8月2日(火) 2005 J2リーグ戦 第24節
札幌 1 - 2 横浜FC (19:00/札幌ド/20,374人)
得点者:'2 相川進也(札幌)、'44 北村知隆(横浜FC)、'70 小野信義(横浜FC)
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札幌ドームで2万人以上の観客というのは、一昨年3月15日のJ2開幕戦(対横浜FC戦・23,590人)以来。今回訪れた20,374人の中には横浜FCの三浦知良(=カズ)を見ようという人も多く含んでいたはずだ。試合前半途中、リザーブ選手がウォーミングアップを開始した時、メインスタンドの観客が一斉に前方に押し寄せ、カズの姿を携帯電話やデジカメのレンズに収めようとした。そのなだれ込みに対処しようと警備員が動いていた様子が印象的だ。ホームチームとしては、カズ目当てで来た観客にもいいところを見せて、心に札幌サポーターの芽を植えたかったところだが、白星はアウエーチームが奪取していった。
この試合、横浜FCは左2列目にこれまでの小野智吉から7試合ぶりに小野信義が先発に入り、札幌はFWを前節の中山・清野から中山・相川に入れ替え。中盤ではひざ痛の砂川が欠場し、代わりに10試合ぶり2度目の出場となる鈴木が中盤の底に入り、金子がこれまでの底から前めに上がり上里とコンビを組むという布陣。札幌は中盤の力量が落ちているのを、人を代えることで対処しようとした。横浜FC・カズと札幌・デルリスは共にベンチスタートとなった。
札幌は立ち上がりから横浜FCの高いDFラインの裏を素早くつこうという狙いを実行する。開始15秒そこそこで中山にボールが抜けて一対一の局面。これはGK菅野に阻止されたものの、ひるまず前半2分、左端の池内からのロングボールが相川と菅野の間に上手い具合に落ち、これを相川がループシュートで決め、早々に札幌が先制。ワンタッチで結果を出す相川の本領発揮というシーンだった。
だがこの後は、横浜FCが左右のサイドを有効エリアとして試合の優位をつかむ。右から佐藤の鋭いクロスが飛び、小野信義が左からボールを持ってせり上がる。その背後から左・中島、右・岩倉の両サイドバックが供給源としてボールタッチする機会も多かった。そして左右の大きなサイドチェンジもビシッと決まる。これに対し、札幌は前半の半ば以降から早くも引いた状態になり、サイド制圧をさらに簡単に許す状況が進む。
そして前半44分、右コーナーキックから曽田と競り合っていたトゥイードがボールを当て、それが北村の頭に当たり、ゴールネットに突き刺さった。これで横浜FCは前半のうちに同点に追いつく。パチンコの玉のようにポンポン当たった状態で、得点者の北村としては無意識のうちに入ったのかもしれないが、1点は1点。前節に続いてのゴールに、北村にはラッキーボーイの匂いがしてきた。
後半、先に動いたのは優位の横浜FC。ハーフタイム明けに北村に代えてカズを投入した。前半では前線にボールがいくようになった。次はその前線でがっちりボールキープし、起点を作りたい。そしてさらに全体を押し上げ優位を続ける。こうしたロジックで配置されたカズは、サイド制圧の終着点としてこの試合最多のシュート4本を打ったり、ボールキープ力の高さはJ2では上のランクという本領を発揮した。
対する札幌は、ボールを奪ったら速攻というスタイルで反撃に挑む。金子が再三、長く鋭いグラウンダーパスで前線にボールを供給したがオフサイドなどで実らず。鈴木が後半序盤にミドルシュートを打ったり、上里や右サイド・岡田も、勢いでもって前へ押し出そうとするが、そうした攻撃は連続せず散発的で、横浜FCを後ろへ引き戻す働きには至らない。
そうしている間に後半25分、サプライズが起こった。ハーフウエーライン付近にいた小野信義にボールが渡る。札幌GK林はDFラインの裏にボールが出ることに備えて体重が前がかりになっていた。だが小野信義の選択はそのままロングシュート。虚をつかれた林の手は届かず、ボールは枠内へ。「狙ってはいたけど、『入っちゃった』という感じ」(小野信義)と本人も驚き交じりのゴールが決まり、2対1、横浜FCが逆転を果たした。
札幌はこのロングシュート劇の1分前から相川に代えてデルリスを投入。しかし、コンビネーション、ポジショニングがまだ噛み合っておらず、柳下監督がベンチスタートを選択するのもうなづける。ボールをもらおうとしてボールサイドの方に流れたり、下がって後ろを向いた状態でボールを受けて、そこから前を向けずに、大きな打開もできず。21歳というデルリスの若さが、焦りになったのだろうか。柳下監督が通訳を伴ってデルリスに大声で指示を叫ぶも、大歓声の中では届かず、修正は果たせなかった。絶好の位置にいて前を向いて打つという本来の仕事ができなかったデルリスは、シュート0本と結果を出せずに終わった。
また、「素早く」という意図は見えるものの、一本調子の感もあった中盤に変化を加えようと、後半32分に金子に代えてパサーの三原を投入するも、状況は変わらず。終盤には前線に上がったDF曽田がゴールラインぎりぎりのところでボールに追いつき、ペナルティエリア内に踏み込みラストパスを出すも、誰もさわれず。横浜FCはきっちり守りを固めて逃げ切り、2連勝を果たした。
「早い時間での失点というのは我々の大きな課題で反省点」と試合後に話した足達監督だが、横浜FCは第3クールにきて戦術の浸透など、チームがだんだんできている。以前はメンバー構成を模索していた部分もあったが、そろそろベースが固まってきたように感じられる。
一方の札幌は、これまで幅広い運動量とドリブルで牽引してきた砂川をいったん休ませて、中盤を新たな陣容にした。第2クールでもDF陣のメンバーを替えて競争させ、力を上げさせたように、柳下監督はいつもどこかで新たな手を施して、チャレンジ、トライをする。メンバーを替えるきっかけは選手のケガや出場停止ではあるが、その休んでいた選手が復帰しても自動的にスタメンの座を返してあげるわけではない。そうして選手層を厚くし、完成形はもう少し先のところを見ているのだろうか。
とはいえ第3クールの滑り出しは、2連勝の横浜FCとは対照的に引き分け、負け。中3日の次戦、アウエー・草津戦では、内容も伴った勝利をつかんで、ズルズル落ち込むのを阻止したいところだ。
以上
2005.08.03 reported by 永井謙一郎
J’s GOALニュース
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