9月10日(土) 2005 J2リーグ戦 第31節
水戸 0 - 2 仙台 (19:00/笠松/8,158人)
得点者:'1 シュウェンク(仙台)、'84 バロン(仙台)
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試合開始前のメンバー紹介。大挙押し寄せた仙台サポーターの大歓声が響く。仙台のプレーヤーたちは、この歓声に心強く後押しされたことだろう。しかしながらチームの指揮官・都並監督にはブーイングが・・・。
仙台サポーターのこのブーイングが、「どうしても、何をしても結果を残さないといけない状況」にチームが置かれていることを如実に物語っている。そして一転、水戸のメンバー紹介。注目が集まっていた水戸の左SBには、本来攻撃的なポジションである森田が名を連ねた。水戸の指揮官・前田監督は、出場停止などでDFがいないこの緊急事態に、今まで数々の修羅場をくぐり抜けてきた実力者を選んだ。水戸の勝利への執念も同様に伝わってくる。
開始1分。仙台、ゴール。シルビーニョのFKに水戸・須田の裏を取ったシュウェンクが頭で合わせた。ラジオDJが混乱し、リスナーに状況を説明することがやっとなぐらいに、一瞬の出来事だった。
さて、前半は、仙台のワンボランチ・シルビーニョの周辺で、水戸の秋田、眞行寺が基点を作る。この2人は精力的にディフェンスをし、味方ボールになるや否や、仙台最終ラインの裏側へ走りこんでいく。その運動量は目を見張るものがあり、チャンスメイクと言う点では及第点を与えられるものだった。しかし、基点になってからのプレーの精度に欠き、得点機を演出することはできない。特に25分以降のプレーは雑さが目立ち、せっかく水戸に傾きつつあるリズムを自爆的に壊していってしまった。前田監督も「秋田と眞行寺は運動量があり守備の意識は高いが、プレーはまだ若く技術的なところと判断においては目を瞑らないといけない」と話す。
しかし今日に関して言えば、パスミスやトラップミスなど、そのプレーの質が水戸の流れを断ち切る明らかな要因となってしまった。とりわけ、仙台が自らの力でリズムを作り出せなかったゲームなだけに、その部分が悔やまれてならない。仙台は25分以降にいくつかのチャンスをつかむが、水戸のミスから、もしくはバロンとシュウェンクの個人技とパワーからなるもので、組織として水戸を崩したというシーンはなかった。サイドから崩せない要因の多くは、急遽、水戸の左SBに起用された森田の頑張りにある。秦と森田の左サイドは安定していて、仙台の右サイドをはるかに上回っていた。明らかに不調の須田のサイドを仙台・菅井、村上で崩しかけるもあと一歩と言う感じで、この辺りは仙台に残った課題といえる。
後半は、ダブルボランチにしてシルビーニョの守備の負担を減らした仙台が、ペースをつかみかける。「後半のような戦いを、今後も続けていく(仙台・都並監督)」と指揮官は高い評価で後半を回顧したが、しかしながら『安定した』という評価以上のものはなかったように思える。むしろ、新戦力・ファビオを投入し2トップにしてからは、ペースは明らかに水戸に向いていたし、崩す形を作り出した頻度も水戸が仙台を上回る。
21分に眞行寺に代えて伊藤を投入してからその流れは顕著。特に光ったのは、中央に入ってからの水戸・秦のゲームメイクの能力だ。全体のバランスを取りつつスピードのある選手を活かし、また攻撃時のリスク管理をしながら自らも球際で負けない力強さを見せた。惜しむらくは冒頭の1点。後半39分の仙台の追加点は、前掛かりになった水戸が、ディフェンスに転進する時の集中力の途切れをつかれたもの。もちろんシュウェンクの粘りとテクニック、きっちり決めたバロンの落ち着きとゴールへの執念も見事だったのは言うまでもないのだが・・・。
新加入の水戸・ファビオだが、この18歳には期待をしても良さそうだ。まだ合流1週間ということもあり、コンビネーションでのミスなどがあったが、得点をできるポイントに顔を出す能力は非凡なものを感じるし、彼を捕まえておく作業は、ことのほか難儀なものになるだろう。デルリスのような一瞬で振り切る瞬発力はないが、長い距離を走ってマーカーを振り切る力強さと打点の高さがある。入団会見で「得意な得点の形はヘディング」と言うだけの事はあり、残り少ないシーズンだが、水戸サポーターにとっては楽しみがひとつ増えたといえよう。
ここまで読んでいただくと、「なんだ、水戸の勝ち試合じゃん」と思う方も多いことだろう。まさにそう。しかし結果は『水戸0−2仙台』なのだ。水戸が次節までに早急にやらなければいけないことは『気持ちの切り替え』に他ならない。「前節のミスは頭に残っていたが、そんなこと気にしていられない(水戸・森田)」と言うぐらいに、強引にでも切り替えることが若いチームなだけに必要。ズルズルと負け癖をつけてしまうことが、最も心配なところだ。
一方の仙台は、今日の勝ちを過信しないことが大事。次節は草津戦と組みやすい相手かもしれないが、現在のサッカーでは『順位なり』という感が否めない。目標が上(J1)なのであれば、中盤の組織構築とチームとして目指すサッカーを再度確認する必要があるだろう。今日のようなゲームの入り方では、前半のうちに大量失点ということも覚悟しなければならないだろう。この1週間、そのあたりをどこまで調整することができるか、次への準備に各チームの真価が問われている。
以上
2005.09.11 Reported by 堀 高介
J’s GOALニュース
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