どこか大人しい印象の柏の雰囲気をすでに変えにかかっている。本人は「プレーでチームを引っ張りたい」とまずはプレーありきを強調する。1対1に強く闘志あふれるプレースタイル。これもまた今までの柏にはなかったものだ。「監督はチームを変えたかったんだと思う」と指揮官の意図を汲む30歳には期待大だ。
横浜FMから移籍の安永もキャラクターでチームを変えられる1人だろう。玉田とのコンビネーションの成熟でスタメン定着を狙いたい。そして、新外国人は右サイドでの起用が濃厚なクレーベル。186cmの83kgの体躯がドリブルで駆け上がる様はド迫力。
大卒の新人として新加入する小林亮も楽しみな逸材。チームの期待もその背番号2に表れている。駒大時代には大学選抜にも選ばれており、右サイドバック、ボランチ、そして左サイドもこなすユーティリティープレーヤー。その点では今や東京Vの中盤を支える兄・小林慶行にも負けない。一見クールに見える兄と違い親しみやすい人柄も、柏の2005年の雰囲気づくりに一役買うだろう。
F東京から移籍の李忠成はいまだJリーグでの試合出場経験はない。彼にとっても勝負の1年になるだろう。そしてGKも補強。昨年8月から練習生として参加していた加藤慎也がチームに加わった。
【開幕時の布陣予想】
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開幕戦はJ1に返り咲いた川崎Fとホーム・日立柏サッカー場で対戦。3トップの川崎Fを相手に4バックで、先発は先日のちばぎんカップとほぼ同じメンバーが予想される。玉田プラス1の2トップには安永か、山下か、はたまた成長著しい宇野沢か。平等にチャンスがあるように思われる。
中盤はこの4人で変わらないだろう。先日のちばぎんカップでは、前半2本に終わったシュートが後半は11本。相手にもよるが、サイド攻撃が功を奏した時とそうでない時との攻撃力の差は著しい。どのようにボールを前線に運ぶかは常なる課題。クレーベルのフィットも含めて連係は開幕までの課題の一つだ。
ディフェンスもよほどのことがない限りこの4枚。ディフェンス陣は若干、層の薄さが気になるところだが、「もう1つの外国人枠はフォワードを考えたい」と早野監督。現有勢力で戦うしかない。センターバックは永田頼みになるだろう。痛手なのは波戸の左ひざ負傷。土屋を最も効果的な位置に配することが出来ないばかりか、右サイドの上がりは波戸のみならずチームの持ち味の1つだっただけに、早期復帰を願いたい。
また、シーズンを通して試合によって3バックとの併用が予想される。昨年から引き続き行われることだけに、この点に関して選手の不安はないようだ。
開幕2連勝とスタートダッシュに成功しつつも、残念な結果に終わった2004年。その反省を踏まえてなのか、20日のちばぎんカップの勝利にも、チームにはピリピリしたムードが漂う。開幕ダッシュも期待したいが、本当に必要なのはシーズンを通して崩れないチーム力だ。昨年の二の舞いだけは避けたい。
Reported by 了戒美子

















