9月10日(土) 2005 J1リーグ戦 第23節
F東京 1 - 0 清水 (18:33/国立/25,350人)
得点者:'56 戸田光洋(F東京)
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夕陽も落ちそろそろ空が少し暗くなり始めた頃、国立競技場のスクリーンには大分へのレンタル移籍からチームに戻り、初のホームゲームを迎える阿部選手のメッセージが映し出された。F東京サポーターからは『ホームへお帰り!』という気持ちのこもった拍手が沸いた。そのF東京サポーターが陣取るゴール裏のスタンドは一部改修中で、その部分だけがすっぽりと空いている。
一方の清水も、アウェイではあるものの大勢のサポーターが連勝を後押しするため、ゴール裏の一角をオレンジ色に染める。両チームのサポーターが準備万端にキックオフを待つ中、試合前にはF東京の茂庭選手のJリーグ通算100試合のセレモニーが行われ、スタジアム中から拍手が沸きあがった。
F東京・原監督は試合前、「今日は相手がどうこうじゃない。前節の反省をちゃんといかして、ひたむきに集中して戦えるかどうか。みんなわかっていると思う」と少し険しい表情を見せた。「あえてミーティングは長くしなかった」と言い、今週の練習のキツさにそのメッセージを込めたという。清水も、「連勝」「下位のチームになかなか勝てないところから脱却したい」という強い思いを持って、この試合に臨んだ。
F東京のメンバーは、GK土肥、DF加地、ジャーン、茂庭、藤山、MF梶山と今野のダブルボランチ、右に鈴木、左に戸田、トップ下の栗澤、FWにルーカス。石川は2日前に足の付け根を痛めたため、大事をとってベンチ入りも見送られた。清水は、GK西部、DF市川、斉藤、高木和道、山西、MF杉山と伊東のダブルボランチ、右に佐藤、左に兵働、そしてFWにマルキーニョスと久保山の2トップという布陣。
ともに球際への厳しさ、体を張ったプレーで勝利への執念を見せる。前半はF東京が6本、清水が8本のシュートをそれぞれ放った。勝利の女神がどちらに微笑むのか…少しも気が抜けない状況が続いていた。
後半に入る前、ロッカールームでは両監督とも「こぼれ球」への対応を指示している。勝敗を決定づけたのは後半11分、栗澤のFKからファーにいた今野が頭で冷静に戻し、そこに戸田が強烈な右足のボレーシュート。自ら28歳の誕生日を祝うかのような強烈で豪快なゴールが決まった。このゴールを振り返り、今野は「シュートにするか、戻すか迷ったんですけどね」と振り返るが、「今ちゃんが見えたんで、絶対に折り返してくると思ったんです。それでポジショニングを少し変えて…。練習でああいうの決めてないから、本番で決められて良かった」と戸田。
試合終盤、リードしている状況、残り5分のところで時計を見た原監督は、馬場を投入することで「攻めに行くぞ」というメッセージをこめた。今野も「もっと攻めていこう!」と声をかける。勝利が間近になりつつも、何度も同じようにそこで勝利を逃す経験を繰り返したF東京。清水の怒涛の攻撃にゴール前では茂庭が、藤山が、ジャーンが体を張る。
ロスタイムの1分が過ぎ、1‐0でホーム・F東京が7月17日以来の勝利をあげた。ホイッスルが鳴った直後、喜びより前に動かなくなった足をさする選手たち。抱き合って喜ぶGK土肥とDF陣、そしてガッツポーズをする原監督…サポーターのもとへ挨拶に行く足取りは軽い。その原監督が試合後「今日はあの2人。『東京のスピリット』を持ってるのはあの2人だよ」としたその人物は、長年チームに所属する戸田と藤山だった。
この試合が故障からの復帰戦となった戸田の、攻守に渡る気迫のこもったプレーには息をのんだ人も多いはず。「サッカーはひとりで何かをかえられるものじゃないです。その中で自分に出来ることは人より多く走ること」と試合後に話したが、ひとりの選手が持つ力の大きさも見せてくれたのではないだろうか。そして、藤山は「モニ(茂庭)とはなるべく中に絞って、外だったら外に…」とお互いの距離の約束事をしてこの試合に臨み、それが出来たという。「自分のような立場の選手は、こういう時にしっかりやるためにいる。そこで結果を出さなかったら選手として終わっちゃうよ」と、試合後に笑って話した藤山。その経験とスピリットが、この勝利に大きく貢献したことは言うまでもない。
一方の清水・長谷川監督は「前半からやっていたサッカーはエスパルスのほうが質は高かった。ただし、勝負に負けたら何もならない。内容的には川崎F戦に続いていい戦いが出来ている」と評価した。勝負には負けはしたが、森岡、チョ・ジェジンを出場停止で欠いた状況で、内容は決して悲観するものではないという手ごたえを得ただけに、次の戦いは重要になってくる。「ホームで連勝したいです」と語った長谷川監督の表情も力強かった。
勝利したF東京の選手の表情も決して穏やかなだけではなかった。「次に負けては意味がない」という言葉が、どの選手からも聞こえてくる。特に今野は「喜びよりも、今日出た課題のほうが重要だ」と少しも顔を緩めず、とても厳しい表情を見せた。その選手たちの表情から、次もそのスピリットを見せてくれることが期待できそうだ。「東京らしさ」を愛する、サポーターのために…。
以上
2005.09.11 Reported by 日々野真理
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