J1・J2入れ替え戦が目の前にちらつき、最終戦まで苦しみぬいた2004年。同じ轍は二度と踏みたくない…そんな思いから、万全の準備をして新しいシーズンに備えた。まず、昨年12月には西村昭宏氏をGMとして招聘。今年のスローガンを「日々進化(ひびしんか)」と定めて、チーム再建を敢行した。「戦う以上は勝ちたいし、優勝したい。しかし、昨年の成績(年間15位)を考えると、一足飛びに強くするというのではなく、段階を踏んで地道に自分たちのやるべきことをやっていきたい。今年は、来年につながるチームづくりを目標にする」(西村GM)というのがコンセプトだ。
監督には小林伸二氏が留任した。昨季途中に就任し、1stステージは最下位だったチームを2ndステージ12位に引き上げた功績を買われての決定だった。「今年はシーズンの初めから仕事ができることに喜びを感じる。新しい選手の顔ぶれを見るとうれしくてたまらない」。チームの始動記者会見で、こぼれんばかりの笑みを見せていたのが印象的だ。
小林監督を思わず笑顔にさせた新加入選手たちとは…? 補強のポイントはいくつかあるが、大きいのはやはり3人のブラジル人選手の加入だろう。最終ラインには、インターセプトを得意とし、リーダーシップもとれるブルーノ クアドロス。ボランチのファビーニョは、豊富な運動量を持ち、中盤から前線まで広いエリアでプレーできる選手。左アウトサイドにはスピードと攻撃力を誇るゼ カルロスが加わった。この3人を軸に、FWには京都から黒部光昭を、右サイドには東京Vから廣山望をいずれも期限付きで獲得した。また、即戦力のルーキーとしてDF江添建次郎も加わった。
2月20日に行われた広島とのプレシーズンマッチでは、先発メンバー11人のうち7人が新加入選手というフレッシュな顔ぶれがピッチに散らばった。その約1週間前の12日のG大阪戦(練習試合)では連係にぎこちなさが感じられたが、広島戦では一変。ブラジルトリオが揃って持ち味を発揮し、それに引っ張られるかのように周囲の日本人選手たちもすばらしいパフォーマンスを披露した。特にトップ下に入った森島寛晃と古橋達弥は抜群のキレを見せた。5-0の結果そのままの内容に、選手たちは充実感をあふれさせていたが、「まだ本番じゃない。気を引き締めて調整したい」(森島)、「浮かれることなく地に足をつけて、トレーニングすることが大切」(ゼ カルロス)と慢心は感じられなかった。
「来年、夢を見るためのチームを今年作りたい」と西村GMは話す。戦力が整い、2度のキャンプもしごく順調。トレーニングの成果も出始め、あとは3月6日を待つばかり。ここ数年、苦汁の日々を送ってきたセレッソサポーターにとって、花咲く春はもうそこまで来ている。
【新戦力・注目のキープレーヤー】
点は取られるけれど、それ以上に取って勝つ。C大阪の看板は言うまでもなく攻撃力だ。15位に沈んだ昨季でさえ、得点数では中位につけた。しかし、チーム最高の15得点を挙げた大久保嘉人がマジョルカ(スペイン)に移籍、その穴は大きいと見られていた。クラブでは大久保に代わるストライカーを補強ポイントに挙げた。「FWは外国籍選手で補うことも考えたが、このチームはもともと森島、西澤明訓、大久保ら日本人選手が活躍し、点を取ってきたチーム。その伝統を崩したくない思いがあり、黒部光昭をいちばんにリストアップしていた。「京都の監督をしていたことで、性格を含め、よく知っている」として西村GMが交渉を重ね、獲得したのだ。
当然のことながら、「ポスト大久保」という言葉は当初から付きまとった。「(大久保に対する)ライバル心などは特にない。プレッシャーは感じるが、プレースタイルが全然違うし、僕は大久保が持っていないものを持っている。自分のできることをしてアピールしたい」(黒部)。移籍会見の席で冷静に語っていた様子が印象的だ。黒部を移籍に駆り立てたひとつの大きな要素が「代表復帰」への思い。「代表をすごく意識していた。京都でプレーしていたら(代表復帰は)難しいのではないかという思いがあった。C大阪の一員として勝利に貢献し、点を重ねて代表にもう一度選ばれるようにがんばりたい」。愛着あるチームを離れ、J1でのプレーを選択したのだ。
森島、西澤ら攻撃のタレントには事欠かないC大阪にあって、黒部に期待されるのはやはりポストプレーと得点力。小林監督は「ゴール前でシュートの形を持っているし、ヘディングが強いので、彼のところで巧くボールが収まる」と高く評価。キャンプ中の練習試合から1トップに固定して彼を起用し続けた。「今後は西澤との2トップも考えている」(小林監督)とのことで、新しいコンビにも注目が集まる。
2月20日のプレシーズンマッチ・広島戦では、先発メンバーとして出場。62分に西澤と交代するまで、前線で体を張ってボールをキープし、存在感を見せた。古橋の先制ゴールをアシスト、チームにフィットしつつあることも証明された。「得点は取れなかったが、チャンスに絡むことができた。チームが勝つことが大事なのでよかったと思う。得点は開幕にとっておきたい」。新天地での初ゴールはいつ、どんな形で披露されるのか。新しい背番号10から目が離せない。
【開幕時の布陣予想】
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ベースとなるフォーメーションは、「このチームの特長に合っている」(小林監督)という昨季終盤と同様の3-6-1もしくは3-5-2。しかし、その顔ぶれは大きく変わりそうだ。
GKはもっともポジション争いが厳しいが、G大阪から移籍してきた吉田が一番手か。昨季大活躍の伊藤友彦も正GKの座を狙っている。 3バックの真ん中はブルーノ クアドロス。守備はもちろん、攻撃参加も得意なので、果敢にオーバーラップを仕掛けてくるだろう。両ストッパーは、これも新加入の江添建次郎と山崎哲也の組み合わせが有力だ。
ボランチは、ファビーニョと布部陽功のコンビ。ファビーニョが攻撃に絡み、布部が後ろをカバーするという形になる。
両アウトサイドには、いずれも攻撃を得意とする選手が入る。左はゼ カルロス、右は久藤清一もしくは廣山。特にゼ カルロスの攻撃力は相手にとって脅威になりそうだ。
前線は、1トップになるか2トップなのかでメンバーが変わってくるが、黒部の1トップに森島、古橋のトップ下という布陣でスタートしそう。展開によっては西澤を投入し、黒部と2トップを組むことも考えられる。
Reported by 横井素子

















