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【ヤマザキナビスコカップ:第3節 広島 vs 川崎F プレビュー】森崎浩司の先発復帰濃厚。苦しみにあえいだ広島の背番号7の復活劇に期待。(05.05.20)

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5月21日(土)ヤマザキナビスコカップ 第3節 広島 vs 川崎F(15:00KICK OFF/広島ス)
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 決勝トーナメント進出という極めて現実的な課題を考えた場合、この試合はどちらにとっても勝たねばならない一戦である。しかし、そんな常套句を並べることに、少し躊躇を感じている。
 確かにこのカップ戦での戦績は、ここまで2分の川崎Fも2連敗中の広島も厳しい立場に置かれている。しかし、ここから連勝していけば、まだまだチャンスは残るわけで、カップ戦の勝負としての面白みもある。ケガ人が続出している川崎Fが、ここでどんな新戦力を投入してくるのか、というテーマも興味深い。J1リーグ最少失点の広島と破壊力抜群の川崎F、という対決の構図も楽しみだ。
 
 しかし、ホームチームである広島のサポーターにとってすれば、そういう「一つ一つの勝負」を超えたところで、明日は大きな意味を持つ。それは、背番号7=森崎浩司の先発復帰、だ。
 広島サポーターにとって、「背番号7」は特別なナンバーだ。それは、かつて森保一という日本サッカー史上にその名を残す選手が背負っていた、という事情もある。
 森保がサポーターに愛されたのは、そのプレーが素晴らしかったというだけではない。どんなに苦しい時も決してその現実から逃げず、常に熱い闘志をピッチで表現し続けたことが、観ている側を勇気づけていたからだ。だから、1997年に広島が経営危機に陥り、主力選手を大量放出しなければならなくなった時も、「せめて森保だけはチームに残してくれ」とサポーターは署名活動まで展開し、完全移籍をレンタルに変更させた。背番号7とは、そんな男が背負っていたのである。
 2002年、その森保の番号を受け継ぐことが決まった時、森崎浩司は緊張した。偉大な森保の番号を背負うことができるうれしさの反面、「森保さんのような存在になる事ができるのか」という重圧を感じていたのである。
 
 その後、森崎浩司は広島の看板を背負う男に成長した。レプリカユニフォームの売り上げは常にトップ。スタジアムでももっとも多くの拍手を受ける。なぜか。それは彼が、2年連続チーム内得点王だったから、だけではない。J1復帰を決めた鳥栖戦やJ1復帰初勝利をあげたC大阪戦など、「ここで決めてほしい」とサポーターが思う時、必ず彼が仕事をしてくれたのだ。浩司なら、何とかしてくれる。そういう期待感を抱かせる選手なのである、森崎浩司は。
 
 しかし今年、背番号7は、プロ入り以来最大の試練にぶつかった。
 3月19日のナビスコカップ・G大阪戦以来、森崎浩司は練習場からも姿を消した。サッカーがやりたいという想いもなくなり、試合に出られないことに対する悔しさもわいてこない。そんな自分に対して、彼はまた大きなショックを受けた。単純なケガであれば、完治までのストーリーは描ける。しかし、そうではなかったことが、森崎浩の出口を見えなくしていた。心身ともに極端なコンディション不良に陥った森崎浩司は、ボールを蹴る楽しさすら、見失っていた。
 彼が姿を消していた間、広島は勝ちきれない日々が続いた。チャンスはつくれても点がとれない。そんな時、サポーターはいつも、背番号7を想った。浩司がいれば、きっとチームを救ってくれるのに、と。
 
 屈辱のJ2落ち、J1復帰への闘い、そしてアテネ五輪。森崎浩にとって、日々は重圧と共にあった。その重圧が知らず知らずのうちに、彼の心身を冒してしまったのかもしれない。しかし、一度サッカーを離れて重圧から解放されることで、心が一度静まった。その静まりに慣れてきた頃、彼の中で「サッカー」への欲求が少しずつ高まってきた。その欲求がモチベーションにつながった時、彼は再び、ボールを蹴ることができるようになった。
 4月11日の練習から、森崎浩はチームに復帰した。考えてみればこの週の東京V戦から、広島の快進撃は始まっている。ムードリーダーである森崎浩が戻ってきたことで、チームののど元につっかえていた小骨がとれた。そのことが広島の爆発を誘発した、と考えるのは、彼をかいかぶりすぎだろうか。
 
 5月14日の大宮戦。森崎浩は4試合連続で試合途中から出場し、アグレッシブなプレーで膠着したゲームの流れを一気に変えてチームを勝利に導いた。試合後、広島の小野監督は森崎浩に「仕事をしてくれたな」とねぎらった。少しでも歯車が狂えば、さらなる深みに落ちていきそうな瀬戸際で彼は踏ん張り、ついに復活に向けて確かな手応えをつかんだのである。
 
 明日の川崎F戦、出場停止の茂原にかわり、森崎浩の先発出場が有力視されている。大宮戦でつかんだきっかけを本物にするための、この試合はまさに試金石。試合に復帰した5月1日の新潟戦では誰よりも大きな拍手を贈ってくれた広島のサポーターのためにも、そして背中に背負った「7番」に賭けても、森崎浩司は熱く燃えるプレーを見せることを決意している。その決意を見届けること。広島のサポーターにとって、勝負というデジタルな結果とは違った意味合いが、そこにはある。



以上

2005.05.20 Reported by 中野和也
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