9月3日(土) 2005 J1リーグ戦 第22節
鹿島 2 - 2 浦和 (19:03/カシマ/35,467人)
得点者:'17 小笠原満男(鹿島)、'27 アレックスミネイロ(鹿島)、'77 田中達也(浦和)、'86 ポンテ(浦和)
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鹿島にとっては、まさしく「悪夢」だったことだろう。開幕から独走してきた彼らが首位陥落という現実を目の当たりにした。第22節の浦和戦。前半終了時点で2点をリードし、しかも相手の守備の要・田中マルクス闘莉王が退場。数的優位という追い風も受けながら、相手の猛追をかわすことができず、手に入れかけていた勝点3を逃したのだ。結果として2位・G大阪の逆転を許してしまった。「まだガンバとの直接対決も控えている。優勝したいならみんなで乗り越えるしかない」とトニーニョ・セレーゾ監督は強調したが、鹿島が今季最大のピンチに立たされたのは間違いない。
2005年J1タイトル争いを大きく左右する鹿島対浦和の大一番が3日夜、カシマスタジアムで行われた。注目の一戦とあって、3万5000を超える大観衆が終結。周辺道路が大混雑するなど、現地は異様な熱気に包まれた。
一時は2位に勝点10差をつけていた鹿島だけに、ここでの取りこぼしは許されない。トニーニョ・セレーゾ監督は鈴木隆行をスタメンに戻すなど、予想通りのメンバーをピッチに送り出した。一方の浦和・ブッフバルト監督は夫人の出産に付き添ってチーム合流が遅れた三都主アレサンドロを外し、平川忠亮を左サイドに起用。右頬骨骨折のマリッチに代えて田中達也も先発出場させた。
この重要なゲームに勝って上位との差を詰めたい浦和は序盤から積極的に仕掛けた。田中達也と永井雄一郎の2トップは持ち前のスピードを生かして前線に詰め寄り、長谷部誠も遠目からどんどんシュートを打ちに行った。しかし前半の鹿島は今季J1をリードしてきたチームらしい風格を感じさせる。開始15分、この日300試合出場を達成した名良橋晃からのアーリークロスに反応した鈴木隆行がぺナルティエリア内で巧みに堀之内聖のファウルを誘い、PKをゲットしたのだ。スタンドを真っ赤に染めた浦和サポーターからは不満の声が上がったが、「あれはPKを取られても仕方がない」とブッフバルト監督は潔く認めた。結局、エース・小笠原満男がGK都築龍太のタイミングを外してゴール左隅に決め、鹿島が幸先のいい1点を奪った。
この後も浦和は果敢に得点を狙ったが、鹿島に追加点が入ってしまう。前半27分、中央でボールをカットしたアレックス・ミネイロのミドルシュートが坪井慶介に当たってコースが変わり、そのままゴールに飛び込んだのだ。浦和には不運だったが、鹿島にとっては勝利に大きく近づくはずの1点だった。
だが1週間前、清水が前半のうちに2点をリードしながら大宮に逆転負けを食らったように、2点差というのは非常に危険なスコア。勝ち続けてきた鹿島の選手たちはそのことを熟知していたはずだった。しかし後半14分、異議を繰り返した闘莉王が2枚続けて警告を受け退場。11対10の数的優位に立ったことで、彼らには過信と油断が生まれたのかもしれない。
それが躓きの始まりだった。この時間帯から鹿島の足が急に止まってしまう。攻めるしかなくなった浦和のブッフバルト監督は25分、満を持して三都主を投入。これが試合の流れをガラリと変えた。いくら個人的な事情とはいえ、リーグ戦2試合連続スタメン落ちの屈辱を味わった日本代表MFは、悔しさを隠せなかった。それをピッチにぶつけるかのように左サイドでボールをもつや否や、猛然とライン際を駆け上がった。危険を察知した鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督も、疲れの見えた本山を下げてリカルジーニョ投入。名良橋に代えて内田潤を入れるなど、三都主のサイドを割られないよう対策を講じた。
けれどもこの日は三都主のキレと勢いが相手を上回っていた。迎えた32分、ポンテからパスを受けた三都主が強烈なシュートを放つ。これはGK曽ケ端準が何とか防いだが、そのこぼれ球をフリーで待ち構えていたのが田中達也。「GKがいなかったんで」と冗談交じりに言う彼はヘディングで確実に1点を返した。これで勢いに乗った浦和は岡野雅行を投入。さらに前がかりになった。そして41分、三都主の鋭いクロスにポンテがファーサイドに飛び込んで同点。スタンドからは地鳴りのような大歓声が響き渡った。
鹿島は大岩剛、羽田憲司の最終ラインコンビは奮闘していたが、前線と中盤の運動量が激減。バランスも悪くなり、浦和の選手たちを次々にフリーにした。結果的に最後まで持ちこたえることができず、2点のリードをフイにする形になった。かつて「常勝軍団」と呼ばれた彼らは、しぶとく粘り強く老獪に1点を守りきるチームだった。今季序盤もそのメンタリティが復活したかと思われた。が、ここへきて守り切れない試合が続いている。選手たちの蓄積疲労は予想以上なのだろう。
先に1シーズン制を導入したJ2では、過密日程を強いられる夏場に序盤戦の貯金を使い果たし、最終的に昇格争いから脱落するチームが過去にいくつもあった。今季から1シーズン制となったJ1も同じような流れをたどるのか。それとも何とか踏ん張ってチームを立て直すのか。鹿島は最大の正念場に立たされたといえる。
逆に浦和にとってこのドローは勝利に等しい価値がある。首位との勝ち点差6は変わらないが、ギリギリまで追い詰められた状況を跳ね返したことは選手たちの大きな自信になる。「勝者のメンタリティが育っている」とブッフバルト監督も力を込めた。改めて優勝戦線に名乗りを挙げた浦和。彼らを含め、J1はますます大混戦になりそうだ。
以上
2005.09.03 Reported by 元川悦子
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