9月3日(土) 2005 J1リーグ戦 第22節
広島 1 - 1 千葉 (18:03/広島ビ/10,561人)
得点者:'46 ガウボン(広島)、'74 山岸智(千葉)
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「水曜日に試合をして疲れているはずなのに、選手たちがこんなに動くとは、驚いた」。試合後の会見で、オシム監督はにこやかな表情でこう言った。千葉から広島という移動、中2日というスケジュール。厳しかったはずだ。それなのに、特に後半、選手たちは爆発的に走った。この試合に賭ける選手たちの気持ちが、「走る」という行為によって表現されていたのだ。
前半は明らかに、広島のペースだった。オシム監督はこの日、広島の強力な両サイドを抑えるべく、ポペスク・坂本を右に配置して服部をマークし、左には山岸と佐藤を張らせて、駒野を抑えにかかった。しかし、ワイドに広がりすぎた布陣はセンターの薄さを誘導し、大きく広がったスペースを広島に使われることになった。なんとか運動量でカバーしようとしたのだが、やはりそこには無理が生じる。広島は次々と相手パスをカットし、そこからダイレクトパスを中心にした速い攻撃で、千葉ゴールに迫った。
しかし、広島はそこでゴールが奪えない。小野監督が試合後の会見で、「チャンスのわりにはゴールが少ない」と嘆いていたが、その言葉は真実の叫びだろう。その要因は、やはりシュートの少なさ。ゴールに迫り、決定的なシーンを何度もつくっても、最後をシュートで終わることができない。キャンプからずっと徹底しているという「シュートの意識」だが、やはりそう簡単に、一朝一夕に向上するわけではない、ということだ。
結局、ペースを握っていた前半で広島が得点できなかったことが、後半の千葉の復調を生む。後半開始早々にガウボンがゴールを決め広島が先制したが、それをきっかけに千葉が開き直った。オシム監督は2バックを決断。サイドをウイングの位置にあげ、林を投入して4トップ体制とした。さらに佐藤・羽生・工藤が次々とFWを追い越す、圧巻の攻撃サッカーを展開して、広島を圧倒する。しかしそんな激しい攻撃は千葉の選手に「攻め疲れ」を生み、後半の最後には、さすがにプレイの精度を落としてしまっている。
ここでもし、前半のチャンスに広島が得点をあげていれば、どうだったか。まだ時間がかなり残っている中で、そこからすぐに守備を捨てたような極端な攻撃に走ることは、さすがのオシム監督も決断できなかっただろう。そうなれば、試合のペースは落ち着き、広島も冷静に対処できたはずだ。
それにしても、後半の千葉は強烈だった。前半は大きく離れていた選手間の距離を動きを倍増させることで縮め、その結果としてパスがつながり、サポートも分厚い。サイドで数的優位をつくって突破し、クロスを入れればそこに3人は飛び込んでくる。千葉の猛攻に、ビッグアーチは震撼した。
しかし、それは千葉にとっては諸刃の剣。一度ボールを奪われ、スペースに縦パスを出されれば、それをカバーする選手がいない。55分に千葉が2バックに切り替えて以降、千葉は確かに押し込んだ。しかし、66分には森崎浩司に抜け出され、GKとの1対1のシーンを迎えている。また、その6分後にはガウボンにドリブルで独走され、カード覚悟のバックチャージでしか、止めることができなかった。もし広島がここで着実に得点を重ねれば、オシム監督がとったエキサイティングな采配は、「自滅」と指摘されたかもしれない。サッカーとは、本当に紙一重で評価が逆転するスポーツだ。
広島にしてみれば、ある意味シナリオ通りの形だったはずだ。しかし、クリアしようとしたボールが山岸の足に当たって入るという不運な形で失点すると、千葉のリスキーな攻撃の裏をしたたかにつく余裕がなくなり、相手の圧力をまともに受けて反撃の余力を奪われた。一方の千葉も、激しく攻め立てながら、最後の一押しの精度とアイディアを欠き、広島にトドメの一撃を加えることができなかった。オシム監督が言うように「アツい」内容となったこの試合だが、互いに「勝点2」を失った、優勝のためには「痛い」結果となったのである。
ただ、1ステージ制となった今シーズンは、まだまだ先が長い。J2時代、広島は13試合で12の勝ち点差をひっくり返された経験を持つ。また今季、第10節で鹿島との勝ち点差が12もあったG大阪は、その後12試合で逆転に成功した。現在、広島は首位まで8、千葉は12ポイントの差。確かに優勝には厳しい数字だが、共にまだG大阪や浦和など、首位戦線をにぎわすチームとの直接対決が残っている。まだ、両チームの希望の灯は、消えてはいない。
以上
2005.09.03 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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